Simply mini J

1日5分、その日の自分を振り返る時間を作りなさい。
    昔そんな話をお坊さんから聞いた。

山陰短期集中観光(2)

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All Photo by inos

この写真だけ見てこれが何処かピンと来る人はしっかり写真好きだと思います。昔から一度来て見たかった場所 ”植田正治写真美術館”。

なんたって鳥取ですからね、それだけが目的で東京から向かうのはいささか贅沢というもので、今回は旅のついで(仕事のついで)なので実現したようなもの。

昔、写真好きな女の子が私に技術的な質問以外に「行ってみたい写真展は?」という問いかけをしてきた事があって、その時答えたのがここ植田正治写真美術館でした。今思えばもっと近場の展覧会を想像し、願わくば一緒に連れて行ってくれる事を期待していたのかもしれませんが、その時の私は本気で行きたいところを答えてしまい...。

というわけでやってきました。ここが正真正銘 ”植田正治写真美術館” です。なんですかこのコンクリートの塊みたいな奇妙な建物は!

しかし凄いですよね、日本が世界に誇る写真家さんとは言え、その人の名前で美術館が建設されるなんて。

それを言ったら、「夜空に輝く星だって見つけた人の名前が付いているじゃないか!あっちは建物どころか星まるごとその人の名前だぞ!」とか言われそうですが、確かにそれはそうなんですけど、発見や発明も確かに凄い事ですが、既に存在する技法を工夫することで世界から認められる存在になるというのは容易な事ではありません。人と違った事をして注目を浴びる!という単純なものではなく、多くの人の価値観に作用するよう発信するという事ですし、それを継続するのもまたしかり。

なぜここ鳥取にこの施設を作ったのかと言えばそれは植田正治さんの故郷であるという事が大きいのでしょうが、田んぼの真ん中に突然現れるのにも実は理由がありました。その辺については明日の日記で詳しく触れる事とします。

植田正治さんの写真美術館ですからご本人の作品が展示されているのは当然ですが、常に同じ作品が並んでいるわけではなく時期によって内容を入れ替えているのだそうです。これまでに開催された展示のフライヤーが廊下にずらりと並べられ、現在行われているのは左下に貼られている ”山陰にて” というお題目。植田さんが山陰で見てきた子供たちをテーマにしたものですね。もう亡くなって15年以上が経つというのに撮り溜められた作品だけでテーマに沿った展示が出来てしまう事にも驚かされますね。

山陰の子供たちの輝き...というテーマなら植田さんの代表作 ”少女四態” や ”パパとママとコドモたち” がエントリーされているのは当然で、私としては写真集やWEBサイトでしか見たことのなかった植田さんの分身のような作品のオリジナルプリントを目の当たりにし、もう感動の嵐...。

とは言え、植田さん以外の写真家さん作品も展示されています。館内は展示室がいくつもありますからエリアごとに異なるテーマの写真展が開催されているというわけです。今回写真撮影が許されたのはこのエリアのみ。「大山 24hours」と名付けられた柄木孝志さんの展覧会。一つの山を24時間追いかけ続けた作品集は過酷な撮影環境をまじまじと感じられるだけでなく、作品の向こうにダイナミックな大自然そのものをストレートに見る事が出来ます。自然と向き合うっていいなぁ...素直にそんなことを思いました。

一つ一つの作品の接写も不可能ではありませんが、展示会のマナーと現地に足を運ぶ楽しみを奪ってしまうのもあれなのでここではあえて会場の雰囲気のみご紹介。

この写真美術館は外観に驚くだけでなく、館内から外の景色を見る事にも重点が置かれています。だから人気の美術館に順番待ちをして人でごった返した中で作品を見る東京のそれと違い、作品を見る事以外に、そこを訪れたことで各々が何かを感じ取ってほしい...そんな声が聞こえてくるかのよう。

誰かが椅子に腰かけている...もうそれだけで画になってしまう。写真ってそういう事じゃないですか! 日常の中でどれだけ周囲の変化に気づけるか、感動するか、形にしたいと思うか、人に届けようと思うか。そんな単純な事を忘れている我々にこの施設はそれを強要することなく自然に教えてくれる...そんな感じがするのです。

その辺のヒミツは引き続き明日のブログで...。

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