Simply mini J

1日5分、その日の自分を振り返る時間を作りなさい。
    昔そんな話をお坊さんから聞いた。

映画の技術はいずれテレビにも求められる

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All Photo by inos

NHK総合テレビの15時15分から、「Small Trip ちいさな荷物で週末旅」という番組が放送されていました。

この番組は全編がCanon EOS 5D Mk2で収録されているということで、映像業界の一部関係者の間ではちょっとした話題になっていました。テレビ番組の制作現場はとかく保守的で、番組の内容によって使う機材はだいたい決まってくるものです。ましてNHKともなれば放送のクオリティ次第で即クレームに繋がるでしょうから、今回のようにビデオカメラを使わずに1本の番組を構成することはなかなかチャレンジングと言えます。

EOS 5D Mk2を使ったビデオコンテンツは音楽PVを中心に沢山ありますが、今回は旅番組でしたから確かに新鮮な印象を受けました。フルサイズイメージセンサーだからとイタズラに深度を浅くした画作りばかりかと思いきや、そこはじっと堪えて撮られていて、もっと違った視点でセンサーサイズが活かされていました。

これはサービスサイズの写真を四ツ切や半紙に引き伸ばした時の感覚に似ていて、同じ画を見ていても大型イメージセンサーで撮られた映像は画面内の小さな動きがよく見えるので、1カットが長いほうがその良さが際立ちます。多分、ゆっくりした時間を表現したいようなシーンでEOS 5D Mk2は凄くよい仕事をしてくれると私は感じています。今回は一部シフトレンズを使っているようにも見受けられました。写真用レンズが使えるのですから積極的に取り入れて欲しいですね。

やはり、ムービーカメラではないという特性上、ハンディカメラとして使うには操作面や手ブレの面で一癖も二癖もあると言われていますし、それも事実でしょうが、それ故、カメラを動かさずに撮る事や、ズームを使わずに撮る事、ドラマや映画なら主役の動きを工夫したり、フォーカスを送る事の意味を、このカメラが登場したおかげで今一度考える良い機会になったと私は考えます。テレビと映画のトーンの作り方の違いとか、小さな画面と大きな画面で見るのでは少しの揺れも大きな揺れに感じるとか、SD時代のテレビ制作では考えなかったような事がHD制作に関しては配慮する必要があります。

今回の番組の制作にNHKが挑戦した事、非常に有意義だったと考えます。

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