ヒット作を作ろうというのがビジネスの根本にはあります。しかしそれが芸術ならヒットさせるために作っているわけではないという違いもあります。

残念ですが近年の邦楽に心に残るような音楽を探せずにいる私がいます。90年代なら間違いなくこのシーズンにはTUBEの夏ソングが街に流れ、CDショップには平置きされた2枚組ベスト盤みたいなのが山積みになったはずだけれど、現代にそれに似たアーティストを見つけ出そうにも、季節感の無いアイドルグループばかりが目に付くわりに「じゃあ今年の夏ソングは？」と聞かれても1曲として思いつかないのはやはり昔とは音楽を取り巻く環境が変わった事を感じずにはいられません。

売れなければ音楽活動は続けられないが、売れる為には音楽以外の面で注目される必要がある。

念願だった中華屋さんをようやくオープンさせたのに、なぜか注文が入るのはデザートのアイスクリームばかり。でもそのおかげで何とか店は存続しているけれど、ご近所からは「この辺には美味しい中華屋さんが無いのよねぇ」と言われる．．．。

例えはいまいちかもしれませんが音楽業界ってそれに似た傾向がある気がします。

改めて思うのは、芸術って見返りを期待して形にするものではないという事。ビジネスと芸術は全く異なるフィールドにあり、何かを形にしたいならむしろお金を払うくらいの気持ちが必要。だから人はそこに関心を示し、時に共感してくれる。

物事はとかく儲かる儲からないとお金に換算して判断しがち。でもそういった損得勘定をいっさい捨て去った時、人間は始めて本心で善し悪しを感じられるような気がします。