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1日5分、その日の自分を振り返る時間を作りなさい。
    昔そんな話をお坊さんから聞いた。

東京でもレナード彗星を写真に残せた

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All Photo by inos

昨日の今日ですからちょっと体力的に無理かなとも思いましたが、やりたいことがすぐに実行に移せるなんて幸せな事ですし、いつまでも出来ることでは無いかもしれませんからね、思いついたなら行動してみる...それ以外の答えはないかなと思いまして。昨夜は0時過ぎに寝て2時半には起床しました。天体写真を趣味とするというのはそういう事です。

と言いましても、必要最小限の機材を背負って自宅から歩いて行ける距離にある公園がロケ地。東京にいながら果敢にチャレンジしてみたレナード彗星の撮影です。

3時半からセッティングを開始、秋の晴天に恵まれたおかげで北極星による赤道儀極軸導入もスムーズに行え順調に撮影をスタート。これまで数々の天体撮影をしてきた経験から6等星程度の明るさと言われるレナード彗星を写し止めるためのカメラ設定はISO1600、SS90秒、F2.8あたりかと考え試しに1枚撮ってみるとこれがびっくり、カメラが壊れたんじゃないかと思うくらい真っ白な撮影結果。

東京の空は明るすぎるのです。私がこれまで撮影してきた千葉の海沿いや長野県の野辺山に美ヶ原といった好条件の空と比べたら東京の空は深夜でも3等星がギリギリ目視できるくらい4等星は見えないくらい明るいですから、普段のカメラセッティングのままでは露出オーバーになってしまって期待する結果が得られないのです。

そりゃそうですよね、目で見えないくらい暗い天体を写真に写そうとしているのですから、肉眼でもはっきり明るいと感じるような空では無理だろう!と考えるのが普通です。露出倍数から逆算してみるとこれまで私が撮影してきたロケ地に比べ東京の空は8倍くらい明るい環境という事がわかりました。

いえ、でもやり方次第ではある程度の結果は残せるだろうと、今回は撮影後の後処理による炙り出しを前提の ”素材撮影” に注力して露出値を工夫しました。ズバリ選んだのはISO400、SS70秒、F4。それで撮影したのが上の写真。これ失敗じゃないですよ!画面全体がブルーグレー1色に写っている失敗写真のように見えますがこれが今回の元素材となる写真。もう1段くらいアンダーに撮っても良かったですが、まあSNの事を考えたら上々の結果です。

この露出値に固定したまま撮影は繰り返し行いました。赤道儀で追尾していますから絵面的には全く同じ写真を40枚くらい撮影したでしょうか。現地では1時間半くらい同じ写真を撮り続けるのです。

やがて夜空は薄明を迎え、朝焼けをバックに凍える体にムチを打って撤収を行いました。東京とはいえ明け方の気温は3℃程度でしたし夜露は霜のようになって凍りつきますからカメラバッグや三脚ケースは真っ白に。手袋をしていても悴んだ手ではもはや取り外せないネジがあったりして苦労しました。

帰宅後撮影結果を元に早速後処理を行いました。ブルーグレーに見えた元素材を見た目が適正となるよう調整しレナード彗星を炙り出します。超ローコントラスト素材からの炙り出しですから当然ノイズが強調され仕上がりが荒れてしまうため、そのために撮影した同ポジの複数写真をスタックし加算平均合成にてノイズ成分だけ除去したのが上の写真。どうでしょう、画面中央に目的のレナード彗星がなんとか写っています。

本来であれば200mm以上の焦点距離で撮影すべきところ今回はあり合わせの機材なので手元にあった一番望遠側の85mmによる撮影。よって大幅にトリミングしての仕上げ。

天体撮影という観点で見れば絶望的とも思える東京の明るい空ですし、85mmという中望遠画角からのトリミングでこれだけはっきり写っていれば大成功と言っても過言ではないでしょう。よく頑張りました!

後処理のRAW現像時に気づいたことがありました。それは彗星は確実に動いているということ!。

今回撮影を開始したのは4時過ぎくらい、5時半くらいまで連続して撮り続けていたわけですが、最初に撮ったコマと最後に撮ったコマの彗星位置を比較してみると他の星が同じ位置に写っているのに対し彗星だけが移動しているのが分かります。上の写真の赤い矢印が彗星位置ですが、撮り初めの左の写真に対し撮り終わりの右の写真は確かに彗星が下方向に移動していますよね。これを見た時は素直に感動しましたね。間違いなく ”今、移動中の彗星を捉えたんだ!” って。

久しぶりすぎる天体撮影は寝不足をものともせず大変楽しい時間でした。欲を言えばもっと暗い場所で200mmくらいのレンズを持っていけば数段ハイクオリティな結果が残せただろうと思いますが、今回は都内でも撮影出来たという実績が残せましたから、これはこれで喜びですね。天体撮影って頻繁には行いませんがたまにやるとやっぱり面白いです。体力が続く限りまた次なる対象を撮ってみたいと思います。

◎撮影地
・東京都西東京市
◎撮影日時
・2021年12月4日 4:00~
・気温 3℃
◎撮影機材
・SONY α7RII
・SONY SEL85F18(85mm)
・Kenko スカイメモS(ポータブル赤道儀)
◎露出時間
ISO400 F4
・追尾:70秒×10枚

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