Simply mini J

1日5分、その日の自分を振り返る時間を作りなさい。
    昔そんな話をお坊さんから聞いた。

その道を知る人ならそこにどんな技術が使われているか気になるハズ

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All Photo by inos

マークオーディオというメーカーから特殊ガラスを用いたスピーカーユニットが発売になるという情報がSNSで飛んできました。

スピーカーシステムではなくスピーカーユニットという点に、自作派の私は目が止まったわけで、既製品のスピーカーシステムでは飽き足らず、自分でユニットの特性を活かしたエンクロージャーを設計するというのはオーディオ好きなら長年楽しめる究極の趣味。私もこれまで何セットかのエンクロージャーを作ってきましたし、音響を電気回路に置き換える(これを等価回路という)ことで、数学的に音響設計をするためのプログラムも学生時代に作りましたから、そこのロマンは今でも忘れていません。難しい数式はほぼ忘れましたが論文に残しているので頑張れば再設計できるハズ。

さて、だからと言って新しいユニットを購入しエンクロージャーの製作に取り掛かろう!というわけでもないのですが、今回気になったこのガラスを用いたスピーカーユニットという点について冷静に考察してみました。

ガラスを使用しているのはスピーカーユニットの主となる振動板でして、古くは紙で作られたものが主流、その後カーボンケブラー製やアルミなどの金属、蒸気により特殊加工されたウッドなど、各メーカーが得意とする加工技術を駆使した製品が沢山あります。

振動板に求められる性能というのは一口で語るのは難しいのですが、一般的には軽量で剛性が高く内部損失の大きなものが好まれる傾向にあります。軽い事で周波数帯域を広く確保出来、剛性が高いことで分割振動を減らして歪みの少ない音となり、内部損失が大きいことで素材が無駄に鳴かず変なキャラクターの無い原音に忠実な再現力となると言われています。とはいえ、それは1本のスピーカーシステムに複数のユニットを搭載するマルチウェイスピーカーでは理想的な要求でも、ユニット1つで全周波数帯域をカバーするフルレンジスピーカーだとまた話は変わってきて、フルレンジの場合には1つのユニットで広い周波数を賄うべく、分割振動(振動板を部分的に異なる周波数で振動させる)を積極的に用いる場合もあったりします。

それら大前提があり、用途に応じた適した素材を追求していくと先述したような様々な最新素材が開発されていくわけですが、そこに今回はガラスだというのですから驚きです。ガラスと言っても紹介動画を見る限りはコップやグラスに使われるようなカチカチのものではなく、スマホの画面に貼る保護フィルムのような柔らかいもののようですからちょっと想像と違う部分もありますが、一番驚くのはガラスであるにもかかわらず内部損失が大きい!と謳われているのです。

ガラスのコップを指で弾いたり金属のスプーンを当てたりすると、キーンとかチーンとか音がしますが、あれは内部損失が少なくマテリアル内に振動が一定時間残っている状態。逆に粘土のような柔らかいものに金属の棒を当てたところでドスッと振動が吸収され余韻など全く感じられません。それが内部損失が大きい状態。

スピーカーという音を発する装置にとって内部損失はできるだけ大きい方が本来発する音以外の余分な余韻を残すことなくクリーンな出力が期待できるわけで、そのためこれまではスピーカーユニットの振動板には紙やカーボンや木と言った内部損失の大きな素材が好んで使われてきたわけですが、今回はガラスです! スピーカーユニットメーカーが暗黙の了解で御法度!と考えそうな素材をあえて投入してきたという点が面白いところ。

どんな音がするのでしょうね?

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