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芸術の基本を考え直す

Posted on 2017/05/26

私も若い頃は、新宿や渋谷を歩けば綺麗なものにも汚いものにもカメラを向け、自分が感じたままの写真を残していましたが、近年は徐々に汚いものは撮らなくなってきた気がします。

それが良い傾向だとは思っていないのですが、あえて汚いものを写真に残す必要もないのかな?と感じていて、少なくとも意味もなく街のゴミ箱や汚れた自動販売機を撮る事は減ったのは事実です。

自分を取り巻く環境や時代、技術の進化という理由もあるかもしれません。昔なら毎日カメラを持ち歩く人など余程写真好きな人でなければあり得なかったですし、他人が見たらそこに価値を見いだせないような写真にもプリントして目に見える形にするにはお金が掛かったわけですから「撮る」事に覚悟が必要でした。しかし現代はスマートフォンがある限り誰もがカメラを持ち歩いているわけですし無限に近い写真がタダで撮れるわけですから、「覚悟」より「活用方法」を考える方が世間の評価に繋がりやすい気がします。

また、スマートフォンではなくあえてカメラを持ち歩くからにはそれなりの結果を残さなくてはいけないというプレッシャーもあってか、世の中的には解像度だとか暗所耐性だとか「撮る事」よりも「性能を語る事」が増えたようにも感じます。

先日千葉の棚田を撮影した写真をSNSに投稿したら思いのほか評判が良くて驚きました。その前の星の写真も同様ですが、一般的には ”綺麗に撮れている写真” が評価されるのは当たり前。でも撮り手の立場からすると、仮に世の中で ”最高” と言われるような美しい写真が撮れたとしても、絵はがきみたいな写真なら自分ではなくても同じような写真は撮れるような気がして「いいね」を貰える事に違和感があります。同じ場所に行って同じようなカメラを同じような設定で使い、お手本の写真をまねたアングルを選べばそれなりに撮れてしまい、後処理の難しさがあるとしても最近ではフィルター1つでアーティスティックな写真に仕上がったりしますから、もしかするとお手本の写真よりもドラマチックな作品が出来るかもしれません。それらの使いこなしもテクニックの一つだと言ってくれる人もいますが、今後益々技術が進めばカメラ設定や後処理も人がやるより機械の方が得意になるかもしれません。それはまるでドローンの進化みたいに。

私はこう思うのです。多くの人が ”良い” と思う結果なら自動化が出来るのではないかと。良いと感じる共通点があるから沢山の評価を得るわけで、統計的にそれをアルゴリズムに加えれば人じゃなくても出来てしまうのだろうなと。

だとしたら人として写真を撮るという事はどういう事なのか。思うにそれは作り手が完成させたものを提供する事ではなく、見た人が自分なりのストーリーを作れるような作品作りなのかなと考えます。答えは画の中にあるのではなく見た人の心で作り上げるものだと。見る人の価値は十人十色だからロボットには出来ない事。作り手というのは見る人に広がりを与える事、そのきっかけを作る事が一番の役割なんだと思います。

音楽だって同じですね。やみくもに自分の感情を訴えかけるような歌詞やメロディを並べるより、聴いた人が自分の置かれた環境に上手く重なるような曲の方が絶対に響く。辛い時にその曲を聴くと元気が出るとか、昔の誰かを思い出すとか、リズミカルに仕事が進むとか。決して「皆が良い曲だ」というから自分にも良い曲に聞こえるわけじゃない。今流行しているから自分にとって良い曲になるわけじゃない。

芸術というのは自分が感じた事を人に伝えるという根本的な役割があるように思います。人には些細な事でも自分にとってそれが大きな刺激であったなら自分なりの工夫でデフォルメして、気付かなかった多くの人にもその良さを伝えよう...それが芸術。有難い事ではあるのですが「いいね」を沢山貰うほど違和感を感じるのは、芸術の基本が逆転してしまうからでしょうか。「いいね」を期待したモノづくりになってしまったり、沢山のアクセス数が欲しくて派手な事をしたり。ゴミ箱を撮っていたあの頃をいったい何人が「いいね」してくれるでしょうか。

