Simply mini J

1日5分、その日の自分を振り返る時間を作りなさい。
    昔そんな話をお坊さんから聞いた。

ダイナミックレンジを味方につければ最高のカメラ

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All Photo by inos

diary5750

X100Sのファインダーによる撮影がいかに素晴らしいものか、最近になって再認識しています。ここで言う所のファインダーとはEVF/OVF問わず、液晶画面以外の ”覗き穴” の事です。

○○を撮りたい!というように撮りたいものがはっきりしている時に一眼レフカメラは最強だと言われていて、それは確かに私も同感ですが、街角スナップのような写真においてはジャンルこそ ”スナップ” という枠に収まっていても、状況は都度変化しますし条件もこちらの狙い通りというわけにはいかず、撮りたいものはその場次第ということになります。

ですからそんなフィールドに一眼レフカメラは持ち出しづらく、X100Sなら一眼レフカメラのような覗き穴を持っていて、なおかつ携帯に便利、相手に威圧感を与えずに撮影が出来る、スナップの中にも一眼レフ的な作画意図を取り入れやすく見せたいものをはっきり主張しやすいと感じます。

最新モデルとなるX100Tが発表された時、完成の域に達したデジタルレンジファインダーにはそれだけで心を奪われましたし、1/32000ものシャッタースピードをカバーする電子シャッターの搭載はNDフィルターを意識せずに解放絞りが使える利便性を容易に想像できました。Eye-Fi転送の切り替え機能が省略されたのは私にとって辛いところですが、それは撮影後の話であるからして作品作りとは無関係の領域。

私の性格を知る人なら真っ先に「買い替えないの?」と質問してくるわけですが、私が購入に踏み切らなかった理由はセンサーの進化が無かったから。X100Sを使っていてRAW現像を攻めていくと、やはりフルサイズセンサー(Sony RX1)と比べて明らかに守備範囲が狭くハイライトの限界が低いです。まあX100Sが悪いわけではなくRX1のセンサーが凄いんですけどね。好みのルックを作る事だけに集中して現像できます。

X100Sを含むFujifilmのカメラにはダイナミックレンジ拡張モードが搭載されています。原理までは公開されていませんが、ISO感度を基準感度以上に設定した時のみ有効になる機能ですから、カメラ内部では一般的なデジタルイメージセンサーの増感と同じことをしていると考えられます。イメージセンサーは基準感度を中心に減感するとラチチュードのセンターがハイライト側にシフトするため白とびしやすくなり、増感側ではシャドー側にシフトするため黒潰れしやすくなります。恐らくFujifilmはこのラチチュードの原理を利用し、増感側にシフトさせハイライト側に余裕のできたところを上手く利用してワイドダイナミックレンジと謳っているのかと。ダイナミックレンジ拡張モードの説明にもシャドー側には広がりませんと注意書きされているところを見てもますますこの原理に当てはまりますね。

気になるのはこの機能がRAW記録にも有効なのかどうかですが、恐らく記録したRAWの中には撮影時のダイナミックレンジ拡張モードの設定状態がメタデータとして書き込まれていて、ダイナミックレンジ200%なら+1、400%なら+2の増感処理として現像ソフトはそのメタ通りに現像するものと思います。なので100%も200%も400%もメタ通り現像されれば見た目にはどれも適正露出として再現され、ハイライトの粘りだけがそれぞれ異なって見えるみたいな事になるのかと。

もし私の望んでいるハイライトの粘りがこの機能で救われるならX100Sはまた一歩理想的なカメラになります。という事で偉そうに書いておきながら私はまだ試したことがありません! 今度ちゃんと実機検証してみます。ただ、想像に難くないのはS/Nは結構犠牲になるだろうという事。撮影感度を1から2段上げて撮るわけですから当然ですね。そのトレードオフがあるからメーカーは標準でこの機能をONにはしていないのでしょうから。

diary5751

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