Simply mini J

1日5分、その日の自分を振り返る時間を作りなさい。
    昔そんな話をお坊さんから聞いた。

一人箱根駅伝、復路

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All Photo by inos

夢を見ている時は眠りが浅いと言いますが、枕が合わなかったせいでしょうか...それでいて夢の内容すら覚えていないのですから勿体無い話です。

今日は箱根から我が家までを走ります。でも、せっかく箱根まで来たのに温泉に入っただけでとんぼ返りも勿体無い...なんて欲が出るのは私もまだ若い証拠!と言っておきましょう。予定していたのは芦ノ湖まで足を伸ばすか、真鶴岬まで行ってみるか。どう考えても昨日の疲れがまるで取れていない疲労困憊の体で箱根の坂を駆け登るのは無謀と言うものです。必然的に真鶴岬へ。

大島と比べて箱根付近が走り難いと感じるのは、車通りが激しい事。去年位から法が改正され自転車も歩道を走って良い事にはなりましたが、路面の悪さと、段差の上り下りを考えるととても長距離走行には適しません。自転車も立派な ”車” ですから堂々と車道を走れば良いのですが、近頃の自動車はその殆どが3ナンバーでして、対向車があるような状況では追い抜きが困難な様子...そんな時は決まって ”トレンクルを先頭に渋滞” が発生します!後ろからのプレッシャーを感じつつ、自分のペースに反し疲れ果てた足をフル回転させるのはかなりスタミナを消費します。

そしてもう一つ、背中のリュックが重過ぎました。途中で何度捨てたくなった事か...。ブログ更新用にノートパソコンを持参していましたから、充電器やら、周辺機器やら、が、やたらと体を後ろに引っ張るのです。途中からはリュックその物をお腹に抱えるように背負って走りました。見た目はなんだかラッシュ時間の電車に乗るかのようですが、重量物が体の前に来るだけでこうも楽に走れるかと驚きます。トレンクルはもともと前傾姿勢で乗る自転車ではありませんから背中に荷物を背負うともろに足の力だけで進まなくてはならないのですね。こうなると見た目は二の次で楽な方法をとります...。

さて真鶴岬ですが、地図上で確認する限りは箱根湯本から直線で十数キロ程ですから寄り道感覚で行けるはずでしたが、実際自転車で走る距離は片道約20kmもありました。往復で約40km...。それも先日の大島ポタリングを凌ぐ急坂続き。これであれば芦ノ湖に行くほうが楽だったんじゃないかと思うくらい。車であれば真鶴道路という有料道路を利用してほぼ平坦に行けるようですが、半ば高速道路のような道を自転車が走れるはずもなく、しぶしぶ県道740号という峠道を走る事になります。最短ルートで行くためには途中からさらに脇道を利用してスキーのジャンプ台のような急坂を走ります。下りは良いですが戻ってくるには上るわけでして、自転車を押して歩くのも必死でした...。大島と同じく、前輪が浮き上がる程の急斜面。

でもそうやって苦労して上った峠の頂きから見る景色には、いつもなら「ふーん」と言って通り過ぎていた風景がこんなに奇麗だったのかと、自分の足で上ったから味わえる感動がありました。本当は真鶴岬から撮った写真もあったのですが、私にはこの峠の頂上付近から見たこの眺めに意味がありました。

 

実はこの時点で、本日中に自宅へはたどり着けないのではないか?と思い始めていました。平地はともかく、緩い上り坂でさえもう足が動かないのです。昨日100km以上を走って疲れが溜まっているところに、今日は朝からこのような峠越えがあり、大通りに出て楽になるかと思いきや自動車に追われる始末...。再び箱根湯本まで戻った時にはトータルで150km弱を走っているわけですから、そこから更に自宅までの100km弱の復路を走りきるというのは我ながら非現実的なスケジュールに思えたのです。

昨夜のうちに調べておいた自宅までの最短ルートを辿れるようGARMIN Edge 800にポイントをセット。万一走れなくなった時は、トレンクルを折り畳んでロマンスカーに乗れば寝ている間に新宿に到着する...。その ”ライフラインがある” という心的余裕は大きかったですね。でも私の性格からして、途中で断念する!という事は無いのだけれど...。

そこからはもう死に物狂いで走りました。途中、何でもないような坂道で何度も歩いて押しました。荷物だけでも宅急便で送ろうか?とも考えました。送れる物送れない物、梱包はどうする?どうせ折り畳まないなら輪行袋なんて置いてくれば良かった?レインコートを持ってこなかったのだからフロントバッグごと外してくれば良かった?  いろいろ考えている余裕はありませんでした。道草している暇があったら足を動かそう...。ママチャリに抜かれました。途中何度もサドルの高さを変えました。お尻の痛さなど50kmも走れば麻痺してしまって分からなくなりますが、少しでも足に力の入るポジションを工夫しました。

ナビの指し示す方向にひたすら走っていましたから、いつの間にか地理的な事が頭から抜けてしまっていましたが、日も暮れてナイトランとなった頃、通りかかった街の町内放送から「多摩地区の・・・」と聞こえた時は涙が出そうでした。不思議とその頃には足も動くようになっていて、それが疲れているのかいないのかもはや分からないような状態。多摩川の土手を2km程ルートにいれて、ほぼ全力で走ってみました。大したスピードは出せませんでしたが、まだもう少し行けそうな印象を受けました。ただし平地ですけれどね。

自宅到着は18時半、本日の総走行距離121km。2日間で226kmとなりました。自分の力だけで走りきった喜びは一入ですね。

その昔、父親の手を離れ数メートル走れただけで大喜びした自転車、今では226kmの旅でも転ばなくなりました。

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