Simply mini J

1日5分、その日の自分を振り返る時間を作りなさい。
    昔そんな話をお坊さんから聞いた。

iPad Proを本気で写真制作に使おうとすると

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All Photo by inos

Youtubeを見ていたら新型iPad Proの実機レビューなんぞが行われていて、環境光に合わせ自動的に画面のホワイトバランスを調節してくれるTrue Toneディスプレイなどは私にとって待望の機能だったりしますし、Appleペンシルの使い勝手も極上との報告が聞こえてくれば無意識のうちにAppleサイトでお値段何ぞに興味が出てくるというもの。

最小限の荷物を背負い自転車で出掛けて現地からブログの更新をしよう!みたいな想像をしてみると、いくら高性能と言われても本体だけで2kgを超えるMac Book Proとお供するなんてのは論外だし、かといってiPhone一つで写真のRAW現像をこなせるかと言えば画面サイズと操作性の観点からいささか現実的とは思えず。

年々ハードウェアのスペックが上がり、Appleさん的に今度のiPadは ”ラップトップを追い抜くほどの速さ” だそうですから、恐らくRAWデータの現像くらいは実用的なところまできているのでしょうが、プロ目線で見た時に今度のiPad Proはディスプレイ色域としてDCI-P3なんて大それたものを採用してくれたおかげで ”色調整作業は致命的” になってしまっているのが最大のネック。え、色域って広いほうが良いんじゃないの? ってそういうものではないです。重要なのは作業環境と視聴環境の色域を揃える事でして。

PCディスプレイで一般的に使われるsRGB色域と比較してデジタルシネマ規格のDCI-P3はかなり広いですから、同じ素材を表示させたらP3のほうが色が濃く見えます。勿論カラーバランスも多少崩れます。その環境で仮にRAW現像を行い好みのルックを作り上げたとしても、それをWEBにアップしsRGBモニターで見たら「随分色薄くない?全体的に青が強いような気もするし」という結果になります。

iOSデバイスはシステムレベルでのモニターキャリブレーションに対応していない為に、DCI-P3上でsRGBエミュレートなんて技も使えず八方塞がり。Appleさんとしてはそういう ”小難しい事を考えず誰にでも簡単に使えるデバイス” を目指しているのでしょうからブラックボックス化の全ては否定出来ませんが、だとしたらそこに映画の世界でしか使わないDCI-P3色域なんぞを標準搭載してくるのにはいささか矛盾を感じずにはいられないですね。まあ、同じ素材がAppleデバイスだけやたら色濃く奇麗に見えるはずですから戦略としては分かりやすいですけど。

そうしたカラーマネージメントの観点以外にもMac OS用のPhotoshopやLightroomもiOSでは動かないので、それ以外のアプリを使って外出先で作成したルックを自宅のMacとどうやって同期させようとか色々考えないといけない事はあるのですが、そういう実用性を求め始めるとWindows10搭載のSurface Pro4辺りに目移りしていくわけですが、あちらで満足の行く構成を考えるとMac Book Proが買えちゃうわけで...。

こうした悩みは3年ほど前から抱えている気がしますが、これだけ技術が進歩しても未だに解決されないのは何故でしょう?

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