Simply mini J

1日5分、その日の自分を振り返る時間を作りなさい。
    昔そんな話をお坊さんから聞いた。

ふと思い出した事。電車の中にて

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All Photo by inos

初めて買ってもらった腕時計。黒い布製バンドで文字盤には忍者ハットリ君。忍者ハットリ君と言って分かってもらえる人がどれくらいいるでしょう?私が小学校の低学年だったと思いますから25年以上も昔の話。

本当の所、私が最初に手にした時計はビニール製のバンドで文字盤には今で言うミッフィーのようなウサギか何かの絵が描かれたキャラクターウォッチ、秒針には小さなチョウチョが付いていてウサギの周りをクルクル回っていました。明らかに女の子用と分かるデザインでしたが、それ以上に真っ赤なバンドが誰の目にも明らかで、見兼ねた父親がシンナーで脱色してくれたけど、濃い赤が薄いピンク色になっただけで結局男の子用にはなりませんでした。父親はタクシードライバーで、後部座席に忘れられたその時計を私に拾ってきてくれたのがきっかけでした。それでも当時の私は生まれて初めて自分の時計が手に入って嬉しかったのですが、今思えばそれ以上に時計を忘れた女の子は悲しい思いをしたんじゃないかと思います。 

人生で初めての...そういう記憶って昔のものが殆どのはずなのに結構鮮明で、初めて撮った写真の事や、兄が自転車で転んで初めて腕を骨折した事や、3,000メートルを初めて越えた登山の事など、人の記憶には一番最初の衝撃が案外大事なのかも知れません。でも昔テレビのCMでやっていたような、”初めてのCoke!” これについては記憶にありません。炭酸飲料を最初に口にした時は相当なショックを受けると思うのですが、不思議とそれだけは覚えていませんね。

記憶というのは放っておいても自然と美化されていくものですが、今の現実に美を見つける事はその前に立ちはだかる苦を乗り越えるという事なのかなぁなんて、最近そんな事を考えます。

 

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