朝から晩までアプリの拡張ツール作成やツールの使いこなしに没頭した日。
映像業界で新しい技術に挑戦しようと考えると、実機検証に入る前にまずは光学設計や信号処理を計算上でシミュレーションし、理屈では ”このやり方ではこういう結果が出るはず” というところまで準備して、初めてスタジオ照明を準備し、カメラやモニターのセットアップに入ります。
十分な準備ができた段階で実際にテスト撮影を行い、その結果を波形や専用の計測ツールで測定し計算通りアウトプットされない誤差があれば、それがどこで発生しどんな手段を使えばどの程度改善できるのか、シュートを繰り返す事になります。
家族旅行の記念写真なら難しいことは考えず綺麗な写真が残せればOKなのですが、プロの現場で正確な信号管理によって制作するコンテンツというのは、規格どおりのデータレベルに収まっているかなど基本的な監視は当然ですが、実写とCGを合成する前提の作品などでは、実写撮影とVFX制作の2つの現場の作業プロセスを計算で合わせておかないと、いざ合成!となった時になんか上手く馴染まない...という事になってしまうのです。
だからプロの現場ではモニターのカラーバランスを計測するプローブに100万円とか、アプリケーションも1ライセンス50万円とか、惜しみなくお金をかけるのです。とにかく正確な値が計測できなければ正確な光が作れないというわけです。
一方で、色を調整したり加工したりするアプリやツールも、本当に内部処理が正しく行われているのか、誤差はどれくらい出るのか把握しておく必要が出てきます。世に出回っているスタンダードなアプリケーションも案外内部処理が不正確で計算通りの調整結果にならないことがあるんですよね。一つのアプリの中でも機能実装された世代が異なれば動作原理や設計者が違ったりしますから、機能を継ぎ接ぎで追加しているアプリにはありがちな現象です。しかしカメラで撮影したものがシミュレーション通りの結果となるかどうかを確認するアプリ自体が不正確だったりそれに適した機能が無いのではまともな検証が出来ません。
そこで、そうしたアプリに標準搭載されている機能をつるしのまま使うのではなく、機能拡張部分を利用し、そこへ自分が準備した計算式をコード化し導入することで、間違いなく正確に計算されている!と確信できる自分だけの機能をモジュールとして製作しています。
これが結構大変な作業でして、自分の計算式が間違っていたりすることも多々ありますし、コードの書き方が悪くエラー連発もありますから、もうどれが正しいのやらって路頭に迷う場面が少なくありません。それでも少しずつ自分専用ツールが出来上がってくれば、今後新しい検証作業が出て来ても、すでに正確に動くツールが手元にあれば正解への道筋が築きやすいですし作業も捗るはず。
例えるならこれは日曜大工の工具を揃えているようなものですね。毎日は使わないけど必要な時は無いと作業が進まない!みたいな。

