Simply mini J

1日5分、その日の自分を振り返る時間を作りなさい。
    昔そんな話をお坊さんから聞いた。

CP+でプラスと感じた事 2018(4)

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富士フィルムのデジタルカメラと言えばクラシカルなデザインのボディに ”フイルムシミュレーション” と呼ばれるいくつかのルックを実装し、操作性も吐き出される画もまるでフィルム時代のそれを思わせるのが特徴。ただしフィルムシミュレーションはカメラ内のエンジンで処理される為JPEG撮影時に反映される効果。私のようにRAW撮影オンリーの人は蚊帳の外というのがこれまでの現実でした。

そこで今回登場したのがそのフィルムシミュレーションを活用する自社製RAW現像ソフト ”X RAW STUDIO”。撮影後のRAWデータをパソコン上で現像しつつフィルムシミュレーションが適用出来るというもの。実は似たようなフローであれば既にAdobe Lightroomでも富士フィルムのRAWデータに限り同社のフィルムシミュレーションを適用出来るのですが、その場合は撮影時にカメラ内で処理するのと完全一致の結果とはならないようで、つまるところ富士のカメラはボディ内でルック作り以前に複雑な処理が走っているという事。

そのような理由から、実はこのX RAW STUDIOもパソコンのみで使用するものではなくUSBでカメラを接続した状態で使用する前提のよう。早い話がパソコンはカメラ内現像のUIのみ表示しており、パラメーター調整を行うとUSB接続されたカメラのエンジンで現像が行われるという発想。スタッフの方いわく、カメラ内では複雑な処理が行われておりそれをそのままパソコンのみで賄うのは現状難しいのだとか。カメラボディが手元に無いと作業が出来ないという点はいまいちですが、発想的には面白いですね。

■ ここからシネマ業界のプロ向けプチ情報

今回のイベントでお披露目となったX-H1に搭載されたフィルムシミュレーション ”ETERNA”。

こちらはどちらかというとスチルではなくシネマ系フィルムの再現という事になりますが、この銘柄に限りオフィシャルサイトにて3D-LUTが公開されています。入り口は富士のLogガンマであるF-Log用で設計されていますから素材に関わらずいたずらに適用すれば良いと言うわけではありませんが、「FLog_FGamut_to_ETERNA_BT.709」との事ですので、X-H1収録素材は勿論ですが他社のガンマ/色域で収録した素材であってもシーンリファードにてFLog/FGamut変換を行えばETERNAルックが作れる計算です。富士フィルムからはグレーディングメーカー各社にFLog/FGamutのSDKは公開しているようですから近い将来Davinci Resolve等で実現可能な変換となりそうです。

プチ情報ここまで。

 

仕事はさておき個人的に毎年注目して見ているのがプリント用ペーパーの展示。こうしたイベントというのはどうしてもカメラやレンズといった華のある新製品ばかり手に取ってしまいがちですが、正直なところそれらは発売されれば量販店でも確認出来るものであり、あえてこの場で時間を費やす事もない気がします。勿論、お祭り的なイベントですから場の雰囲気を楽しみつつ直接メーカーの人と会話しながら...という貴重な場でもありますけど。

一方プリントペーパーというのは量販店で並んでいても銘柄だけでは仕上りを想像しにくいですし、紙の厚み等の関係で適合するプリンターに関する情報だとか、耳付きペーパーを縁無しプリントするノウハウとか、印刷濃度による光の反射具合の違いなどは分かりませんから、こうしたイベントでの確認が有効だと思っています。

会場内には数名のアーティストの写真が展示されたコーナが設けられており、作品によるペーパーの使い分けという点において Céline Jentzschさん という写真家さんの雪をテーマにした展示は素晴らしいものがありました。

マット紙の表面処理と雪景色という組み合わせからなる立体感はこれまで見た事のない表現に繋がっており、ハイコントラストになりすぎる雪景色という被写体ながらマット紙の ”締まりすぎない黒” で上手くバランスが取れている感じでした。紙の質感を活かした表現であるためガラスの額装は意味を成さず、ましてパソコンディスプレイ越しに伝わるものでもありません。これぞプリントの成し得る技!という面白さが感じられました。

また、おなじみの和紙のプリント用紙を展示するブースも賑わっておりました。こちらは紙の厚さがまちまちですから比較的大型のプリンターが必要になりますね。どうやらデータ入稿によるプリントサービスもあるようです。

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