Simply mini J

1日5分、その日の自分を振り返る時間を作りなさい。
    昔そんな話をお坊さんから聞いた。

北海道の真ん中のほうへ (3)

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All Photo by inos

 

ドラマ北の国からのロケ地のうち麓郷(ろくごう)には黒板五郎さんが建てた家が 「麓郷の森」、「五郎の石の家」、「拾って来た家」 の3か所に点在しています。昨日掲載した石の家が一番最後の代表的な存在ですが、その前に住んでいた3番目の家や丸太小屋は石の家から車で5分程離れた位置に「麓郷の森」という名前でひっそりと残されていました。

ドラマの中では純君がストーブの上に濡れた衣服を吊るしたのが原因で火事になり全焼した設定になっていましたが、実はこの丸太小屋は同じものが2つ作られたそうで、一つは撮影時に燃やされこちらは今も残っているというわけです。そう聞くと確かに火事で家を失うという衝撃的なシーンがあったなぁ...なんてことを思い出しました。せっかくここを訪れるなら事前にもう一度ドラマに目を通して復習しておけばよかったかもしれません。

 

「麓郷の森」 から更に車で数分離れたところに 「拾って来た家」 が建てられています。ここも名前だけ聞いたときはピンと来なかったのですが、実際の建物を見てすぐに思い出しました。五郎さんが廃物利用で建てた家々。スキーのゴンドラ部分で造られた出窓とか卵のパックを利用した内装とか、それも一軒だけではなく四軒がこのエリアに集中して建てられています。

テレビのセットという事を加味しても相当な手間暇と工夫が見て取れて、アイデアひとつでこれだけのものを四軒も建てたとなるとドラマの主人公としてはテレビで見ていた以上に大きな存在であることがわかります。そしてそれが制作費数十億円のハリウッド映画の撮影セットにも負けないと感じる大きな理由は、そんな主人公が本当に実在してもおかしくないと感じさせるストーリー設定と、これらの撮影セットを見るだけで現代社会で失いつつある人間的な感覚を思い出させてくれる...そんなところにあるような気がします。

 

バスを丸ごと飲み込んだような家。現代人にも分かり易い廃物利用の形だけあって、訪れる観光客の中でも若い人達の心に刺さるようで、「これ東京に持っていったらすごく注目されるだろうな」 なんて声も聞こえてきたり。確かに私もこればっかりは実物を見て驚きましたね。外見からは想像もつかないような内装の造りこみ。現代であれば逆にこういうアンティークデザインとして受け入れられそうなくらいよく出来ていました。

そしてここでも我に返って感じるのです。毎日仕事に追われる身で都会の雑踏の中に窮屈な家を持ち人と競い合うように暮らすことが人間らしい暮らし方なのかと。今回の宿泊でお世話になったペンションのオーナーさんとも似たような話をしたのでした。

「あのドラマに続きはないんですかね~?」 という私からの軽い質問に 「仮に作るとしても現代には響かないでしょう」 といった趣旨の答え。黒電話を知らない今の時代にあのドラマが訴えたいものは伝わらないでしょうと言うのです。ストーリーの中にスマートフォンのLINEで連絡を取り合うシーンを入れたところで...。

それでも私はあのドラマに続編を見てみたい気がしますけどね。

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