雲台は別途検討中

Posted on 2017/05/24

カメラ用三脚を新調することにしました。これまで愛用してきたSLIK EXCELLA 4というアルミ三脚はかれこれ24年前の骨董品。学生時代になけなしのお金で横浜ビックカメラで購入したのを覚えています。センターポールをいっぱいまで伸ばしても全伸長が1350mm程度と少し小さめでしたが、サイズのわりにはパイプ径も太く安定していたのでこれまで使い続けてきました。

しかし先日天体撮影に出かける際気付いたトラブル。ロックレバーのプラスチックパーツが割れてしまって固定できない...。三脚って一度買ったら一生ものくらいに考えていたのでまさか壊れるなんて事があるとは考えてもいませんでした。ただでさえ1350mmしかない高さが更に1段分低くなりいよいよ1メートルの三脚になってしまいます。常に中腰で撮影って流石に辛いですね。接着剤などを工夫して固定してみましたがロックレバーは力が集中する箇所なのでロックしたのと同時に傷口が開いてしまう...。それなら修理に出そう!という事でメーカーに問い合わせたところ、販売完了からすでに17年が経過しており交換パーツが無いとの事。ちょっと寂しさを感じました。学生時代からずっと愛用してきた三脚だったのでいろんな思い出が詰まっていましたからね。

残念な気持ち半分、急遽新しい三脚を購入する事になり浮かれる気持ち半分で各メーカーを見繕った結果、ヨーロッパ方面の高級三脚に憧れはあるもののお値段がお値段ですし、多少見劣りはするものの機能性では負けていない中国製も結構立派だったりして、結論その中国製をネット通販でアメリカから取り寄せるという力技。BENROというメーカーはカメラファンなら聞いた事があるかもしれませんが、日本国内は最近になって輸入代理店が無くなってしまい今後は購入が出来なくなるとの事、大手量販店の店頭からも次々と姿を消しています。したがってお目当てのモデルを購入するなら海外通販しかなくなってしまったというわけ。

まあ理由はどうあれ、GITZOの1/4程度の価格で購入できるのでこの際安心して使える三脚を奢ろうと。多分船便で半月ほど掛けやってきますから気の長い話ですね。eBayのトラッキングサービスを利用してみたところ現在ニューヨークで自由の女神の下あたりを移動中。

最高の瞬間を期待するなら、まず待つのがいい

Posted on 2017/05/19

なんだか良い瞬間だったんですよね。黄色い可愛い車が停まっているというだけで写真撮っておこうと思ったらちょうどそこに黄色いバスが滑り込んで来て...。あまりに咄嗟の事だったので電子シャッターのままレリーズしてしまい、バスは見たこともないような流線形デザインになってしまいましたけど。こういう時は機械式シャッターで撮らないとダメですね。α9ならこの20倍の速度でスキャンできるようですからほぼ問題ないレベルにまで来たようですけど。あと2年もすればカメラからシャッター幕はなくなるかもしれませんね。

無い物ねだりをしても仕方がないのでここで最高の瞬間を狙うなら、この後機械式シャッターに切り替えてからなぜもう少し粘らなかったのだろう...というのが今回の反省点。確かに黄色いバスは斜めになってしまいましたが、もしかしたらこの後真っ赤なバスが走ってきたかもしれないのに。

Heliar 40mm F2.8とLM-EA7のコンビネーション

Posted on 2017/05/13

Voigtlander Heliar 40mm F2.8をα7RIIと組み合わせてみました。このレンズはZMマウントながらフォーカスリングを持たない構造上、ヘリコイド付きマウントアダプターを使用する事が前提で設計されており、それを含めたフランジバックから逆算すると事実上ソニーEマウントや頑張ってもFUJIFILM Xマウントでしか使えません。そう、フォーカスリングが無いのです。ピントが合わせられない奇妙なレンズ...。

