数年前の写真を見返していたらこんなものが出てきました。渋谷Bunkamuraでは当時こんな魅力的な展示会と映画が2本立てで行われていたのですね。
ソール・ライターといえば日本でもファンの多い写真家さんで、勿論私もその一人であり写真集も所有しています。ガラス越しやその反射を使ったフィルター効果や、傘や建物をシャッターのように使ったフレーミングに特徴があって、ストレートフォトこそが正義とされた1950年代にそうした演出を写真に取り入れることはかなりの挑戦だったはずで、今となってはピクトリアリズムと呼ばれる技法の先駆けにはソール・ライターの存在は無視できないのではないかとさえ思えます。
確かこの写真展は2017年でその後日本国内を巡回したはずですから、そこから刺激を受け今も真似して作品作りしている人も少なくないんじゃないですかね? それくらい現代に通用するような演出をする写真家さん。まあ真似しやすいと言ってしまえばそれまでかもしれませんが。
一方でロバート・フランクもまた写真歴史を語る上では絶対に外せない存在ですね。写真集 ”The Americans” は写真界に残る名作集ベスト5に入るでしょうし、「私の写真を見た人には、好きなように感じ取ってほしい。そして、二度読み返したくなる詩に出合ったときのような感覚を味わって頂きたい」と、写真を追求して行き着く目標のようなものを形にしていた人。
決して物珍しいものを撮ったり現代で言うところの ”栄える” ような見せ方はしない。写真はデザインではなく言葉に近いもの。だからこそ1度見て飽きるのではなく2度3度と見返す事で何を伝えたかったのかが分かってくる。それでいてカッチリとした撮影スタイルではないからドキュメンタリーそのもの。
コロナで今は写真展もほとんどやっていないような気がしますが、またこうした大物写真家さんの展示会があったら足を運びたいと思います。