Simply mini J

1日5分、その日の自分を振り返る時間を作りなさい。
    昔そんな話をお坊さんから聞いた。

写真ファンはマグナムにたどり着く

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All Photo by inos

予報通りの雨。色々考えた挙句結局六本木に足を運んでみました。いつもより早い夕暮れ時の東京タワーはこんな感じ...。

雨には雨なりの表情があるはずでそんな東京を眺めるのも良いものです。遠くを望もうと思っても視界的に無理があるので、大きな建物を煽って見れば雨の中に大都会の存在を再認識できるというものです。

いつもはビニール傘は意識して使わないようにしているのですが、今日はあえてビニール越しの写真を撮りたくて自宅から持ち出しました。もっと広角レンズを使用するべきところ今日持って行ったのが40mmだったのでこれが限界な感じ。こんな時に限って傘に落ちる雨粒が小さく霧雨が溜まって出来た水滴での撮影だったので台風が迫っている感じまでは残せず...。

時系列的にはこちらが先です。本日の目的はミッドタウンの富士フィルムスクエアで開催されているマグナムの写真展。今年は六本木を訪れる頻度が高く正直飽きるくらいなのですが、マグナムの写真展と聞いて行かないわけがない!

どうやら今回の写真展はここ富士フィルムスクエアが開館して10周年を記念してのイベントらしいです。そうですかもう10年なんですね。銀座にあった頃からお世話になっている私ですがここに移転してまだ数年くらいだと思っていました。時の流れというのは早いものです。

さて泣く子も黙るマグナムフォトですよ! 写真好きじゃなくても聞いたことくらいはあるという人もいる世界最高の写真家集団。

ロバートキャパを始めとする錚々たるメンバーの全70作品が年代別に並べられ、マグナムの歴史背景を分かりやすく表現しつつもそれぞれの作品には主張があり写真家の個性が現れている点が印象的でした。記録することを重視しフォトジャーナリズムの礎を築いたキャパ、瞬間を切り取ることにより写真の芸術性を高めたブレッソン、そんなふうに語られる対照的な二人の作品は、並べて見るとこうも違いがはっきり出るものなのだと改めて感じることもできました。

ブレッソン好きな私としては、言われなくても展示を見れば「この作風はブレッソンだな!」ってある程度分かりますが、今回初めてゼラチンシルバープリントでまじまじと見ることが出来た「マドリード スペイン 1933」が好きになりましたね。あの不規則な窓の並びを左上に見切れた空で端を感じさせつつ、手前は大人と子供をコントラスト高く表現してます。シャッタータイミングもあれ以外考えられないというくらいの瞬間を捉えてますよね。ストレートフォト主体の1933年という時代に ”実在する被写体のみでグラフィカルに” 表現しているのですから今以上に当時の存在感は凄かったでしょうね。

また、デニス・ストックの作品も私好みでした。一般的には「ジェームスディーンを写した作品」が有名ですかね。それ以外にも対象とする被写体や表現方法、仕上げの方向全体においてどの作品も好感が持てるのですが、今回驚いたのは「オードリーヘップバーンを写した作品」。1954年とされていますから撮影は今から60年以上前のフィルムですよね? それでこの粒状感とグラデーションですか...。今年撮った写真と言われてもおかしくないような仕上がりです。

70点と言わず700点くらい見たかった今回の写真展。内容はかなり充実しており大満足。これを見てしまうと普段私達がマウスでこねくり回しているデジタルデータは写真とは似て非なるものだなぁとも。

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