Simply mini J

1日5分、その日の自分を振り返る時間を作りなさい。
    昔そんな話をお坊さんから聞いた。

MINI MARUYAMA 13インチ ブラックモデル(2)

By
All Photo by inos

2日連続でホイール塗装の過程を掲載してしまうのは、約3カ月もの間手塩にかけて作業して頂いた内容が ”さも簡単そうに” 伝わってしまうのでは無いかと躊躇いましたが、もう仕上がりが嬉し過ぎて我慢出来ませんので、どーんと載せてしまいます。

昨日ご紹介したホイールキャップだけでもかなりの工数を掛けて仕上げて頂いているわけですが、まだホイール本体がまるまる残っていますからこちらも同時進行にて作業して頂きました。塗装と聞くと素人が想像するのは色付け作業だったりするわけですが、現実は着色前の下地作りのほうが大変だったりするんですね。私も模型の塗装などは趣味の範囲でやっておりましたからある程度は理解しているつもりで、この下地作りで手抜きをすると後で色が剥げてしまったり奇麗な直線や曲線が出なかったりで仕上がりに直結します。それが、プロの世界ではもっとシビアなのでしょうね。

上の画像は作業前のホイールから、例によってCOOPERロゴをPC上でトレースして頂いているのと、ホイール本体を溶剤で洗浄後、ペーパーで足付けをして頂いている様子です。この段階で細かな傷なども消して頂いているのかと想像します。ペーパー掛けも複雑なホイール形状なだけにきっと手作業ですよね...。それが4本あるかと思うと頭が下がります。

足付け作業の後はプライマーを塗って真っ白(実際はグレーらしいです)にお粧しされています。アルミは金属の中では腐食に強いのかと思いますが、それでも表面を削った場合はあまり時間をおかずにプライマーでコートしてしまうようです。鉄などにありがちな塗装下からの腐食を防ぐ目的があるのだと思います。勿論本来の目的は肌を整えるのと色の食いつきを良くするためでしょう。

さてここで真っ白なホイールに突如として真っ赤なペイントが施され、この画だけ見るとレーシングカーのホイールみたい!なんだかこのままでもカッコイイような...。しかし私は今回の塗装作業の中で一番驚いた工程がここです。確かにホイールの一部には赤地に白文字でCOOPERロゴを入れる段取りでしたが、それはホイール全体をチャコールブラックに塗ってからだとばかり思っていました。ここが塗装屋さんの経験からなるテクニックなんですね。隠蔽性と呼ぶそうですが、暗いベース色に対して明るいペイントを重ねると、ベースの色が上物のカラーに影響してしまい本来の明るさが再現しづらいのだそうです。確かに遠い昔、学校の美術の時間に色を塗る時は明るい色から...と言われた記憶がありますが、多分それです。でもプロの話はこれに留まりませんでした。明るい色を無理に再現しようとすればどうしても上塗りの層が厚くなり、後にマスキングテープを剥がす際、そのエッジがガタガタになってしまうため美しく仕上がらないのだとか...。もはや、ほーなるほどーという感想しか出てきません。

そういった深い理由があって今回はベース色の明るいプライマーに直接赤をペイントしたというわけです。こういった判断はやはり経験を重ねた方の知恵ですね。

とは言え、このロゴペイントも大きなホイールに対して非常に小さな文字ですが塗装の手間は変わりませんから、通常のホイール塗装の何倍もの時間が掛かったと思います。ホイール全体を乾燥させるのも、小さな文字を乾燥させるのもきっと時間は変わらないでしょうから...。今回は赤をペイントして、マスキング後白文字をペイントして、マスキング後ホイール全体をペイントして、最後にマスキングを全部剥がしてハーフグロス(半艶)クリアーで仕上げを行って頂いております。凄い手間ですね。くどいようですがそれが4本あります。もし私が作業していたら、きっと途中で失敗が重なって、もう面倒になってロゴは無かった事にして全部チャコールブラックに塗っちゃいますね!

さあ、お待ちかねの完成お披露目写真です。強制乾燥後の状態で仮組してわざわざ写真に撮ってくださいました。ありがとうございます。

しかし何ですかこの完成度!しばらく私は言葉を失ってしまったのですが、あまりの美しさに塗装前のシルバーだったオリジナルカラーが安っぽく見えてしまうくらい。いやオリジナルのままでもMINIが履いていると振り返ってしまうくらいカッコイイのですが、今回の仕上がりは次元の違う上品さがあります。なんだかジュータンの上しか走っちゃいけないような。正直、今回の依頼を出す際にギリギリまで仕上げの艶具合を悩んでおりました。艶有りにするのか、艶消しにするのか、それとも半艶にするのか。特にメタリックカラーの上に塗るクリアーは、艶有りだとコントラストが強く黒が絞まって見えそうで、艶消しだと光が拡散する分、少し黒が浮いて見えるだろうと予想したのですが、半艶仕上げは正解でした。実に落ち着いて見えます。

作業して頂いたプロフィットさんの日記には ”大変でした” と正直な感想が添えられておりますが、これは確かに素人の私が見ても相当な労力と忍耐力が必要だっただろうとお察しします。妥協を知らない私のわがままにお付き合い頂き誠に有り難うございました。

ホイールはしばらくの完全乾燥を経て、もうすぐ我が家へやってきそうです。

画像提供: プロフィットさん

コメントを残す

*
*
* (公開されません)