Simply mini J

1日5分、その日の自分を振り返る時間を作りなさい。
    昔そんな話をお坊さんから聞いた。

飛ばす意外にも色々課題があるのです

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diary5174 diary5175

先日公開したDJI Phantomによる空撮動画、私としては飛ばす事に対するテストの他に、撮影に関するテストも同時に行っておりました。恐らく誰も気付かなかったと思いますが、地上に設置した2台のカメラはフルHD(1920×1080)撮影、機体に搭載したGoProは2.7K(2704×1524)撮影です。本当は4K(3840×2160)撮影といきたいところですが、GoProは4Kの場合15f/sでしか撮れませんから2.7Kの30f/sをチョイスしたという訳です。最終的にはHDで完パケを作っていますが、その場合にも撮影の段階から高解像度で撮っておいたほうが仕上がりが奇麗です。まあYouTubeで見るぶんにはあまり違いは出ない気はしますが...。

さて、もう一つ挑戦しているのが ”Log収録” です。プロの映像制作現場ではおなじみのLog収録ですが、GoProの説明書の中ではこの機能を ”Protuneモード” と呼んでいます。恐らく一般の方に ”Log収録” と表記しても意味が伝わり難いため、分かりやすく ”Protune” なる大層な名前を付けたのだと思います。

このLog収録とは一体何ぞや? ということになりますが、簡単に言ってしまうと「低コントラスト収録」です。上の写真の左側がLog収録の画像です。右側は一般的なビデオガンマをあてた画像。普段テレビ等で見ているのはこの画像です。比べてみるとLog収録はコントラストが低い画像である事がわかります。パッと見は右側の画像の方が見栄えがすると思います。これは撮ったまま無加工で視聴する事を前提としてカメラ内部でテレビ用のガンマカーブが適用されているためです。一般的なビデオカメラは皆このように記録されています。

ではLog収録はいったい何が行われているかと言いますと、撮影時にカメラ内部で暗いところは少し明るく、明るいところは少し暗く収録しているのです。そしてそれを明るさに対してリニアに可変させるのではなく対数(Log)のカーブでコントロールしているためLog収録と呼ばれるわけです。結果的に収録された映像はコントラストが低く見えます。お察しの通り、この収録を行った場合はそのままテレビで見たところで低コントラストで色味も薄く全然奇麗には見えません。撮影後の後処理、つまり編集段階でコントラストを元すことを前提とした収録方法なのです。

そんな面倒な作業をしてまでLog収録を行うのには理由がありまして、通常のビデオガンマを適用した撮影では明暗差の激しい被写体を撮った場合に白飛びや黒潰れをしてしまうところ、Logであればコントラストが低く収録されているためにディテールを活かす事が出来るわけです。カメラのイメージセンサーのダイナミックレンジより収録するビデオコーデックのレンジの方が狭いためにそのままでは上下が切られてしまうところ、コントラストを低くして無理やり押し込んでおいて後から復元すれば元に戻せるでしょ! というのがLogワークフローという訳ですね。勿論全てが復元出来るわけではないですけれど。

で、問題になるのはその復元方法。Logと一口に言っても、これは各カメラメーカーが独自のLogカーブを持っているため、ちゃんと復元するためにはカメラメーカーが提供するLUT(Lookup table)を入手しなければ正しい値に戻す事はできません。と言ってもそんな事をするのはプロの現場な訳でして、今や高速道路のサービスエリアでも売っているGoProですから、一般の方がそんなマニアックな使い方は殆どしないですよね。私もネット上にそのLUTファイルが転がっているのではないかと探しましたが流石に落ちてはいませんでした。海外では事例があるようですが肝心のファイルは入手出来ず。そこで数日前にGoProさんにメールを出したのですが音沙汰無く...。

GoProはこのProtuneモードで収録した人向けに、GoPro Studioなる簡単なソフトを提供していて、実はその中にはProtuneフィルタなるものが存在しそれこそがLog→Rec.709(HDビデオ規格)の変換LUTな訳です。ただそのソフトからLUTファイルを抜き出す事は出来ませんし、仕様上フィルタ適用後は別のビデオコーデックで書き出す必要がありまして、正直それでは撮影時からビデオガンマを当てて収録したのとあまり変わらないわけです。編集の前段階でビデオガンマを当てたムービー素材にしてしまっては何の意味もないのです。求めているのは編集時のカラーコレクションの調整幅な訳でして、編集作業はLog素材を扱い、最終完パケの直前でビデオガンマを当てる事でLog収録の意味が出てくるのです。ワークフロー的に必要なのは編集ソフトに読むためのLUTファイル。仕方がないので自分で作る事にしました。

GoProでグレースケールチャート(本当はマクベスチャートも欲しかったが手元に無かった)をLogモードで撮影、上記GoPro StudioでProtuneフィルタを適用。書き出したムービーファイルをリファレンスとして、オリジナルLog素材をDavinci Resolveで調整していきます。リファレンス画像に対して完全一致は難しいですが画像同士の比較ではまず分からないレベルには調整出来ます。勿論波形で見れば多少のズレは出ますが、所詮はGoProの画ですからそこまで神経質になる必要もないかと。あとは出来上がったルックから3D LUTファイルをエクスポートすれば ”なんちゃってProtune→Rec.709変換LUT” の出来上がり。

後はLUTの読み込める編集ソフトの最終段に適用し、その前段階でカラーグレーディングを行えばLog素材の階調を最大限に活かした仕上げが出来るというわけです。今回の空撮の編集にはAdobe Premiereを使用しましたが、その時点ではまだLUT作成が間に合っていなかったため適当な色調整になってしまいました。次回からはこのLUTを活用してみます。

上の右画像は今回作成した3D LUTをPremiereのLumetriを使用して適用したものです。下はDavinciで作成したトーンカーブを実写映像で確認しているところ。このカーブを見る限りでは過度なダイナミックレンジは期待出来ないかもしれませんね。

diary5176

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