Simply mini J

1日5分、その日の自分を振り返る時間を作りなさい。
    昔そんな話をお坊さんから聞いた。

RAW現像に最新のAIノイズ処理を適用してみる

By
All Photo by inos

Adobe Lightroom Classicの最新バージョンでノイズ除去機能のAI処理がかなりイケテイル!と話題なので使ってみました。実は最新バージョンがリリースされソニーのSEL2070Gレンズプロファイルに対応したという日記を書いた時点で同時に検証作業はしていたのですが、こちらのブログでは日常の様々な出来事を書いていますのでそちらを優先していた関係でご報告が遅くなりました。

今日取り上げるノイズとは、デジタルカメラで暗所撮影を行った際、ISO感度を上げる事で発生するゲインノイズの事を指します。JPEG圧縮による画像圧縮ノイズ等はこれに該当しませんのでご注意ください。

さて、ノイズ除去というと写真のRAW現像ソフトに限らず映像編集を行うためのノンリニア編集ソフトなどでも定番の機能ですが、その原理の多くは ”ぼかし” てごまかしています。実際はもっと複雑で周波数分析をして高周波成分のみにぼかしを掛けて被写体のエッジを立たせた元画像と合成したりしているのですが、一言で言ってしまえばぼかしているのです。だからあまり効かせすぎると画像全体がのっぺりとしてディテールを失い、いかにも後処理で消したね!っていう画になっていまいます。巷では「塗絵みたいな画」とか言われますね。

これまでのLightroom Classicも同様の原理を使っていたため掛けすぎは禁物でしたし、それで得られる効果というのも事前に予想が出来るものでした。それがついに今回のバージョンでAIを用いたノイズ除去が出来るようになったのです。ディープラーニングを取り入れた最新のノイズ処理とでも言いましょうか。

こちらはSony α7RⅡで撮影した夜のキャンプ場。月明かりとテントのランタンだけが光源というかなりの暗所撮影ですのでISOは6400まで上げています。

オリジナル画像とは書いたもののある程度見やすいように明るさの調整は行っています。オリジナルというのはノイズ処理を全くしていない画像と捉えていただければ分かりやすいかと。画面全体に輝度ノイズおよびカラーノイズが激しく発生し、その影響により、遠くから見ると画面全体が緑っぽく見えてしまっています。シャドー部に関しては赤っぽく見えますね。

こちらは上のオリジナル画像に対しLIghtroom Classicで従来から搭載されているノイズ除去機能を手動で適用したものです。これだけでも1枚目の画像と比べたら驚くほどノイズが抑えられスッキリしたクリーンな印象に見えます。

これはこれで救済処置としては十分な気もするのですが、よく見ると鱗雲のディテールが減り立体感が失われていますし、テントなどを見ても全体的にペタッとした印象になっています。

さてこちらが今回搭載されたAIによるノイズ処理の結果です。AIとはいえノイズ処理度合いは人間がある程度パラメーターで指定する事が出来るのですが、今回は半分となる適用量50で処理してみました。

驚くほど自然にそれでいてこれまでのノイズ除去機能より確実にクリーンに仕上がっています。単にぼかして消していた従来の機能との圧倒的な差は被写体のディテールが失われない点。エッジがきっちり立っているのにノイズだけが軽減されるので被写体の存在感を失わないのです。鱗雲のディテールも見事に残っています。

こちらは分かりやすいように上の画像の一部を切り出したもの。オリジナル画像はノイズだらけで無惨です。

これまでのノイズ除去機能を使用して画面全体のノイズは軽減されていますが被写体のディテールがかなり低下しています。地面の芝生の模様とかバイクの輝き、物によっては被写体が色を失いモノクロっぽくなってしまっているところも見受けられます。色抜けはカラーノイズ処理においてノイズと被写体の差がつきにくい箇所がノイズと判断されサチュレーションが下がってしまっているのだと思います。

AIによるノイズ処理後の画像は見事としか言いようがありません。細かなディテールもかなり残っていますし色情報も失っていません。それでいてノイズは自然な感じに軽減されていますからこれがISO6400で撮影した写真を部分拡大しているとは思えないくらいです。

これはかなり高精度なノイズ処理が行われていますね。どうしても高感度で撮影しなければならない状況で撮られた画像があったとしても「AIノイズ除去ならなんとかなるかも!」と希望が持てます。

ただし流石に処理時間は相当掛かります。元素材のRAWデータからAIノイズ処理が行われると新たにDNGファイルが生成されるのですが、私が所有するMac Book Pro M1 MAXでも(7952×5304pix)1枚の画像処理にはおよそ30秒近く掛かりました。それを踏まえると日常的に使う機能というよりはいざという時の飛び道具的な使い方ですね。

以下、別のサンプル画像も参考までに掲載しておきます。

コメントを残す

*
*
* (公開されません)