ここ数年、世の中はAIという言葉が日常的に使われるようになり、それは映像業界や写真業界もしかり。1年ほど前から写真ファンから注目されているのはLuminarAIなる1万円ほどのソフトで、撮影後の写真の空を別の空に簡単に置き換えられるというもの。でもそれって今じゃPhotoshopの標準機能で搭載されているんですよね。
わかりやすく1枚のサンプルを準備してみました。上に掲載したものが撮影したオリジナル画像。まあこのままでも良いのですが、せっかくならのっぺりとした空ではなくもっとドラマチックな1枚を残したかった!という場合に使えるのが今日紹介するPhotoshopの「空を置き換え」機能。
「編集」メニューから「空を置き換え」を選択しサンプルの中からお好みのシーンを選ぶだけ。あら簡単、一瞬で夕暮れシーンに。更にいくつかのパラメーターを調整して馴染み具合や元画像のコントラスト等を追い込めばもう少し自然に合成することが出来るでしょうね。
一昔前なら空と地上との境界をいかに自然に馴染ませるか、そのためには事細かなマスク処理を手作業で行う必要がありましたが今や自動でできてしまうのですね。
夕暮れだけでなく青空でも嵐の前の立体的な雲でも手数は一緒。便利といえば便利な機能です。
ただ、こんな機能を紹介しておきながら言うのもなんですが、私はあまりこうした作り込みには感心しませんね。勿論こうした手法を用いて企業ポスターのような商業写真用途なら作業効率を上げるためには強力なツールと呼べますが、写真というものがその時実在したものを記録として残す手段である前提で物を言うなら、綺麗な空が見られなかったから後処理で青空に置き換えましょう!というのはちょっと違う気がします。
これは観光地で記念写真を撮るのに、画面の中に他の観光客が入らないようタイミングを見計らったり場所を移したりするのにも共通しますが、その時その環境に確かに自分は身を置いていた!という事に本当は意味があるわけで、それをわざわざ他所の人が写り込まないよう画角を選ぶ必要はないわけですよね。沢山の人でごった返す中に自分は居た!沢山の人が押しかけるくらい有名な観光地だった!その事が1枚の写真から読み取れるから自分でシャッターを押すことに価値が生まれるわけです。そうでなかったら絵葉書を買ったほうがよほど綺麗な写真が手に入るでしょう。
そう考えた時、今回のように簡単に空が変えられるからといってそれを後処理で変更してしまうことにどのような意味があるのか?という疑問が残ります。「前回は曇り空だった。今回は晴天だ!」そんなふうに過去を振り返る事が出来るところに写真の存在意義がありそうな気がしますがね。



