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suspension <リア・ブレーキシュー>

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SMART For two の圧倒的ショートホイールベースからなる荷重移動の激しさは一般的な車よりも遥かに大きく、それゆえブレーキング時のノーズダイブも顕著に現れるわけだが、オーバーステアを嫌う設計者が設定したタイヤサイズはリアのそれよりも30mmナローなフロント設定。フロント:リアのブレーキバランスは一般的に7:3とも8:2とも言われるから、仮に前者のバランスだったとしても荷重移動を考えた場合、細いフロントタイヤで700kgオーバーの重量物を制動するにはパフォーマンスが悪いのは目に見える。

フロントブレーキパッドをスポーツタイプに交換し摩擦係数を高い設定にした場合、一見すると良く効くブレーキになる気がするが、実はノーズダイブはノーマル以上に激しくなり、4輪を効率よく使ったブレーキングは難しくなる。足回りを固め、重心を下げれば荷重移動は少なくなりブレーキングにも有利だが、ショートホイールベースの車に硬い足を組み合わせると乗り心地悪化が著しい。

SMART For two は RR という珍しいエンジンレイアウトにより、一番の重量物であるエンジンが車体後方に位置するため、FFやFR車に比べればリアタイヤのグリップを有効に使うことが出来る。リアブレーキを強化し初期制動能力を高めることでフロントへの荷重移動を制限し、4輪を効率よく使った制動が可能になる。フロントより摩擦係数の高いシューを選択することで、結果としてブレーキバランスをノーマルよりリア寄りにすることが狙いである。

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使用したのはEBC社の For two 用 ブレーキシュー。ノーマルと基本的には同形状だからそのままボルトオンで使用可能である。取り付けにあたっては、トレーリングシューとリーディングシューを連結するリターンスプリングが外せれば何とかなるが、ディスクブレーキよりも部品点数も多く、構造も多少複雑で、スプリングを使用した機構が多いため作業には注意が必要である。

尚、組み上げはバラした時と逆の手順で行えばよいが、シュークリアランスのアジャスター(自動調整ネジ)はシューが新品になった分だけ締め込んでおかなければならず、少し多めに締めこんだ状態で組み上げ、試走行前にサイドブレーキを数回引く事でその引きしろが徐々に少なくなるよう自動調整されれば成功である。この時点で引きしろが自動調整されない場合は再度組み直し確認が必要である。

一般的にブレーキパッドやシューは交換後少なくとも100kmは慣らし走行を行わないとアタリが出ないとされるが、まず交換後試走行でのフィーリングは、確実にノーマルよりリアが安定して効く。高速域よりも中低速域からのブレーキングのほうが違いは顕著に現れる。強いて言えば初期制動能力はもう少し高くても良い気がするが、走行後のホイール温度上昇を確認するとノーマルよりも遥かに高温になっているから、ドラムブレーキとしてのチューニングとしてはこれ以上を望むのは温度管理の面で難しいかもしれない。

リアのブレーキを強化したことで想定されるのはコーナーリング中のパニックブレーキ等によるオーバーステア及びホイールロックだが、現段階ではそこまでの偏ったバランスにはなっていない様子。今後アタリが出たら少しハードなテストを行う予定でいる。


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