Simply mini J

1日5分、その日の自分を振り返る時間を作りなさい。
    昔そんな話をお坊さんから聞いた。

大自然の力強さを、異常なくらい暑い日に見にいった

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All Photo by inos

高峰高原を後にして一路群馬県は鬼押出しへ。浅間山の噴火でできた溶岩園で有名な場所ですね。奥に見える山が浅間山。

天体撮影明けの行動は朝が早いため、湿原の中を2時間近くも歩いた後に30km近く離れたここ鬼押出しまで移動して来てもまだお昼前ですから1日がとても長く感じます。逆に言うと普段東京で過ごしている朝寝坊の週末はいかに勿体無いことをしているのか...と気づかされますね。

日曜日だというのに観光客がそこまで多くないのは恐らくその暑さのせいでしょうね。標高は1,300メートルくらいですが30℃以上はあったと思いますし日陰がないうえにゆるやかな上り坂を歩いていきますから、園内をトータル1km以上も歩くのは結構しんどいわけで。それが予想できている人は真夏には来ないでしょうね。

それでも見渡す限りこのゴツゴツした岩のダイナミックな景色には圧倒され始めて見る人は感動すると思います。私は子供の頃に家族旅行で一度訪れているのでそこまでの驚きはなかったですが、記憶のそれよりも立体的だった事に驚きましたね。もうモノクロに近い当時の記憶は、同様に一面が溶岩でできたハワイの有名な観光地ありますよね?そんなのだったのですが。

ここに来ると有名な ”ヒカリゴケ” を見ることができます。ただぼーっと歩いていると見逃してしまいそうなくらい地味な看板がルートの途中に出て来るので休憩がてら立ち止まってその岩の隙間から中を覗いて見ると、なかなか他では見られないような輝きの苔が確認できます。

ヒカリゴケといっても自発光しているわけではありませんから真っ暗闇では見えないと思いますが、覗き込むこちらの光がうまい具合に苔に届いていればそれを反射して蛍光イエローに光るって感じですかね。早い話が自然の反射塗料みたいなもので、自転車とかに貼り付ける蛍光色の反射テープと全く同じ光り方をします。日本国内ではここ以外に北海道などでも見られるそうです。

鬼押出し園のちょうど真ん中あたりに見えて来るのが浅間山観音堂。一面が黒い溶岩石で覆われた園内に真っ赤な建物がひときわ美しく存在を主張しているので一つのシンボルのようになっています。

この建物は昭和33年の大噴火で犠牲になった沢山の人々の冥福を祈る目的で建てられたとされています。鬼押出しという名前こそなんだかおどろおどろしい感じがしますが、この園を単なるテーマパークのように思っていると実はそういう場所ではなく、この下には沢山の犠牲者の人たちが埋まっているという事実を時代が変わっても伝えていこう、そんな想いが込められた建物なのだと思います。

貴重な日陰がここにはありました。ここが目的地(ゴール)というわけではありませんが、園内を歩いたら一つの目標物としてこの建物を目指しますから到着するなり日陰とちょっとしたベンチがあるのはすごく嬉しかったですね。なんといっても正面から涼しい風がどーっと吹いていますからとても気持ちが良いのです。

あ、そうそう、このポイントまで歩いて来る間にも出発地点でご飯を食べられる施設があったり、ちょっとしたお土産屋さんなどもあるのですが、どこも冷房は効いておりません! そもそも長野は避暑地扱いなので自然の風を取り入れる!そういう考えのようです。ただ今年の夏のように異常な暑さではちょっとそれだけでは暑いわけで、そのためこんな風にオープンスペースに日陰があって風が吹いている...これが一番涼しいのです。

ちょうどこの子達くらいの頃だったんじゃないかとその背中に自分の記憶を重ねてみました。以前私がここを訪れたのは30年以上前の事だったはずです。多分実家に帰ってアルバムを見返せば当時撮影した写真が出て来るんじゃないかと思います。こういう場所ですから極端に景色は変わっていないでしょうから、もし撮影ポイントが特定できれば同じ景色を探せるかもしれないなぁと思いましたね。

どうなんでしょう、今の子供達を撮っているデジタル写真はそんなふうにいつか見返したいと思った時、数十年後の未来に見られる状態にあるでしょうか。薄れた記憶と上手く同調するように色あせたプリントの存在というのが、そこに時間の流れを感じさせ、またそんな沢山のプリントの中から記憶と重なる1コマを見つける事が思い出探しの楽しさでもありました。

これから30年後、私はこの日撮ったデジタル写真をどう見返しているでしょうか、ちょっと想像つきませんね。

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