ですから普通は同メーカー製VM-E Close Focus Adapter なる繰り出し機能付きマウントアダプターを入手して組み合わせるわけですが、私の場合は都合よくTECHARTのLM-EA7を持っていますからZMマウントのこのレンズならそのままAFで使えてしまうのではないか?という目論見。

結果は、無限遠含め問題なく使えます。勿論LM-EA7でフォーカスを合わせる関係上マニュアルフォーカス操作が出来ませんのでAFで合焦しない被写体は撮れないという事になりますけど。35mm〜50mmあたりの標準レンズなら他にも沢山ありますがこのクラシカルなレンズを使う理由は何といってもコンパクトなデザイン。沈胴式と言って、使わない時はぐっと押し込んでボディ内に収めておき撮影する時だけにょきっと引き出して使うライカファンの間ではおなじみの方式。つまるところ小型軽量が魅力なα7シリーズをそのままスナッピーに使う便利レンズということです。

マニアックな小型レンズフードと相まってキノコのような可愛らしいこのレンズが私の常用となりそうです。

それぞれの重さは、TECHART LM-EA7:137g、Heliar 40mm F2.8:135g、合計:272g。大きさの割に軽くはないですね。

LM-EA7が更に便利になってきた

Posted on 2017/05/11

MマウントレンズがAFで使えるマウントアダプター(LM-EA7)を入手してからというもの、使い慣れていたNikonのマニュアルレンズさえもAFで使用するようになり、その便利さに甘えてしまったらもう手放せないアイテムになっています。古いレンズが使えるので最新レンズよりコンパクトにまとめられるというメリットも大きいです。その場合光学収差からは逃れられませんがそれも味として活かせる用途ならハマります。

最新レンズの多くはレンズ側に手ブレ補正機構が内蔵されている分鏡胴が大きくなってしまっていますが、カメラ本体にボディ内手ブレ補正を身にまとうα7RIIに組み合わせるなら手ブレ補正機構は省略してくれたほうが小さく軽く安価で有り難いんですけどね。

そんな理由半分、過去の資産を活用したいという気持ち半分の私にとってLM-EA7は良い仕事をしてくれています。そしてようやく使いこなせるようになってきたところです。

さてそんなLM-EA7ですが、レンズ交換後の儀式としてカメラ本体のFナンバーをしかるべき値にセットしてシャッターを切る事でそれ以降の撮影データにレンズメタを反映できることは以前書いた通りですが、プリセットで登録されていない焦点距離のレンズを使う場合にはどうするのか?という疑問があります。私の場合20mm、35mm、50mm、105mmを主に使いますが50mm以外はプリセットされていませんから20mmや105mmを使うなら工場出荷時の値から近似値を選ぶのが手っ取り早い...。

まあ私の性格からしてそんな曖昧な使い方で我慢できるはずはなく、今回はプリセット値のうちユーザーが編集可能な4本のレンズデータを書き換えてみました。カメラボディ側のFナンバーで、F11、F13、F14、F16に対しそれぞれ先ほどの4本の焦点距離を割り当てます。

書換え方法はスマートフォンから行いますが、これに関してはiPhoneは未対応でAndroid端末からに限定されるため、ゴールデンウィークに長野の実家に帰省した際、兄のAndroid端末を借りて行いました。マニュアルなどは一切読んでいませんでしたがアプリのUIと動物的感だけで何とかなりました。

TECHARTのサイトよりレンズ焦点距離編集アプリをダウンロードしAndroid端末にインストールしておく。(Android APP for datasettings)
②スマホとLM-EA7を接続すべくBluetoothをOnにする。
③LM-EA7が装着されたカメラの電源を入れ絞りをF90にセットしシャッターを切った後カメラの電源をOFFにする。
④アプリを起動しF11~F16までの各レンズデータを編集しCONFIRMする。

②と③の順番は曖昧ですが操作としては以上のような流れです。編集後は念のため各Fナンバーにセット後撮った写真のEXIFを確認してみましたが全て狙い通りの焦点距離が反映されていました。

