音楽が好きです．．．と言っても、音楽を聴く事が好きな場合と、バンドを組んだりして自らがプレイする事が好きなのとでは、好きと感じるポイントが違うように、

写真が好きです．．．と一口に伝えるのは簡単ですが、それを撮る行為だけでなく、撮る道具を選んで、いつもと同じ道をカメラの目線で眺めてみて、いつもより一駅余分に歩いてみて、移り変わる天気と光を気にしてみて、撮影データやフィルムから何度もプリントをチャレンジして、プリントを並べる順番を考えて、最終的にそれを見てくれる人の事を考えてみるところまでをひっくるめて、 ”写真の楽しさ” として相手に伝えるのはなかなか難しいです。

先日、写真好きの海外の方とお互いの写真に対する好みを語る機会がありました。どんなジャンルの写真を撮るの？との問いに私は 「人物」と答えたのは良いけれど、iPhoneに入っていたライブラリの中に人物を中心とした写真など数える程しか無かったですし、むしろ観光や何かの記録用写真ばかりが目に付いて、全く説得力が無かった事に少し残念な思いをしました。仮に私の語学が達者なら、「人物を撮るつもりで街を眺めると、見慣れた景色が本当は常に変化している．．．なんて事に気付けて楽しいんです。それが私が大切にしたい写真の時間です」そんなふうな事を伝えられたのかもしれませんが、言葉を添えなければ伝わらない写真しか見せられなかった事への言い訳をしているようで、その事に気付いた時点で、自分が相手に何かを伝えようとする以上に、相手から何かを教えられたような気がします。

今度は世界中を旅しながら一緒に写真を撮りに行こう．．．なんて冗談を交えながら分かれましたが、次会う時は彼女の撮った写真を見せてくれるという約束が今はいつ叶うのかとそちらのほうが楽しみです。それまでには私の代表作もこっそり準備して。