第1回 国際ドローン展(3)

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福島の映像制作プロダクションのMTS&プランさんと埼玉のラジコン関連会社enRouteさんが技術提携し、空撮、農薬散布、測量、インフラ点検と用途に応じた機体設計、販売、アフターサービスを行う協業をスタート。

ドローンの可能性はまだまだ未知で、そこにロマン以外の実用性を誰もが感じているところ、それらを具体的にどう活かしていけるのか多くの企業が模索する中、こうした ”餅は餅屋” 的なタッグは実に合理的な考えだと感じます。

世間がドローンに向ける冷たい視線は別としても、RCをホビーとして楽しむファンと、マルチコプターを道具として用いる企業との間には何処か見えない壁があるような気がしています。世界的に見た時そんな小さな壁にこだわっていたら日本の技術が世に出る頃には既に安価な海外製品一色になってしまっている...そんな事になりかねません。私はこうした異業種交流は素晴らしい方向性と考えます。

 

この発想は無かった ”ドローンdeリレー”。簡単に言うと、災害時などにドローンを携帯電話の中継ポイントとして用いるという発想。直線が無理ならドローンを複数飛ばしてそれぞれを中継ポイントとしてリレーさせるスバラシイアイデア。思いつきそうで思いつかない活用法ですよね。

確かにドローンはGPS測位によって今の技術でも2〜3メートル誤差でホバリング出来ますから、機械を信用するならば手放しでも中継ポイントを空中に作れる計算です。ほほぅ〜と、頷いてしまいました。特に実機を使ってのデモがあるわけではないのでパネルだけの写真で地味ですが。

また、別の会社の製品ですが、バッテリー自動交換機なるものも展示されていました。これについても説明員の方が終始対応中で詳細を聞けなかったのが残念ですが、恐らくバッテリー交換ロボットみたいなものとの併用で、人が立ち入る事の出来ないような場所で長時間飛行を可能にするというアイデアかと思います。

 

Dji Phantom 2 VisionやPhantom 3がリリースされた事で一気に注目度が下がった感のあるLightBridge。機体コントロールとFPV映像通信を1台でやってのけるスグレモノですが、これだけで18万円程になりますので、確かにPhantomクラスであればその機能込みの機体価格のほうが安いとあって、おのずと大型機とのコンビネーションという解にたどり着きます。

私のPhantom 2のようにFPV機能が標準機能として搭載されていない機体にとってコイツは万能で、5.8GHzトランスミッターを使うタイプと比べてもこちらはデジタルですからノイズは明らかに少ないですし画像も鮮明です。尚且つレシーバーにはHDMI出力がありますから、SONYやEPSONが販売するご家庭用高性能ゴーグルでFPV飛行出来るはずなんですよね。夢は広がりますが趣味で使うにはお値段が現実的でないのです...。

 

この展示会のいくつかのブースで目にしたのがマクセル製リチウムイオンバッテリー。確かこのサイズで7S 16,000mA/hだったと思います。Phantom専用バッテリー同様に内部に各セルのバランサーが内蔵されており、充電ケーブル一本でバランス充電を行ってくれるという仕組み。近年ラジコン業界で使われるバッテリーの多くはリチウムポリマーと呼ばれるものですが、こちらは携帯電話などでお馴染のリチウムイオン。担当者に話を伺うと実は両者に大きな違いは無いとの事。中に使われている素材の違いによって呼び方が異なるだけで、リチウムイオンもリチウムポリマーの一種と考えられるのだそうで...。

ただ一般的なリチウムイオンとの違いは、ラジコン用、特に空モノに使う場合はある電圧まで放電した際に一気にカットオフしてしまうと即墜落してしまう為、その機能を使用せず推奨電圧を下回っても出力を続けるような回路にしてあるとの事。その代わり、有る電圧以下に達した事は内部ログに記録される為、その形跡があるものはその後の保証は出来ないという割り切り。なるほどという感じですね。ラジコン用リチウムポリマーも ”放電のしすぎ” にシビアになるのはここを気にしての事です。空モノ以外は自動カットオフしてくれたほうが安全な場合もあるでしょうね。

2つのブースで見かけたXploreタブレット、防塵防滴は屋外使用が前提のドローンコントローラーとして必須ですね。タブレットによってウェイポイントを設定後自動制御で飛行させている最中にタブレットが壊れました!では話になりませんので。

何処かのブースでは火山灰が入り込んでも使用可能なブラシレスモーターの展示を行っていました。国産でした。

ドローンのデモフライトエリアの様子。昭和のパンダの動物園ですか!って感じの注目ぶり。皆浮き上がるだけで「ウォ〜」って歓声が上がっていましたが、ドローンなので浮き上がるのは当然ですし、安定飛行も今となっては当たり前のものですので、このエリアでの私なりの収穫はありませんでした。

こんな事を書くと怒られるかもしれませんが、ドローンの展示会なのですから、もっと会場内を実用機がどんどん飛び回っているくらいで良いような気がするんですよね。会場の様子を中継で放送しているとか、上空から空いている展示エリアをリアルタイムに計測して電光掲示板に表示するとか。万一の場合も来場者の頭上には落下しない技術を盛り込んでいます! それくらいの発展を望みたいですね。

来年の第2回開催の内容が技術的にも展示アイデア的にも今年を上回ってくれる事を期待しています。このジャンルの進化はとても早いので、現時点では想像もしないような出展があるといいですね。「昔はドローンが危ないって話題になったよね」そんな声が聞こえて来ると嬉しいです。

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