Simply mini J

1日5分、その日の自分を振り返る時間を作りなさい。
    昔そんな話をお坊さんから聞いた。

これぞ現代のデジタル望遠鏡

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All Photo by inos

天体好きの間では近頃レナード彗星の話題で持ちきりです。このレナード彗星は現在朝5時くらいには東の空で6等星くらいの明るさで見られるとされており、12日には4等星の明るさにまで増すと言われています。ただ、その頃には夜明けの時間帯で地平線近くの低空となるため安定的に観測するなら比較的高度が高い今!ということになるのかもしれません。私も頑張れたら撮影に行きたいと思っていますが流石に明け方に合わせての行動は体がしんどいんですよね。

さてそんなレナード彗星の情報を調べていたらとても魅力的な望遠鏡の存在を知ってしまいました。UNISTELLARのeVscopeシリーズ。ぱっと見はちょっとスタイリッシュなビギナー向け反射望遠鏡のように見えますが、実はこれ ”電視観望” なんですよね。つまりは肉眼で見るのではなく電気的にカメラで撮影した映像をリアルタイムで観測するシステム。

反射望遠鏡の構造には違いありませんが、一般的な光学式反射望遠鏡で言うところの斜鏡部分にイメージセンサーが取り付けられており電気的に受光した情報をWiFi接続したタブレットやスマホに映像として伝送し観測する仕組み。電気的に見られるということはそれを画像として保存することは勿論、一般的な赤道儀のように極軸合わせなども必要ないというじゃないですか!

望遠鏡を設置して電源を入れタブレット端末とペアリングしたら専用アプリからフィールド検出機能を実行すれば今写している星空を解析して自分が見ている方向を自動判別し日周運動に合わせて追尾を開始。この時点でスゲー!って感じですね。望遠鏡の設置と言っても専用三脚に本体を装着するだけですからワンタッチに近いもの。ズバリ天体観測開始までの所要時間はほんの数分というわけです。

設置が終わればあとは見たい天体を写野の中に導入すれば良いわけですが、それとてアプリに5,000以上登録されている天体リストから好みのものを選ぶだけ。望遠鏡は今向いている方向を認識していますから目的の天体目掛けてギュウィーンってモーター駆動で方向転換し自動導入されます。まあこの機能は高価な赤道儀を所有している人であればもはや当たり前の機能ですけどね、コイツの凄さはまだまだこんなものではなく。

エンハンスドビジョン機能と言って、長時間露光により撮像した映像からより鮮明な画像を作り出す機能が望遠鏡本体に搭載されています。どういうことかというと、一般的な天体撮影では撮影対象が非常に暗いためにカメラの感度をかなり上げて撮影するわけですが、その場合どうしてもノイズの多い画像になってしまうため、同じ画像を数枚から数十枚撮影し、自宅に持ち帰ってから専用ソフトやPhotoshopなどを駆使して加算平均合成という手法を使ってノイズ成分だけ消すんですね。これが結構大変な作業ですしそれなりに知識がなければ出来ない手法なのです。

私も明け方まで天体撮影を行ったあとは翌日のお昼くらいまでこの合成作業を行なってヘロヘロになりながら作品作りをしているわけですが、このUNISTELLARのeVscopeシリーズ望遠鏡はその加算平均合成を現地でリアルタイムで行なっているというわけです。つまり同じ天体を観測していても、1分より2分見ていた方がより鮮明でクリーンな画像が見えてきて、更に5分10分と眺めているとより綺麗な画像に変化していくという魔法のような望遠鏡。

その時点で画像を保存すれば天体名の他、撮影日や方角を含むメタデータを焼き付けた状態の写真として登録出来るというのですからもう至れり尽くせり。これぞデジタル時代が生んだ現代の望遠鏡という感じ! これでレナード彗星を見たらさぞ楽しいでしょうね。問題はお値段ですね。日本円で50万円オーバーですか...まあ一眼カメラとそれなりのレンズを揃えればそれ以上の価格になりますから高い買い物では無いのかもしれませんが使用頻度を考えるとちょっと手が出ませんね。

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