もしかすると靴は身に着けるものの中で一番フィッティングが重視されるアイテムかもしれません。季節や天気に合わせて色や機能性を考慮するのは服やズボンも変わりませんが、購入後に体形に合わせて直しを入れるとか、洋服を重ね着するみたいに他とのコンビネーションで使い方を工夫するような柔軟性が少ないぶん道具としての完成度が重要な気がします。

それでいて身に着けるアイテムとしては非常に存在感が大きく、デザインや素材も様々で、まして時代の流行までを意識すれば、これぞ！と思うようなお気に入りの靴を探すことは容易ではなく、また、製造メーカー側もユーザーの好みが売り上げに直結するアイテムである前提でバリエーション豊かに商品を展開し、街には掃いて捨てるほどの靴が並んでいるのも面白いところです。

靴って、隣の人のお気に入りが自分にとっては全く感心しないデザインだったりして、その点凄くはっきり出ますよね。通り過ぎていく人の靴を見て「自分だったら絶対あの靴は履かないだろうな」っての確かにあります。

またデザインや配色は最高なのに肝心な履き心地が良くない！っていうのも少なくありません。それが道具である以上見た目以上に使い勝手が重要ですが、その点は試し履きだけでは感じ取れない ”素材の馴染み” も密接に関係してくるので尚話は複雑です。

私の好きな写真家の内田ユキオさんはカメラと靴はよく似たアイテムだとそんなふうに言ってますね。