(230) 寒い夜だからこそ 2004/02/02
お湯を注いだカップをゆっくりスプーンでかき混ぜる。その時互いに触れ合い生じる風鈴にも似た音色が静かな夜にはいたって美しい。砂糖が溶け切るまでの数秒間、耳を澄ませば
キリン、キリン という音色は チリン、チリン
という硬質な音色へ微妙にピッチ変化していくのがわかる。いったいどういう理由かは分からない。ただ、ちょっぴり幸せを感じる瞬間である。 コーヒー、紅茶、緑茶、そのどれもがインスタントでしかない私のがぶ飲みマグカップ生活。
本格的な冬の寒さは山を越えただろうか。
(229) なんちゃって計画 2004/02/01
近年GTカーに見るフロントフェンダー後方のスリット。エンジンルーム冷却用でもブレーキ冷却用でもなく、床下の空気をサイドに抜く事で、よりダウンフォースを稼ごうという策なのだが、サーキットであればまだしも所詮街中では無用の長物。しかし私のような見た目重視のなんちゃってモータースポーツファンには素晴らしくカッコ良く映ってしまうのだ。 スマートの全幅は大胆に飛び出したリアフェンダーで決まっているわけで、それに納まる範囲でフロントフェンダーを大きく張り出させても車検にはパスできそうな先入観が、モンスタースマート製作のイメージを飛躍させる。都合の良いことに、スマートのボディーパネルはその殆どがポリカーボネイトと思われるプラスチックで製作されており、ドライバー1本で取り外しが可能であるため、オーナーの中には季節に応じパネル色をコーディネートする人もいるほどで、そのメリットを生かさない手は無い気がする。 スマートのフロントにスリット入りフェンダー。カッコ良さそうではありませんか! |
(228) 画面には見えないもの 2004/01/31
社会というのは ”弱いものに合わせる”
のが基本的考えだと思う。公道を走る車だって安全に走れる速度は法で決められている。腕と性能が伴えばそれを上回る速度で走る事だって可能なのは分かる。しかし皆がそれをやってしまっては当然事故だって起こる。人間の進化というものが野放しに最先端技術を進める事だとしたらこれからの未来は決して明るいとは言い切れないのではないだろうか。 公衆電話の減った駅前で、携帯電話を持たない田舎のおばあちゃんはいったいどうすれば良いのだろう?
IT・ユビキタス・パケット・マイナスイオン・イーコマース・アルファ波、どれも知っているようで知らない言葉だと数日前のラジオで取り上げられていた。確かに言われてみるとその意味を的確に答えられない自分も妙に共感を覚えたものだが、よくよく考えてみればラジオやテレビを通し視聴者が共感できるほど内容の知られていない言葉にどれほどの重要性があるのか?新聞の記事にもコンピューターが取り上げられない日はないし、確かに情報化社会にそれら進歩が重要視されるのは分かるのだが、日々の暮らしにそれを必要としない人にとってはなんとなく住みにくい時代へと変化しているように思えてならない。
(227) 走ってこそスポーツ 2004/01/30
近所のカー用品店へは暇に任せて通い詰めているだけあって、商品の陳列から在庫の有無まで大抵の事は把握してしまっており、それが逆に冷やかし客としてはいまいち冒険欲に欠けるというか新たな発見の喜びが希薄に感じられる。既に最寄のスーパーオートバックス3店舗は自分の庭のような気持ちでハシゴするのが当たり前となっており、それでも飽き足らない私は用も無いのに30km程離れた別の店舗まで足を運ぶ勢い。都心の渋滞が無ければ最高のドライブとなるのだが... |
近年ではオートバックスでも車両販売までを行っており、一般のディーラーではなかなかお目に掛かれないような車種の展示もある。タスカンTVR
は昨年、西武警察のドラマ撮影事故で一躍有名になったものだが、こうして停車した車両を見る限り ”美しい”
の一言。 芸術品に近いこれ程のスポーツカー、走っているより展示されている方が似合うのは出来過ぎの性? |
(226) 数年ぶりの再会 2004/01/29
ちょうど7年前、今となってはほぼ最終モデルとなったクラッシックミニを手にした頃、現在よりも遥かに写真を撮ることに熱中していた私だが、あえてその姿をフィルムに残そうとはしなかった。「写真に撮られると魂を抜かれる」
という話はよく耳にするが、それに似た感情が大切な物からレンズを遠ざけようと作用したのだ。過去に撮影した膨大な量のネガを全てひっくり返してみても出てきたのはこの1コマだけで、後はプリントの隅に見切れた写真が1枚あるのみ。 急速に進むデジタル時代であるが、フィルムが持つ撮影の楽しさと保証の無い仕上がりに成功した喜びは、デジカメには無い温かみのあるプロセスが存分に味わえ、こうして数年ぶりに見た過去の思い出が鮮明すぎないプリントと共にうまく時間軸とシンクロする。 フィルムの質感ってやっぱりいいものだな。 |
(225) 一通のはがき 2004/01/28
今までの30年近い人生を東京でしか過ごした事の無い彼が、突然屋久島で暮らすというのには驚かされたものだが、どちらかといえば今時の生き方を押し通してきた彼から、メールや電話ではなく
”一枚のはがき”
