Simply mini J

1日5分、その日の自分を振り返る時間を作りなさい。
    昔そんな話をお坊さんから聞いた。

小さい秋を見つける旅(4)

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All Photo by inos

今回栃木観光のきっかけとなったのがここ大谷資料館。言うならばこの日の本命。前日に知人がFacebookに写真をアップしていたというのがここだったのです。そりゃ見たくなるじゃないですか、栃木の山中に広大な地下施設があると聞けば...。

撮影の仕事をしている人の多くは数々の作品が生まれたロケ地として知っているようですが、私は撮影後の素材を貰うほうが仕事だったので知りませんでした。「inoさんが知らない事に驚いた!」なんて言われましたが、いや知りませんよだって地面の中でしょ....普通に歩いていても気付かない場所です。

 

ここは、その昔 ”大谷石” と呼ばれる石の採掘が行われ人の手によって掘られた地下施設。今はそれを資料館として公開しているというわけです。

資料館と言いつつも地上にあるプレハブのような建物はごく小さなもので、そこにも多少の展示物はあるのですが、やはり本命はそこから地下へ続く石のトンネルを下ってからの巨大空間。しかしそのプレハブみたいな建物が有名観光地のわりには貫録が無いというか仮設住宅みたい。隣にある瓦屋根のカフェのほうがよっぽど存在感があります。観光バスまで来るわけですからもう少し立派な門構えでも良さそうな気はしますね。

しかもその建物の中に地下へ続くトンネルの入り口があるわけですが、それがまたテレビのセットのよう。奥から ”今週のゲスト” が出てきそうな感じですね。

どうですか、このエジプトのピラミッドもびっくりな空間は!。これ全部人の手で掘ったというのですから2度驚きますよね。最初はつるはし一つで始めたみたいですけど、途中からは流石に機械掘りになったんだとか。トンネルを掘るのと違い、採掘が目的ですからダイナマイトでどっかーんというわけにはいかないわけです。石を傷つけないように綺麗にカットして外まで運ばないといけないわけですからね。1つのブロックがおよそ150kgもあり、それを一人で背負って運び出していたそうです。人間って150kgも背負えるのですか...。

地下施設は足下を照らす為の照明と場を演出する為のカラーLEDの2種類のライティングが行われており、これがまたテンションを上げてくれます。なんだか興奮するのですこのスケール感とその造形美に。

 

この広大な地下空間、実は一般公開されているのは全体の1/3程度なんだそうです。本当はもっともっと広いらしいのですが、いかんせん人が入るように掘られた穴ではなくあくまで採掘の跡ですから、場所によっては足下が急に5メートルくらい落差があったり水溜まりになっていたりするようで、現在公開されているのはそれらの危険が無い場所のみというわけです。

そしてこの穴は ”ただ広いでしょ!” というだけでなく、その広さを利用していくつかの芸術作品が展示されていたり、この施設で撮影された映像作品のワンシーンが展示会のように写真で並べられていたりします。映画やミュージックビデオの撮影が数多く行われているみたいです。結婚式だって挙げられるそうですよ。

凄いですね、人の手で掘った穴が展示会が出来てしまうくらい広いなんて...。

 

確かにこの場所に来るとなんだか芸術のイマジネーションが刺激される気がします。全てが巨大なのでスケール感が麻痺してくるのですが、ライトに照らされた自分の影さえもこれまで見た事もないようなサイズで映し出されたり、壁の前に人が立つ事でその大きさの壁なんて地上にだってなかなか無い事に気付いたり。

この辺りで私は入り口に書いてあった注意書きを思い出しました。「施設内での1脚3脚での撮影はご遠慮ください」「2時間以上の撮影はご遠慮ください」の2点。今どきのカメラは高感度撮影もそれなりにこなせるので1つ目はほぼ問題ありませんが、2つ目はなるほどな!と思いました。この中で夢中になって撮影をしていると時間の経過など忘れてしまうのです。まず肉眼で見て驚いて、それを写真に撮ろうとして工夫するが無理な事に気がついて...そんな繰り返し。

ちなみに今回の地下の写真は殆どISO6400にて撮影しております。α7RIIでもこれくらいまでは何とか使えますね。

そして長時間この中にいて気付く事もあるのです。人工光だけの穴の中にほんの僅かなちいさな穴から差し込む自然光の美しさ。光って美しいんだな!と。その光の方向にビーナスでも現れるんじゃないかと思うくらい、それくらい綺麗な光を見ました。

 

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