Simply mini J

1日5分、その日の自分を振り返る時間を作りなさい。
    昔そんな話をお坊さんから聞いた。

人だから大事にしたい事

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All Photo by inos

インターネットの普及や携帯電話の進化と共に、書店の本の売り上げが減ったり新聞の契約が取れなくなったのは紛れも無い事実だと思います。

今から二十年以上も前に、音楽業界にはシーケンサーやサンプラーが取り入れられました。人が楽器を演奏しなくてもコンピューターによって自動演奏させる事が出来、ミュージシャンの代わりにマニピュレーターの存在が制作コストを抑えた楽曲作りに一躍買いました。始めは明らかに ”作られた音” と分かってしまうくらいだったサウンドクオリティも、今や生演奏によるレコーディングよりS/Nが良く、クリアで聴きやすいと思えてしまうほどに進化しました。

しかし、ライブ会場で聴くプロのミュージシャンによる演奏は、やはりシーケンサーのソレとは一味も二味も違う、生演奏独特のテンポと、躍動感と、アドリブと...、良い意味でスコア通りに進まない意外性が聴く者に刺激を与え、アフタービートがあるからオンビートが生きてきて、ピアノがあるからフォルテッシモが際立つといったメリハリが、機械には出来ない人間らしい表現だと常々感じています。

同じように、紙媒体による表現にも音楽との共通点を感じます。新聞にしても雑誌にしても、どちらも購読するようなタイプでは無い私が言うのも説得力がありませんが、コンピューターのディスプレイとは違う、紙特有の分かりやすさというか優しさのようなものって確かにあって、小説なら分厚い本が毎日読むたびに段々手に馴染んできて、しおりを挟まなくても癖のついたページから前回読んだ場所が分かるとか、雑誌ならカラーページの最後に気になる写真が載っていた...といった具合に、内容より先に感覚として位置や色やページの具合を記憶したりするものです。

どちらかというとコンピューターを触るのが嫌いでは無い私の事ですから、むしろ機械任せにしてしまう事が多いのですが、それでも久しぶりにハードケースから取り出したギターがあまりに弾けなくなっていて、逆に人間の表現力の強さと弱さを感じたのでした。

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