更に、重要なのはカメラボディ内手ブレ補正のレンズ焦点距離情報に反映されているかどうかですね。これまでLM-EA7を使用してマニュアルレンズを使う際は、EXIF反映の為のFナンバーによる焦点距離のセットと、カメラ内手ブレ補正の焦点距離の二つを設定しなければならず、面倒なだけでなく片方(もしくは両方)をセットし忘れる事がしばしばでしたが、今回の設定により正しい焦点距離がカメラ側にフィードバックされる事になりますから、ボディ内手ブレ補正の焦点距離設定をオートにしておけばFナンバーのセットのみで自働的に手ブレ補正の焦点距離も切り替わるはずです。

目視による確認ではありますが実際にテストしてみました。手ぶれによる影響が大きく変化がわかりやすいということで105mmのレンズをセットし、カメラ側のFナンバーをF16にセット後シャッターを切りその後の手ぶれを確認。次にF11にセット後シャッターを切りその後の手ぶれを確認。すると明らかにF16でシャッターを切った後の方がファインダー内ライブ画像が安定します。なんたってF11はLM-EA7が20mmレンズとしてカメラボディに情報をフィードバックしますから、ボディ側は20mmの広角レンズが付いていると思い込んでブレ補正を行い、実際は105mmレンズを付けているわけですから手ぶれが治らないのは当然。F16でシャッターを切り直せば105mmのレンズ情報がフィードバックされて適切なブレ補正が働きピタッ!と安定。ん〜気持ちが良いです。

LM-EA7、過去のマニュアルレンズがオートフォーカス化できる上、レンズデータのメタデータまでをボディと連携して活用できる、素晴らしいマウントアダプターを考えたものですね。

 

最近一番使いやすいバッグはこれ

Posted on 2017/05/09

先日学生来の友人とのやり取りの中で、「ブログの内容にカメラの事は出てくるけれどその周辺についても掲載してくれて良いんだけど...」みたいな半ば強制的なオファーがあったので今日はカメラバッグについて。

一眼レフカメラを初めて手に入れた若い頃はDONKEやTENBAのブランドに憧れて戦場カメラマンのごとく肩から下げてみたくなったりするものです。私の場合も社会人になり金銭的余裕が出てきた頃初めて買ったバッグがLoweProの防滴仕様の物でした。そしてそれは今でも実用的に活躍していますが、今回の天体撮影のように比較的ハードな撮影環境の時、つまりは1年に1回程度の頻度でしか持ち出されることはありません。

撮影を仕事にするならともかく生活の中でカメラを使う!程度の取り組みにおいては、カメラのためにバッグを買い直す!というのは本末転倒というか、車を買ったので家を手放して引っ越す!みたいに大事なものを失っているような気がしなくもなくて、それも含めて楽しむ場合を除いてはあまり得策ではないような気がしています。

味気ないテーブルでも一輪の花を置くだけで少し幸せな感じがするように、マンネリ化しがちな生活にカメラ一つで心が豊かになるのなら何も今の生活の形までを変える必要はない...。

私は上の写真にあるようなPORTERの小さなショルダーバッグを愛用し、カメラを入れても入れなくても休日はこれ一つで行動することが多いです。特にクッションらしきものは入っていませんが底にタオルを一枚入れておけば普段使いのカメラバッグとしても機能するので便利です。他にもバッグは持っていますがこのバッグの使用頻度が高い理由は、ポケットがとにかく多い事。内部ポケットは勿論ですが外側のファスナー付きポケットの中にも小物入れのような小さなポケットがあったり、フラップを開ければそこにもポケットがあって、正直全てのポケットを使いきれたことが無いくらい収納の自由度が高いのです。また、全てのファスナーがプラスチックで出来ており更にファスナーガードのようなもので覆われているため、カメラを出し入れする際ファスナーに触れても塗装が傷つくことなく安心して使える点もポイントが高いのです。

