芸術というのはもともと人がやらないような事を形にするところから始まったのでしょうか．．．。その定義はなかなか難しいです。

以前、横浜美術館で開催されたポンペイの壁画展を見に行った時、私はそこから当時それを描いた人達の気持ちについて考えたのを覚えています。今のように道具が先にある時代ではなくて、多分何か描きたいものが先にあってそれを形にするために絵の具を作ったりしたはずです。勿論描くものの方向性とか描き方のテクニックというのはその時代のトレンドがあったのでしょうけれど、「油絵を描くならまず最初にこれだけのものを揃えましょう」という時代ではなかったはずです。

遠くまで行きたいから乗り物を作ったように、描きたい物があるから手段を考える．．．至極当然ではありますが、モノにあふれた現代では常に発想が逆転しています。車を持っているから行きたい場所を考える、カメラがあるから撮りたいものを探す．．．。それはそれで楽しいですけれどね。たまにはストレートに何かに向かってみたくなるのです。