Simply mini J

1日5分、その日の自分を振り返る時間を作りなさい。
    昔そんな話をお坊さんから聞いた。

山陰短期集中観光(1)

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All Photo by inos

島根県に来ています。私としては人生2度目の島根県、前回は確か14,5年前の事、あの頃は空港リムジンバスの窓から夕暮れ時の静まり返った宍道湖を眺め、静かな湖だな...ってそんな事を感じたのを覚えています。果たして今回もそんな湖を見る事が出来るでしょうか。

島根県と聞いて思い浮かぶもの。宍道湖のしじみ。松江城。いえいえかの有名な ”足立美術館” があるじゃないですか! 日本には沢山の美術館がありますが足立美術館は別格! 何がって美術作品もさることながらどちらかというとそこの庭園が有名で。そんなわけで1つ目のウェイポイントへレンタカーを飛ばして直行です。

あれです、雨男もここまでくるとなかなかのベテランで、降水量の少ない地域に私が訪れたら歓迎されること間違いなし! 今年の小旅行で降らない日は無かったですから。

でもこうした庭園に関してはピーカンより曇天のほうが光がコントロールしやすいというか庭園本来の美しさが出るような気がします。余計な陰が地面に落ちないので作者(庭師)が意図した形がそのまま表れるというか。直射日光が当たってしまうと見る方向次第で日向と日蔭の関係で形が変わってしまいますよね。満月と新月の間に半月や三日月があるみたいに、本当は丸いはずのものがそうは見えなくなる...みたいな。だからフラット光のほうが都合が良いんです。雨が降っている日のほうが苔も葉を開いてくれるので緑も濃くなりますしね。

ただちょっと驚いたのは、観光バス何台停められるんですか!って突っ込みたくなるくらい巨大な駐車場に対し、肝心な美術館の正面入り口の小さいこと。しかも美術館というより市役所の入り口みたいなデザイン...設計が古いんですかね。

噂には聞いていましたがこの庭園の美しさは感動ものですね。お手入れが行き届いているのは間違いなく、無駄な草一本生えておらず、本来あるべき(残すべき)草木は徹底した剪定がされており、それでいて過剰で雑な扱いがされていませんから木々の周囲の苔がダメージを受けていないのです。

仮に木の根元に雑草が生えてきたとしてもその周囲を苔が覆っていますから草を抜くために土足で踏み入れるようなことをすれば普通は苔が潰れてしまいます。草は早ければ数日ですぐに伸びてくるかもしれませんが、苔は数年掛かりますからそれを考えると苔が綺麗に生え揃っているこの庭園のお手入れは相当気を使っていることが分かります。私も自宅で苔を育てるようになってそんな事が分かるようになりました。

ここは本当に美術館なんだろうか...。率直にそんな疑問が湧いてきました。だって私を含めた観光客の多くは美術作品よりもこちらの庭園にくぎ付けで、よく見れば美術館にしては年配のおじいちゃんおばあちゃん率が高く、窓際のベンチに腰掛けたらもうそこはご近所さん家の縁側のごとく 「ついつい長居しちゃったわぁ...」 そんなノリでずっと居座っておりました。

いえ全然迷惑ではないので良いのですけれど。むしろ人気も少なくガラーンとしていてここが写真スポットです!と言わんばかりにスペースが空けられているより、その場から動きたくなくなるくらい落ち着いている雰囲気こそが庭園とセットで私が目にした光景なわけで。多くの人にとっての特別な景色を私も見れたことが嬉しいですね。

ほらこの感じ! 明るいカラーの地面に作り出す木や石のコントラストは直射日光では強すぎてこうは見えないハズ。勿論、白い空じゃなくて青い空ならそもそも目に飛び込んでくる印象そのものが変わるでしょうから一概には言えませんが。芸術というのは見る角度や明るさや時間帯、つまりは環境に大きく左右されるものであり、それがこんなふうに自然相手の庭園となれば尚更ですし間違いなく季節までを意識して設計されているでしょうから、植えられている木々も季節の色が考慮されていたり場合によっては常緑樹を使っているかもしれませんね。雪のシーズンには上から白いペイントを掛けるようなものですからどこを黒く残すか...とか。

そうこの庭園はそのものが芸術作品なのです!

しかしこんなに綺麗に手入れが行き届いている庭ですから台風が直撃でもしたら大変な騒ぎですね。大事な木が折れないように対策をしたりするんでしょうけど、それでも嵐の後は葉っぱや枝が庭中に散乱するわけで、それらを綺麗に片付けるにはいったい如何ほど時間がかかるのか...恐ろしいです。

え、何ですか? 美術館なのに美術作品の写真はないのかって? それらは撮影禁止ですので庭園のみです。まあ確かに記憶にも薄いと言えば薄いですが...。

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