最近はα7RIIと財布とiPhoneの3点セットを入れて持ち歩いていますが、その重みが肩に集中しないのはショルダーストラップが車のシートベルト程の幅で出来ているためで食い込むことがないんですよね。

※ PORTER / PORTER KLUNKERZ SHOULDER BAG(S)

有りあわせのレンズでこれくらい写った

Posted on 2017/05/07

美ヶ原高原で撮影した星景写真のコンポジット作業が完了しました。

◎撮影地
長野県美ヶ原高原
◎撮影日時
2017年5月5日 2:00~
◎撮影機材
・SONY α7RII
・Nikon AI Nikkor 20mm f/2.8S
・SIGHTRON nano.tracker(ポータブル赤道儀)
◎露出時間
ISO1600 F4
追尾:120秒×4枚
固定:240秒×1枚

先日、精進湖で撮影した時の情報を元にカメラ設定や露光時間を調整した今回の撮影!。前回は自然な感じを目指した現像&コンポジット処理も今回は第一印象のインパクトを重視。露出時間は前回の追尾60秒から120秒へと1段長くし、地上固定部分は後処理の加算平均合成をしない前提としたのでなるべくノイズを減らすべく天体追尾より更に1段長くして240秒。勿論そのままの素材では天体に対し明るくなりすぎますから1段分暗く現像します。つまり地上のみ減感撮影という事ですね。

相対的に見て前回のものより飛躍的に品質が向上したように感じますね。露光時間が延びた事で天の川付近が十分感光されましたから後処理のあぶり出しが柔軟に出来た点が大きいです。また標高2,000メートルというロケーションがかなりプラスに働いていることもあると思います。露光時間を伸ばすということは光害も比例して影響してきますから、単純に星だけが明るく写ってくれるわけではなく、例えば東京でそんなことをしたら夜空を撮ったはずなのに真っ白な空になってしまいますからね。ここ美ヶ原は光害も少なく空気も澄んでいるので天体撮影には最適な場所だと思います。

このアングルでは追尾120秒露光を合計9枚撮っているのですが、深夜にも関わらずLEDライト片手にやってくる観光客の方や他の天体撮影ファンがフレームインしてしまったりして結果的に影響を受けなかった4枚の加算平均となりました。まあこの場所は皆のものですから文句は言えず譲り合いですね。もしこれがゴールデンウィークでなければ恐らく現地は貸切状態だと思いますので、もう1段絞って露光時間を2倍なんて撮影が出来そうで、画面周辺の収差の影響を最小限に出来るのではないかと思います。このレンズの場合F4では画面周辺だけ画が流れて星が大きく写ってしまっていますからね。SAMYANGかSIGMAの14mmレンズが欲しくなります。

せっかく長野に帰省したならやはり行くべきはここ

Posted on 2017/05/06

長野(南部)まで帰省しましたが、実家に帰ったからといって何かやる事があるわけでもありませんし、なんとか天気も持ちそうでしたから帰省早々その晩から美ヶ原高原へ。勿論天体撮影目的です。

自宅を出発したのは23事頃。その頃はまだだいぶ雲がありましたけどGPV気象予報によれば深夜には雲が晴れるという事だったのでそれだけを信じ片道2時間程で現地へ。ここ美ケ原は子供の頃から私の好きな場所です。先日の精進湖でも深夜の気温は5℃まで下がりましたが、美ケ原は標高2,000メートルですから更に寒くて0℃。所々残雪もあったりして真冬の格好をしていても2時間もいれば凍えます。写真撮影は体を動かさないため体温は奪われる一方なんですよね。それでいて数メートルの風もあったりして手袋も2重に填めたいくらい。

月の入が1:42で薄明が3:09という事で撮影可能時間は約1時間半。最寄りの駐車場から10分程かけ徒歩で到着した美しの塔付近は1時の時点で同じような天体撮影御一行様がすでに10名ほど。ゴールデンウィーク中ですしやはり皆考える事は同じですね。

