随分昔の日記で使用した気がするこの写真、今回は少々手を加えて
HDR(ハイダイナミックレンジ)合成を行っています。
カメラで撮影する写真はそのメディアがフィルムであってもデジタルデータであっても人間の目のようにレンジが広いわけではなく、コントラストの大きな被写体を写す場合には、明るい部分に露出を合わせると暗い部分が潰れてしまい、暗い部分に合わせると明るい部分が飛んでしまうというジレンマがあります。なので普通は画面の中で主となる被写体に露出を合わせ、それ以外の極端に明暗差が激しい部分は諦めているのが実情です。
そこで撮影時に、明るい部分に露出を合わせた写真と暗い部分に露出を合わせた写真、そして標準的な露出で撮影した、最低3枚の写真を完全な同ポジで撮影しておき、後にそれぞれの写真の適正露出部分を合成しようというプロセスをHDR合成と呼んでいます。被写体の光の加減によっては5枚や7枚の画像から作る事もあります。
フィルムカメラの時代には、ラチチュードの狭いリバーサルフィルムなどで露出決定ミスによる失敗を考慮してブラケット撮影(段階露出)が使われましたが、デジタル時代になってこのブラケット撮影機能はHDR合成用に用いられる事のほうが増えるかもしれません。
ただし、ブラケット撮影は三脚さえ使用すれば完全なる同ポジ段階露出撮影が可能ですが、手持ちでしか撮影できないようなシーンや動きの早いものを撮影する場合において、時間差でシャッターの開閉を行うという原理上、それぞれのコマの間にカメラブレや被写体ブレが起こる可能性が高いです。そこで重宝するのがRAWデータです。撮影時は1枚の写真として撮っておき現像時に露出補正を加えれば擬似的に段階露出撮影したのに近い画像が生成できます。そして後はHDR合成を行います。
勿論、可能な限り撮影時に段階露出で数枚を撮っておいた方が合成時の調整幅やノイズの面で有利です。
今回はRAWデータから作った3枚の画像から合成を行ってみました。左の写真が合成後、右がオリジナルです。こんなふうに、ハイライトはそのままにシャドー部のディテールが救済出来ます。 |