Simply mini J

1日5分、その日の自分を振り返る時間を作りなさい。
    昔そんな話をお坊さんから聞いた。

時間を凝縮したら写真は人の目を超えた

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All Photo by inos

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もうどれくらい天気予報をチェックしたか分かりません。これだけテクノロジーが進歩しても未だに天気予報は参考程度の情報にすぎないところが歯がゆいです。野辺山周辺は昼夜通して「晴れ」との予報。最低・最高気温共に東京より10℃近く低い場所ですから、深夜、時間との戦いと考えれば長袖のシャツとフリースを準備。

昨日、宇宙電波観測所を見学した後、目星を付けていたいくつかの撮影ポイントに足を運びロケーションハンティングを行いました。観測所のある付近標高1,300メートル位から天女山の頂上1,500メートル後半まで、見晴らしや、車が停められる距離、足場の確保、地域の人に深夜照明の有無までを確認。最悪の場合、広い畑の真ん中でも撮れるよう地理的にも予習が必要でした。

そして今回撮影場所として選んだのは「八ヶ岳ふれあい公園」。すでに星の観測に適した場所としてテレビなどでも放送されているようですね。人気(ひとけ)の無い池を周回するアスファルトのウォーキングコースと、林の中に入っていくハイキングコース、オフロード自転車用コースがあるのみ。夜は照明が点く事もなく真っ暗です。この場所の注意点は入り口付近にある公衆トイレに誰かが入ると5分間は室内蛍光灯が点きっぱなしになる事(逆に言うと人が入らなければトイレさえ照明は点いていない)。その点さえ気をつければ素晴らしい撮影ポイントです。(聞いた事のない動物の鳴き声とかは聞こえますけど)

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場所の確保が出来たらその後食事と温泉に入る予定でしたが、ここで思わぬアクシデントが発生! 食事をしようにもどこのお店も早い時間で店仕舞い。19時半ラストオーダーみたいです。ホテルや民宿にでも泊まっている人は良いのでしょうが、私のように夕方到着なんて人はあまりいないのでしょうね。周囲は畑ばかりですから夜来るところでは無いという事です。外は肌寒かったですからほうとうでも食べたかったのだけれど...。結局国道沿いに2軒しかないコンビニで軽食を調達しました。

それならせめて温泉くらいゆっくりと...と思い露天風呂から空を見上げれば、先ほどまでの晴れの空は見る見る厚い雲に覆われ月さえもどこにあるのか分からない状況。山の天気は変わりやすいと知っていてもちょっとショックな展開、星など一つも見えません。その後、時間潰しのために露天風呂に1時間浸かっていたりして...。施設から出た時には雨でも降らんばかりのどんよりとした空。絶望的でしたね。そんな時はもう一度天気予報を確認して、相変わらず ”晴れ” の表示を恨んでみたり。

そこから根気よく粘りました、途中諦めかけて周囲の散策に出かけたりもしました。散策といっても片道10km位の距離をあちこち飛び回ってもはや ”次回の撮影に向けた” 夜のロケハン。山奥ですから鹿の家族に出会い心温まる場面もありました。実際は相当怖かったですけどね。車のライトを消したら目の前は何も見えないような場所ですから。ガス欠と故障だけを心配しました。

そうこうしているうちに日付も変わる頃となりましたから、再びふれあい公園へ。時々覗かせる僅かな星空に願いをこめて...。やる事もなく持参したパソコンで写真の加工やブログの更新をしていればあっという間に予定時刻の25時半。状況としては多少改善したものの、星空が見えたかと思うと数分で雲で覆われる、そんな中いざ撮影開始。今回は作品作りと言うよりも赤道儀の使い勝手のテスト!くらいのつもりで。そう思えば気持ちも楽になりました。