時間的には3対象くらいはなんとかいけるかと思いましたが、周囲の人のライト点灯の影響や雲の具合から、頑張って2対象が限界でした。精進湖の時よりも条件良く撮れた気がするので天の川がもっとはっきりあぶり出せそうです。

トラブルが重なりましたが何とか完成

Posted on 2017/05/03

◎撮影地
山梨県精進湖
◎撮影日時
2017年5月1日 1:00~
◎撮影機材
・SONY α7RII
・Nikon AI Nikkor 20mm f/2.8S
・SIGHTRON nano.tracker(ポータブル赤道儀)
◎露出時間
ISO1600 F4
追尾:60秒×4枚(横構図)、90秒×2枚(縦構図)
固定:60秒×1枚(横構図)、120秒×1枚(縦構図)

α7RIIでは初となる天体撮影でしたがようやく後処理のコンポジット作業を終え見られる写真に仕上がりました。今回は富士山を地上に、空に春の天の川をフレーミングしたくてこの場所と時間を選びました。星空は4枚の追尾撮影画像から加算平均合成を行い、地上は1枚の固定撮影画像を使用しています。よってこの写真は5枚のRAW素材から生成しています(縦位置は追尾が2枚なので地上と合わせて3枚のRAW素材より生成)。ですから作業中のフォトショップファイルは1枚で4GB超え...重い!

富士山の高さくらいまでが黄色くなっているのは周囲の光害の影響ですかね。南極とかで撮ったら地平線までバッチリ星空が写せるのかも。RAW現像次第では天の川をもっとえげつないくらい強調出来るのですが、今回は比較的おとなし目で自然な仕上りに留めました。画面の周囲が若干流れているのはAI Nikkor 20mm f/2.8Sの実力です。これでも1段絞ってF4で撮っていますが、F5.6まで絞ればもう少しマシになると思います。その分露光時間が必要になるので今回はこれで妥協。

そう、実は撮影当日はいくつかのトラブルに見舞われ現場で結構慌てました。まず一つ目に ”レンズが曇る” という初歩的なトラブル。一般的には対策としてレンズにホッカイロを巻き付ける!何て言われていますが今回はその準備がなく、しかも過去の天体撮影で私はレンズが曇った経験がない事から結構甘く考えていましたね。結果的に撮影開始後レンズが結露するまで2分と持たず、シャッターを閉じるたびにレンズを拭く!という作業が発生しました。ですから安易に1段絞って画質を優先しようなどと考えてもレンズが曇ってしまう関係で露光時間が延ばせなかったのです。

次に、α7RIIをスマートリモコンアプリでiPhoneからレリーズした場合、必ずノイズリダクション処理が掛かってしまうという動作に悩まされました。一般的にデジタルカメラは数秒以上の長時間露光を行うとセンサーノイズを打ち消す処理が撮影後に実行されます。もし10秒間の露光をしたら、シャッターを閉じた後露光時間と同じ10秒間のダークフレームをカメラが自動で撮影し合成しているのです。それによりノイズ成分が打ち消されクリーンな画に仕上がるというわけです。まあ10秒くらいなら待てない事はないですが、今回の撮影は短くても60秒、長いものは120秒の長時間露光をしていますから、シャッターを閉じてから2分間はカメラが後処理をしており他の作業が出来ません。しかも天体撮影は帰宅後のパソコン処理にて4枚〜8枚のデータをコンポジットしますから撮影自体もその枚数分必要です。つまり1対象を撮るのに(2分露光+2分後処理)×8という計算になり1対象を撮り終えるまでに30分以上を要します。

そうこうしているうちに空には飛行機が点滅しながら横切ってしまったり、車の出入りでヘッドライトの光害を受けたりしますから撮直しを含めると45分くらいは掛かります。星だけを撮るならそれでも問題ないものの、星景写真は地上の景色もフレーミングする関係で、出来るだけ短時間で撮り終えたほうが後処理が楽なのです。撮影中も赤道儀は動いていく星をずっと追いかけていますから、撮り始めから撮り終えるまでに45分も掛かっていたらカメラのアングルが相当変わってしまってしまいますからね。

