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    昔そんな話をお坊さんから聞いた。

USB Type-C について備忘録みたいなもの

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3年ほど前、AppleさんのMacBookはこれまで流通していた、USB、イーサネット、ディスプレイポート、HDMIポート、電源ポートなどすべてのインターフェースを切り捨て、たった一つのポートに集約したことでユーザー間では随分物議を呼びました。その時搭載された次世代ポートがUSB-Type-C。別にAppleさんの独自規格じゃありませんから、最近ではWindowsパソコンやスマートフォンにも広く使われるようになってきました。

しかしこのUSB-Type-Cなる規格は、ケーブルやコネクターだけ見ると1種類に集約されており非常にすっきりしていますが、中身は何かと細かな規格で成り立っておりややこしい。使い方を間違えると機器が壊れますから注意が必要です。事実私のMacBook Proはそれで1度壊れてます...。という事で今日はそのUSB Type-Cについて備忘録的にまとめておこうかと。

USB-TypeCの特徴は、コンパクトかつ差し込みの極性がない事で使い勝手が良い!という点以外に電気的な規格に目をやると、

1. USB3.1 Gen2対応(最大10Gbpsの転送速度)
2. USB Power Delivery対応
3.オルタネートモード(電源、DisplayPort、Thunderbolt3、MHL、HDMI互換)

1のUSB3.1 Gen2はデータ通信速度に関する規格、2のUSB Power Deliveryは電力供給に関する規格、3のオルタネートモードはUSB通信以外の通信方法に関する規格ですね。

ただ、ひと口に「USB-Type-C」 と呼んでいるのは実はコネクタ形状に関する規格であり、USB 3.1 、USB Power Delivery 、オルタネートモードといった新規格に関しては、「そこまでをカバーできる規格」という但し書きが必要で、すべての機器が「その仕様である」わけではない点に注意が必要ですね。そのため、USB-Type-Cを謳った製品だからといって、USB 3.1 や USB Power Delivery 対応とは限らないということです。機器やケーブルを購入する際はその点を踏まえないと期待する結果が得られないケースも出てきます。

■ USB3.0?、USB3.1 Gen1?、USB3.1 Gen2?、ようは転送速度で選べばいい

USBのデータ転送規格に関しては下記の通りですから必要に応じた機器やケーブルをチョイスすればOKですね。間違いなくケーブルや接続機器に対応転送速度は記載されていると思います。

・USB2.0: 480Mbps
・USB3.0: 5Gbps
・USB3.1 Gen1: 5Gbps
・USB3.1 Gen2: 10Gbps

■ 従来のUSB規格と混在する場合には使用するケーブルや変換コネクターに注意

USBポートを電源として利用する場合はここからが重要。USB Power Deliveryの話の前にまずは通常のUSB電力供給について。

今までよりも大きな電力供給が規格化されたUSB Type-Cですが、これまでのUSB Type-AやBが混在する過渡期はそれらとの後方互換を考慮する必要があります。例えばUSB Type-Cポートを搭載した最新スマートフォンを旧規格のACアダプターやパソコンのUSB-Aポートから充電するケースですね。この場合、旧規格で給電能力の低いACアダプターやパソコンに対し、スマートフォンは新規格に応じた電力を要求しますから、最悪のケースでは過電流となり機器の発熱・故障に繋がります。

そこでそういった事故が起きないよう、
「電力供給を受ける機器から、電力供給側(サプライ側)の機器の能力を判断する仕組み」が作られました。

具体的には接続に用いるケーブルにその役割を割り当ててあり内蔵される抵抗値が下記のような決まりになっているようです。

・USB標準の電力しか供給できない機器との接続時は56kΩ (従来のUSB機器との接続はコレ)
・Type-Cの1.5A供給に対応している機器との接続時は場合は22kΩ
・Type-Cの3.0A供給に対応している機器との接続時は場合は10kΩ

ちゃんとこれらの抵抗が内蔵されたケーブルや変換コネクターを買わないと事故になる!という事ですね。

例えばこれまで見慣れたUSB Standard-AからUSB Type-Cに変換するケーブルがあった場合、端子に56kΩの抵抗が入っていれば「接続機器は最新規格のものではないので過去の規格の定格電流で充電してね」というルールに沿って機器が動作してくれるという事です。逆に言うと規格外の(56kΩ抵抗が入っていない又は値の異なる)ケーブルを使うのは機器故障の恐れがあるためNGという事です。世の中にはそのような怪しいケーブルや変換コネクタが売られているようなので注意が必要というわけです。

個人的に思うのは、正直これらの仕組みを万人に理解しろ!というのはいささか無茶な気がしますね。また、手持ちのケーブルと変換コネクターを組み合わせる場合も危険な匂いがします! それぞれの抵抗がプラスされ思わぬ抵抗値になりそうですよね? 難しいことを考えたくない場合は素直にストレートに変換できる信頼できるケーブルを購入した方が良いです。

■ USB-Power Deliveryなる電力供給に特化した新規格

・USB-PD対応機器同士のネゴシエーションにより最大20V/5Aによる100W供給に対応

USB Type-C規格による給電の中でもUSB Power Delivery(PD)規格に対応した機器に限っては驚くほどのハイワッテージ供給が実現します。最高で100Wですからね、電力だけで言ったら昔のトイレの裸電球をUSBで光らせる事も可能というわけです。裸電球が死語ですか...。

USB PDはあくまでUSB Type-Cのオプション規格とされており、USB-Type-Cを採用する機器の中でもPD対応を謳っているものに限られ、機器同士の接続を抵抗値で判断するというよりはネゴシエーションにより細かく設定しています。当然使用するケーブルはUSB-C to USB-C(PD対応)で、USB-A/Bが入る余地はなく、その観点でいうと間違いの起こりにくい安全な次世代規格と言えそうです。

USB PDでは、3A以上の電流を流す場合、ケーブルに対しても「5A対応しているか」というチェックが入るそうで、対応していれば規格の上限まで電力が供給され、仮に3Aまでのケーブルであった場合は最大でも60W (20V/3A) に制限されるようです。使用するケーブルによって扱える電力が自動的に変わってくるというわけですね。

以上の仕様からUSB PD対応機器同士の充電にはメーカーの壁を超えたネゴシエーションがおこなわれますから、サプライ側のアダプタに大容量のものを用意し、PD(できれば5A)対応ケーブルを準備しておけばあらゆるシーンで使い回しが出来るというわけです。ちなみにMacBook Proに付属してくるACアダプタはUSB PD規格の87W、他になかなかそんな大容量のACアダプタは見かけませんから、実はそのアダプタ1つ持っていればApple製品に限らず今後いろんなところで活用できるんじゃないかと思います。

また、今後モバイルバッテリーなどもこのUSB-PD対応機器が主流になるでしょうから買い換え時には意識しておくと良いかもしれません。

その他の給電規格としては、クアルコムの急速充電規格 ”Quick Charge” なる規格もありますが、こちらはUSB規格を超えた独自規格みたいなところがあるため今回は割愛...。またオルタネートモードに関してもちょっと話が長くなるのでまた機会があれば。

以上は私の個人的備忘録であり、情報の誤りや規格の変更等も考えられますので参考まで。

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