Simply mini J

1日5分、その日の自分を振り返る時間を作りなさい。
    昔そんな話をお坊さんから聞いた。

時が過ぎても美しいものは美しい

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All Photo by inos

田んぼの畦道が通学路だったからといって道路交通法が無かったわけではないけれど、イヤホンを耳に突っ込んで自転車に乗っていても怒られなかった時代。学生が音楽を聴きながら学校に行くというスタイルの走りじゃなかったかと思います。

1989年といえばユーノスロードスターやホンダNSX登場の年。そこに憧れを感じつつも車に乗るには少し早かった高校生には、一番身近に置けて所有欲が感じられ、思春期に流行りの音楽を友達と共有出来たウォークマンの存在は特別なものでした。

プリンセス・プリンセス、光GENJI、長渕剛、Winkといった流行アーティストから、LINDBERG、米米CLUB、小田和正、CHAGE&ASKA、といったアーティストの音楽に移り変わっていった頃ですね。

Ginza Sony Parkでは現在ウォークマン誕生40周年イベントを開催しています。たまたま通りかかったら何やら賑わっていたので私も立ち寄ってみました。

当時の歴代ウォークマンがあちこちに点在するように展示されており、機種によっては実際に再生して聴くことも出来ました。まあ私は潔癖なところがあるので共用のヘッドホンの装着には抵抗があって聴くには至らなかったですが、実機に触れられることの感動は味わえました。

展示が地下1階から地下4階まで無駄に広いのでスタンプラリーのように展示物同士を線で繋いでいくのはなかなか時間が掛かりますね。そういう演出なんですが。

他の展示とは少し区別された感じで展示されていたこちらのいくつかのモデル、恐らく当時のウォークマンに有名人やデザイナーが現代風アレンジを加えたコンセプトモデル的な方向性かと思います。

ただ私的には、ちょっと違うんだよなぁという感想。当時のデザインというのは機能性を重視し、意味のある造形、意味のある配色、意味のあるレイアウトがちゃんとユーザー体験として感じられていた気がするんですよね。今風に言うならアフォーダンスというやつです。だから別のカラーで染めたからほらかっこいいでしょ!という次元では設計されていなかったんじゃないかと。

もちろん現代には現代のアレンジがありますから正論も間違いも無いんですけどね。当時の美しさというものもあるな!と改めて感じたというわけで。

一番下のフロアには230台もの代表的なウォークマンが一堂に展示されています。これは圧巻ですね。

左側の古いモデルから右側の新モデルまで年代別に並べられているわけですが、面白いのは見学者が最初に足を止める場所で大体の年齢が分かるという...。

ちょうど真ん中あたりでカセットテープからMDやCDに移り変わる感じですから、比較的若い人はMDウォークマンあたりに強く反応し、80年90年代に思い入れのある私のような人は半分から左側のカセットウォークマンに当時の思い出を重ねる。

ただ、20代くらいの女の子が放った「昔の方が断然かっこいいじゃん」の一言はすごく印象的でしたね。ああやっぱり若い子が見てもそうなんだって思いました。私の年代が見るそれは当時の記憶に美化されていますから偏りがあるにせよ若い子がニュートラルに見た場合にもそうなんだって。

音楽再生装置としての性能で言ったら現代のスマホに何一つ敵わないのに。

私が学生時代に流行していたのはこの辺りのモデルでした。真ん中に並ぶ4つくらいが周囲で使っている人も多かったですしお店でもよく目にした気がします。(黒いのは記憶にないけど)

ちょうどこの頃にウォークマンはワイヤレスに突入して、今のようにBluetoothなんて規格が無かったころFM電波でウォークマン本体とイヤホン用レシーバーを繋いでいました。

流行ものには悲観的な父親が当時どういうわけか私と兄に1台ずつそのワイヤレスウォークマンを買ってくれたのを覚えています。私のモデルの展示はありませんでしたが、兄が使っていたモデルは下段の右の黒いやつですね。

セキュリティなんて気にする時代ではなかったですから、レシーバーさえあれば1台のウォークマンの電波を複数人で聞けたのも当時ならではの楽しみでした。

カセットウォークマン史上一番美しいモデルはこのスケルトンタイプじゃないかと今でも思います。多分表面はポリカーボネートか何かで出来ていて、当時デザインバリエーション豊富だった数々のカセットテープを再生中も見て楽しめるというコンセプト。これほんとうにカッコイイです。

これと並ぶくらい完成されたデザインと感じるのが今日の日記の1番最初に掲載したモデル。ウォークマンってついにここまで小さくなったか!と当時驚いた記憶があります。もうカセットテープのケースくらいの大きさでしたから。カセットテープの形状をそのまま流線型にしたような滑らかなシルエットは芸術品のようでした。

現代もウォークマンブランドのミュージックプレーヤーは販売されているわけですが、iPodに対抗する完全なメモリープレーヤーですからこれらのカセットウォークマンとは似て非なるもの。再生装置としてみればどちらも同じポジションですが、カセットテープはメカの塊ですから設計製造は相当大変だったでしょうしコストも掛かったはずです。バブル期のソニーはほんとうに凄かったですね。

できれば当時の人気モデルのいくつかを復刻版として発売してくれると嬉しいですね。カセットテープへの録音サービスも同時に行ったら案外需要はあるんじゃないでしょうか? 少なくとも上のスケルトンモデルが復活したら私は飛びついてしまいそうです。

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