もしカメラ内処理が掛からなければ単純計算その半分の時間で撮る事が出来ますから普通こうした撮影ではカメラ内処理はOFFに設定すると思います。今回も当然OFFにしていたハズですがどういうわけか毎回処理が実行されてしまい...。確かその時はカメラ内NR機能がグレーアウトしていて選択できなかったような気がするんですよね。帰宅後改めてiPhoneからリモートアプリでBULB撮影してみたところ、今度はなぜか内部処理は走らず...不思議です。まあ次からは意識して設定してみましょう。

また、そのようなトラブルにならない為にも事前に自宅にて動作確認した設定をユーザーメモリーに登録しておき、現場ではそれをロードする事で間違いの無い撮影に臨みたかったのですが、α7RIIのリモートアプリは撮影モードがユーザーメモリーモードでは使えないという事が現場で分かり、急遽Mモードで1からメニューをセットし直したのがトラブルに繋がったと思っています。やはりこういうのは場数ですかね。

撮影後のデータも不思議な現象が起きていまして、それでコンポジット作業に時間がかかったというのもあります。が、それについては長くなるのでまた今度。とにかくα7RIIによる星景写真第一段は何とか完成という事で...。

二人の写真家イベントが同じ文化複合空間で開催

Posted on 2017/05/02

2ヶ月ほど前からチェックしてあったフォトイベントへ足を運ぶ事にしました。こんな事ってあるんだなと思っていた奇跡の同時開催は、SHIBUYA Bunkamuraにてロバートフランクの映画上映と、ソール・ライターの写真展。

ソール・ライターのドキュメント映画「ソール・ライター急がない人生で見つけた13の事」は一年ほど前に渋谷イメージフォーラムにて見ていましたが、今日はその写真展というわけです。200点からなる作品が一同に集められた大規模な回顧展は日本初開催。連休中の平日ながら多くの来場者で賑わいました。賑わっていたと言っても写真展ですからしーんとしていますけど。

ソール・ライターはモノクロからカラーに移り変わる時代を生きてきた方で、写真業界がまだまだモノクロに価値を感じていた頃、誰よりも色彩を大事にしてきた人。「芸術の歴史は色の歴史で、洞窟の壁画にさえ色彩が施されている...」なんて言葉を残してもいます。展示会はモノクロプリント、カラープリント、絵画で構成され、そのどれもが素晴らしいの一言。いえ、私は絵画の事はよく分かりませんし、そもそもソール・ライターが写真以外に絵も描いていた事を知りませんでしたが、素人目に見てもちょっと魅かれる絵に仕上がっていたのです。

そして私は彼の放つ言葉にもまた魅力を感じています。「写真家からの贈り物は、日常で見逃されている美を時折提示する事だ」なんてワードが添えられるだけで作品の一つ一つが意味を持ち始めるような感じがしてくるのは、その言葉に負けないくらい彼の作品には説得力があるのでしょうね。私はかなり好きな写真家さんです。帰りがけ写真集とポストカードを購入しました。

一方、ロバートフランクと聞けばコアな写真ファンであれば必ず足を運ぶのではないかと思うくらい著名な写真家さん。世界で最も有名な写真集とされる ”Americans” はこの私でも持っているくらい。インタビュー嫌いとされる本人を取材したドキュメント映画はアップテンポな音楽をバックにリズミカルに構成されています。あまり内容に触れてしまうとネタバレになってしまいますから避けますが、「良い写真を撮るには?」の問いに「ピンボケしない事」と返された言葉には深い意味を感じましたね。ピンボケさせないのはプロじゃなくても心がけている事、つまりはそれ以外の自由な部分こそが工夫のしどころだと...。

こういう刺激的なイベントを見た後はすぐにでも写真を撮りに行きたくなりますね。ソール・ライター展は6月25日まで、ロバートフランクの映画は5月19日(20日以降は調整)まで公開されているようです。