以前、富士山頂で撮影した写真を掲載しましたが、あの時のデータを元に今回はもう少しブラッシュアップしていきます。あの時はISO400 SS20秒 F2.2でしたが、現像段階で2段増感しているので実質ISO1600という事。SS20秒で35mmレンズ カメラFIXだと僅かに星が流れましたから、今回は露出的に前回の撮影とほぼ同等となるようISO1600 F4でスタート。おのずとSS60秒となりますから赤道儀への期待感が高まります。

実際の撮影結果はその場で即Macに転送しデータを現像確認。そのためにパソコンを持参したのでした。天体撮影は結果の確認をカメラ本体の液晶モニターで行うのは結構難しく、フォーカスが合っているか、露出はどうか、回転の軸はちゃんと合っているか、ノイズの具合はどうか(後から画像処理で何とかなる範囲かどうか)等、そららを赤道儀に固定された無理な体制で判断するのは正直しんどいです。カメラをカチャカチャ動かしている間に赤道儀の軸がブレてしまいます。ですから理想を言えばEye-Fiカードをアドホックでパソコンと接続し無線転送でデータの確認をするのが最適な気がします。ただいかんせんEye-Fiはバッテリー消費が激しいため今回は見送り。これに関しては外付けバッテリー駆動の準備が出来たら実施してみます。今回はSDカードでの受け渡しとしました。

そして数枚のデータから撮影パラメーターの当りをつけて、それ以降はISO1600 SS60秒 F2〜F2.8で撮影。オモチャのような赤道儀ですが結構頑張ってくれました。ターンテーブルに遊びがあるため、電源投入や撮影アングルの変更後は最低でも1〜2分待たないとブレが出ますが、それだけ気をつければ十分実用になりますね。撮影が安定してきたらもう嬉しくて、雲が切れたらそちらへカメラを向けシャッターを切り、今度はこっち、次はあっちという感じ。どちらかというと自分が撮りたいアングルというより雲任せでしたけれど。

東の空へカメラを向けるとやっぱり地上付近は光のカブリが凄いですね。人の目ではほとんど感じないのですが写真に撮るとすごく明るい事が分かります。もしかすると人口光よりも夜明け直前の光なのかもしれませんが。うっすら霧が掛かっているのもプラスしてこれはこれで幻想的なグラデーション。地上の木や電信柱が少しブレているのは赤道儀が星を追っかけているせいですね。

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ちなみに今回の撮影ポイントは下の写真のような池のほとり(ロケハン時に撮ったものです)。私の他に数名の方が撮影や観測に来ておりました。実際夜になると真っ暗で足下もろくに見えませんが、誰がどんなふうに撮影しているか分かりませんからむやみに明かりを点けるわけにはいきません。何十分も露光しているような人がいたら自分のライトで一撃必殺ですからね。もし人の目の前を横切るような場合はお互い声を掛けあってから動きます。ただでさえ真っ暗闇で明かりも点けづに動きますから、黙ってごそごそするのは怪しいですしね。

今回の撮影では赤道儀にポーラメーターを組み合わせました。先の理由で北極星など雲に隠れて見えませんでしたし、一瞬見えたタイミングで軸合わせをしようにも、この赤道儀に開けられた軸合わせ用覗き穴で北極星を捕まえるのは至難の業。ですから撮影では北極星にはお構いなくこのポーラメーターの目盛りだけを頼りに軸を出しています。東京では高さが35度付近、真北は磁北から7度東寄りとされていますからその辺りで固定。結構いい加減な合わせ方ですが35mmレンズで1分程度ならそこそこいけてしまうもんですね。

結局時間を忘れ没頭した撮影は朝4時位まで続き、再び空一面が雲に覆われ始めたところで終了と相成りました。途中諦めかけた時もあったくらい条件は悪かったですからせめてデータ撮りだけでも出来れば!くらいに思っていたところ、こうして何とか掲載できる程度の写真は撮れました。第1回目にしてはまずまずだったと思います。ただやっぱり標高が高く条件の良い場所とは言え、夏の空は霞んでいて冬のそれとは比になりませんね。

今はただただ秋がくるのを待つのみです...。次なる課題は夜露対策ですね。

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