あの頃の記憶を取り戻しに

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私が内田さんの写真展を初めて見たのはもう15年も前の事。内田さんにとってもそれが最初の写真展だったと記憶しています。

私の写真生活に一番大きく影響した人、作品そのものは勿論ですが、カメラを持ち歩く意味、それによる生活の変化、トークショー等の言葉の選び方まで、多分この人が居なかったら今の私の写真生活はなかっただろうと思える存在。そんな内田ユキオさんの写真展に行ってきました。

富士フィルムというスポンサーがついているからには、話の焦点はどうしても写真よりカメラやレンズに集中しがちですが、それでも今回の写真展は久しぶりに内田さんらしい作品の数々を見れた気がしました。その昔モノクロフィルムでハワイを撮っていた内田さんが最新カメラを持ってもう一度ハワイを撮った...。そこにはフィルムシミュレーション等の使いこなしもありますが、そもそも現地で何を見ていたのか、何を残したかったのか、そういった写真を撮るという行為の根本にあるものは15年前から変わっていない気がして少しほっとしました。

今回もトークショーを聞いてきました。100席程準備された座席は開演20分前には満席で、立ち見を合わせ会場を埋め尽くすほどの人気となった1時間。そこで交わされたトークは以前ほど私の心には響かなかったけれど、他のどんな写真家さんとも違う内田さん特有の空気感は、集まったお客さん全体を包み込んでいる感じがありました。

デジタル時代にこんなふうに現実世界で個展ができるなんて贅沢ですね。もし内田さんの個展に次があるとしたら、その時はもうパソコンやスマホの画面の中なのかな?そんな事を想像しました。

内田さんの写真を見るといつも私の心はニュートラルに戻してもらえる...そんな気がします。

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