正解は無い、答えは自分で見つける

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知人が車を買ったというので今日は久しぶりにドライブの予定を立てていたのですが、いつもあてにならない週間天気予報のハズレに期待して早朝目を覚まし外に出て見たらしっかり雨が降っておりました。午後には晴れると言われても雲と一緒に北上する予定でいましたから快適なドライブなど期待出来るはずもなく。あっけなく中止でございます。

だからといって突然出来たスケジュールの空きにやる事もなく自宅でグズグズ過す...何て事は致しません。私は趣味に生きているようなものですから、それがダメならこちら、こちらがダメならあちらという具合に、やりたい事は常に渋滞しております!

というわけで直ぐに手段と方向を変更して向かったのは大田区にあるART FACTORY城南島で開催中の ”Tokyo International Photography Festival”。国内外のトップアーティストによる写真展示やトークセッション、ワークショップ、ポートフォリオレビュー等が盛り込まれており、羽田空港近くの工場地帯という立地条件ながら悪天候でも足を延ばしたくなるようなフォトイベント。

ご一緒させて頂いたパリ出身の女性カメラマンさんがカッコよく、最寄り駅から会場へ向かうマイクロバスに乗り込むも流石はプロとあって待ち時間が10分程あると知ると直ぐに降りていって周囲の写真を撮り、発車ギリギリまで車へは乗り込まず辺りの変化に気を配っていました。私としてはその様子を写真に撮れただけで大満足。もう少しマイクロバス感を入れ込むべきでしたね。バスのガラスに張り付くように撮っていますから、これ以上となると左目でファインダーを覗く練習をしないとダメですね。

 

展示されている写真はバリエーションに富んでいますが、それぞれの写真家さんが表現しようとしている世界はとても明確に表れていて、カメラの性能とかレンズの描写力とか近年流行りの手法とか、そういった小手先で作り上げた作品とは明らかに違っていて、写真というのはあくまで手段であり表現したいものはその手前にあるんだという事を訴えかけているような、言ってしまえば ”圧倒的自己主張” をカタチにした...そんな作品の数々が並んでいます。

勿論著名な写真家さん達の作品ですから、そこには仕組みを理解した上でのカメラの使いこなしや工夫が盛り込まれているわけですが、所謂カメラファンの間で語られるような「ボケが奇麗だから良いレンズ」、「ノイズが少ないから良いセンサー」、「手ブレが少ないから優れた補正機能」みたいな次元の話は作品からは感じる事は無いですね。だから見ていて面白いわけです。

教科書通りならそれは生徒の立場。教科書に載っていない事に挑戦しているから先生になれるのかなと。

Henrik Sorensenさんによるセミナーに1時間立ち見で参加しましたがなかなか興味深い内容であっという間に時間が過ぎてしまいました。得意な写真の方向性はあるにせよ、ジャンルを問わずこの人には死角が無いのか?と思わせるほど多くの知識や技術をお持ちのようで、恐らく参加者の殆どは自分好みの話をきっかけにより広い世界に引き込まれていたのではないかと思います。私なんてこの方の話を聞いた後は水中写真を撮ってみたい!なんて突拍子もない事を考えましたから...。最後まで参加した人にはプレゼントとして1冊ずつ写真集が配られました。小さなバッグ一つで行った私には嬉しい誤算でした。

今回のイベントの展示作品を見たり、セミナーに参加して技術的な話を聞かせて頂いて感じたのは、デジタルが熟成されてきた現代の写真業界は、もしかしたら50年後100年後に何かしらのネーミングを付けられるような改変時期を迎えているのかな? そんな事を感じました。数十年前にピクトリアリズムとストレートフォトの論議があったように、今の写真業界は半分はコンピューターの使いこなしが技量の一つとして求められ、それを良しとするか否かは今のところ写真家自身のモラルと表現の間でグレーゾーンとされています。

見た事のない世界を多くの人に見せるのが写真家の使命だとするなら、そこには惜しみなく技術や工夫や手段を取り入れるのは自然な事かもしれません。撮り方も捕らえ方も価値観は時代と共に変化する...。勿論作品を見る人の価値観も。21世紀の写真家さん達はそこに共鳴するような作品作りに日々挑戦しています! そんな事を訴えているような刺激的な写真展でした。

 

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