Simply mini J

1日5分、その日の自分を振り返る時間を作りなさい。
    昔そんな話をお坊さんから聞いた。

ここが日本でよかった。そう思ってもらえたら

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All Photo by inos

お腹を空かせ家路を急ぐ山手線から西武線への乗り換え時の事。

少しでも早く帰るには10分から15分間隔で走る急行列車に乗るのが最適解だからして、コンコースを足早に歩いていたら、目の前を小さな惣菜パンを大事そうに握りしめた女の子が大勢の歩行の列を横切るように歩いてきました。目と鼻の先に神戸屋がありましたからそれが晩御飯だったのかもしれません。

私が急行列車に乗るためには、時間的にホームへ続く最短ルートを無駄なくスムーズに歩く必要があり、その女の子が目の前を横切っていく行為は多少のロスタイムに繋がる、そんな事を考えていた時です。私の目の前でその女の子のジャンパーのポケットから黒く丸みがかった財布が音もなくポロッと地面に落ちました。

女の子はそれに気づかないまま歩いて行ってしまいます。手に持った惣菜パンが周囲の人にぶつからないよう歩く事に集中していて財布の存在を忘れてしまっていたのかもしれません。私は咄嗟に地面に転がった財布を拾い彼女の元へ駆け寄りポンポンと肩を叩いて手渡しました。

彼女は嬉しそうにこちらを見て軽く会釈、そして返ってきたのは「ありがとう」ではなくどこかの国の知らない言葉。日本への留学生でしょうかね。突然の出来事だったので日本語が出てこなかったのかもしれません。

私としてはこの出来事だけでなんだか価値のある1日に感じられました。日本人だって財布を落としたらそれだけで一大事なのに、海外から来ていてそんな状況になったら大変ですからね。人のために少しだけ良い事ができました。

そして彼女にとってはここが日本でよかったですね。絶対ではないですが日本は多くの確率で落とし物が所有者の元に戻ってくる国です。彼女はこれを機に少しでも日本語を好きになってくれると良いけれど。

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