Simply mini J

1日5分、その日の自分を振り返る時間を作りなさい。
    昔そんな話をお坊さんから聞いた。

終わりと始まりを見た気がした

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先日銀座に出かける用事がありTokyu Storeでお気に入りのうどんを食べていたところ、目の前に「It’s a Sony展」の垂れ幕を見つけせっかくなので立ち寄ってみる事にしました。

銀座ソニービルがこの春に取り壊されるとあって、過去に発売された歴史的製品が一堂に展示されています。近年はスマートフォンやパソコンであらゆることが出来てしまうため電気製品を買う喜びみたいなものが希薄に感じられますが、90年代から2,000年に掛けてソニーは憧れのメーカーでしたね。

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ウォークマンの存在は当時学生だった私には大きな存在でした。このコーナーを見ていた時ちょうど隣に来た来場者の人が「俺もウォークマン欲しかったけど高かったからAIWAのカセットプレーヤー使ってたよ」なんて話をしていて、正にそうだったなぁと共感してしまいました。私もしばらくはAIWAの安いプレーヤーを使っていましたがある時父親が何かのきっかけで私と兄の二人にワイヤレスウォークマンを買ってくれました。今ならBluetoothで音を飛ばす技術は珍しくありませんが当時は革新的でしたね。

ウォークマンはソニーの商品名ですから他メーカーの製品に使われることは無かったハズですが、当時はポータブルカセットプレーヤーを総称してウォークマンと呼んでいた記憶があります。それくらい一世を風靡していたのですね。確かに今見ても小型でデザインセンスに優れ持っていたら自慢できそうなガジェット。販売パッケージのデザインも素晴らしく、これを見て「そうそうこういうプラスチックケースに入って売っていたな」と思い出しました。音質も最高と言われていましたね。アモルファスヘッド!と聞いてピンとくる人がどれくらいいるでしょうか。

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私が社会人になってからしばらくしてこのCDウォークマンを購入しました。東京にいると電車通勤の片道1時間が退屈でどうしてもBGMが欲しかったのです。いよいよ自分もCDを持ち歩いて聴ける!という事が嬉しかったですね。

当時確かこのモデルは数あるCDウォークマンの中でもフラッグシップ機でスロットインメカニズムと音飛びガード機能が売りで、再生を始めるとCDがヒュィーンと高速回転したかと思うとすぐに回転が低下して停止、再びヒュィーンと回り始めて...みたいな動作を繰り返す事でバッテリー消費を最小限に抑える工夫がされていました。短時間に何倍速かでデータを読み込んでメモリーに蓄えそこから再生する仕組みだったわけですね。

ところが私が購入したものはどういうわけかヒュィーンと回るまでは良いのですが、その後回転が落ちてきたかと思うと完全に止まってしまい音楽も止まる...という不具合に悩まされました。止まっている時間が長すぎるのでメモリーに蓄えたデータも再生しきってしまうという現象でした。簡単にいうとディスク回転の休憩が長すぎる!という事だったのですが、たまたま購入したのが初期不良だったというオチ。

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そして私がこの展示の中で一番注目していたのがこのテレビ。見に行く前から ”絶対に展示されているハズ” と期待していた、世界初の8インチフルトランジスターテレビ ” TV8-301”。1960年発売と言いますからもう50年近く昔のものですが、どうですかこのフォルム! この時代にグッドデザイン賞なんてものがあったら間違いなく受賞したでしょうね。

当時テレビは庶民の高嶺の花と言われ、購入するとしても居間に据え置き型を1台というのが普通だったと言われますから、こんなパーソナルな製品は大金持ちか物好きしか手を出さなかったそうです。販売価格は69,800円、当時としては相当高額な買い物だったのでしょうね。

私はこのテレビのデザインが大好きです。出来る事なら現代の技術を駆使して形はこのままに有機ELパネル地デジ対応復刻版を発売してほしいですね。すぐにでも予約しますよ!

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実は半年ほど前にこのテレビが新宿の東急ハンズで骨董品販売されていました。勿論当時の物である以上映るはずもないのでしょうから恐らくインテリアとしての販売。価格も当時と同じくらいの6万円台でした。悩みましたねぇ、部屋に飾っておきたいですが映らないテレビを6万円で購入するという勇気!

結局次に行った時にはショーウィンドウ丸ごと無くなっていて、売れたのか撤収されたのかは不明ですが、それを逃してからは入手不可能ですね。デジタル時代になってこういう魅力に満ちた製品ってパッと思い浮かびません。

この先10年20年が経過していった時、家電製品はどんなふうに進化していくのでしょう。持つ喜びや使う喜びは残されているでしょうか。家族みんなで集まってフタを開けるドキドキはあるでしょうか...。

時系列に並べられた数々の製品を見るうちに、時代の終わりと始まりを同時に見ているような気になりました。

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