Simply mini J

1日5分、その日の自分を振り返る時間を作りなさい。
    昔そんな話をお坊さんから聞いた。

表参道の写真展はどうか

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All Photo by inos

表参道のGYRE GALLERYにて開催されている写真展 ”LOOKIN THROUGH THE WINDOW” に足を運びました。

「写真とは小さな箱についている小さな窓から世界を覗き、瞬間を収めて行く行為・・・」そんなふうな書き出しで始まる展示会概要説明に興味を持っての事ですが、基本的にはファッションフォトをテーマにした写真展であり、20代、30代、40代という3人の写真家がファッションという共通した枠組みの中でクライアントの制約を受けることなく自由に向き合った作品作りというのがこの展示の面白いところ。

表参道という立地に関して、GYREがファッション複合施設であることから、写真に興味がない人でも気軽に立ち寄ることが出来、また入り口を通りかかっただけでも「これ何のイベントだろう?オシャレだからちょっと入ってみようよ」と思えるような空間デザイン、来場者の年齢層と感性まで計算された作品内容とレイアウトは、一般的な写真展と一線を画す展示会になっていると感じました。

先週見た世界報道写真展が写真というメディアを使った直球勝負の展示会だとしたら、こちらは変化球というか、余白を活かした絵作りや被写体の部分的な切り取り方、写っているものだけでなく展示の工夫にも作品性を求めている感じで、ファッション雑誌をそのまま立体空間に展開したらこうなりました!という感じのジャパニーズニュースタイル。どちらが良いとか悪いとかではなく対照的な見せ方と表現したい内容の違い。

写真展の面白いところは、フォトコンテストと違って展示の仕方に作家さん本人の工夫が垣間見れる点。だから全ての写真が同じ額装で等間隔に並んでいる!なんて一貫性はなく、写真の内容と展示方法次第で空間全体を使った表現に繋げられるんですね。特に今回はそれぞれの年代の写真家さんが創意工夫をしていますからこれまた面白い。

展示に立体感を持たせるという見せ方は時々目にしますが、アクリルプリントをそのまま壁に貼り付けたもの、アクリルプリントに下駄を履かせて浮かせたもの、キャンバスにプリントしてアクリルボックスを被せたもの、手法の異なる立体感を寄せ集めて展示するとこうなります!みたいな展示はなかなか見栄えが良かったです。

また、巨大な背景プリントの上に別の作品を重ねた見せ方も斬新で面白かったですね。とにかくインパクトが出るのでパネルを並べただけの展示より確実に注目を引くと思います。これがマグナムの写真家さんの展示会とかだったらまず見られない手法だと思いますが、こういうところが現代の写真展であり表参道も意識している感じがしました。

ファッションフォトと言いつつも、一つ一つの作品はいかにも雑誌に出てきそうな洋服ばかり...いえ全然そんなことはなく、ファッション=洋服ではなく、それを着こなす環境だったり街だったり連想する自然だったり土だったり、ここに展示されていたのはファッションというワードで語るスナップ写真という感じで、こんな私でもとても楽しめる内容にまとまっていました。

また、違った見方をすると、20代や30代くらいの若者にはこういう写真が受け、こういう見せ方にワクワクし、こういう反響があるんだなぁと、普段の写真展では感じられないような発見もありましたね。私自身がこういう方向性の写真を撮るかどうかは別にしても何かと収穫も多かったです。

GYREの吹き抜けはエスカレーターで取り囲まれるようにこのイベントを告知する巨大なフィルムストリップが設置されていました。

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