が送られてきた事にも重ねて驚かされた。きっと都会の時間の早さとは対照的な島での人間的生活が彼の心には響いたのだろう。 端から見るほど楽ではない生活に彼自身も気づいているに違いない。しかしそこでしか手に入らぬお金以上の収穫をこれからの生活の中で感じ取って欲しいと願う。そんな事すら伝えられないまま、都会的手段の受話器を置いた。
帰宅時に覗いた郵便ポストに近頃では珍しい手書きのはがきが届いていた。消印は1月24日とある。裏返して直ぐ、屋久島に引っ越した友人からだと認識した。会社の同僚だった彼女を連れ、東京を離れたのは今年の初めのようで、昨年の暮れから連絡がつかなかっただけに少々心配はしていたのだが、どうやら話に聞いていた通りなんとか落ち着きそうな雰囲気で、そのはがきを見ながら少しだけ変わった彼を思い出していた。
(224) スマートに 2004/01/27
ひょっこり生えた2本のキノコ。 スマート純正のタコメーターとアナログ時計であるが、その実用性は?と聞かれれば決してGOOD!とは言い難い。時計については申し分無いものの、この手のコンパクトタコメーターは社外品を含め視認性に欠けるところがある。街乗りなどの落ち着いた走りならともかく、気持ち良くスポーツを楽しむような走行となれば、前方の路面を読む事に集中するがゆえメーターへと目線を移す回数は自然と減少し、更にはバンピーな路面が齎す目線の上下運動は、視界に入るメーターの確実な指針読み取りを極めて困難とさせる。しかし本来そんなドライビングにこそタコメーターの必要性があるわけで、その矛盾から生まれる ”見やすいタコメーターの定義” の結果が街で見かける走り屋クンの後付けビッグタコメーターなのだろう。 |
しかし私の車はスマート。その名の通り全てをスマートにまとめたいものだ。コラムの上に80φや115φなどという いかついメーターは付けたくないし、かと言ってマニュアルシフトモードでも6000レブで勝手にシフトアップされてしまうのもつまらない。現時点で真っ先に頭に浮かぶのはマツダロードスター時代に装着していたシフトインジケーターなのだが、これまでの経験から指定回転数で点灯するだけのインジケーターは少々使いづらい面もあり、3段ステップ程度のインジケーターがとっても実用的では?と思えるのだ。4500rpmで第1発光、5000rpmで第2発光、5500rpmで第3発光...みたいな使い方が出来たら非常に便利である。現在いくつかのモデルが社外パーツとして商品化されてはいるものの、どれも納得のいくデザインには遠く及ばない。 スマートをスマートにモディファイするには相当な努力が要りますな。 |
(223) 置き忘れた時間 2004/01/26
およそ2週間ぶりに私の元へ帰ってきたわけであるが、友人による完璧なまでの保管方法は埃さえ意識したプラスチックケースに収めてのもの。私の神経質な性格を本人以上に理解しての気配りにはホトホト頭が下がる思いであるが、どうしてそこまで私の気持ちを理解できるのか?手渡された時計には必然的に一つの疑問が浮かぶ...「私は友人の心をそれ程に理解できているだろうか?」
自問自答に対し即答できぬ気持ちを少し照れながら 「ありがとう」 と伝えた。 いつもよりゆっくり過ごした温泉を後に、答えは出は出ぬまま今度はその志に対し 「有難う」
を贈った。
先日友人宅を訪れ、うっかり忘れた腕時計。
(222) 彼自身の戦い 2004/01/25
土屋圭市 現役引退。昨年11月、モータースポーツファンには衝撃が走った... 本日、セルビデオ Hot Version
の撮影がメインの引退セレモニーが茨城県筑波サーキットで行われた。私の記憶上他に例を見ない観客動員数は、彼の26年間に亘るレース人生がそのまま絵になったかのようにも見えた。今日という日が彼のために準備されたとあって、朝から晩まで30分刻みで進行される全てのレースにその名前は当然のようにエントリーされていた。どの車両に乗り換えても常にトップタイムを叩き出す。彼の姿にドリフトキングの名は相応しいと思えた。 再び彼が地に足を着けた時、会場は降り出した雪と鳴り止まぬ拍手で包まれていた。 ※ この模様は4月8日に DVD & VIDEO にて発売されるようです。 |
嘗て同じ職場で苦労を分かち合った同期の彼は、どうやらウルトラマンになったらしい。街ではあまり見かけないスクーターに跨り我が家へやってきたのは既に日暮れの頃。昼間でさえ十分に実感の沸く冬の風の冷たさを物ともせずよくもまあ10km程の道のりを来たものだ。 話には聞いていたがどうやらイタリア製のスクーターとかで、このクラスではトップレベルの最速マシンなんだとか...どれどれちょいと拝借。いろいろと説明は聞いたが走り出せばこちらのもの。久しぶりの2輪車は気持ちいいね〜。そんな感想は初めの数十メートルである。ナイトツーリング?にはあまりにも軽装なジーパン一枚の下半身はブルブルと震えっぱなし。挙句の果てに赤信号にて一時停止となれば短い足をめいいっぱい伸ばしてのバランス。後続車のライトに照らされた様は、きっと組み体操の如くバイクと人間による貧弱なピラミッドを描いていたに違いない。 青信号を確認し、ぐいっとアクセルを回してみれば後ろに振り落とされそうな加速と共にヘルメットが若干浮き上がるのが分かる。うっひぃ〜。このスクーターでのレースがあるというのも頷けますな。 デザイン、カラー、スピード、私もウルトラマンになれた一夜である。 |