新宿に出る用事があったので、いつものように帰り際Nikon Salonに立ち寄りました。皮肉にもたまたまこの時期に重なったとされるチェルノブイリ現地写真からなる写真展。中筋純さんというカメラマンの個展。

写真展には大抵の場合、展示物に対し見る順番が定められているものですが、今日の私は隣接する別の展示を見た流れで入室した関係で全てを逆周りで見る事となり、始めは何の写真が並んでいるのかピンときませんでした。殆どの写真に人が写っておらず、古びた船やオートバイに廃虚ばかり。でも所々に日常では目にしないようなモノが写り込んでいて、放射線防護マスクや、ボロボロになった衣類、崩れて倒れたピアノ．．．。そして原子炉内部の写真。ようやく展示の趣旨を理解したところで、写真家本人のプロフィールを読んだ後、再び順路に従い全ての写真に目を通しました。

25年近く止まった時間の中で、自由に成長し伸び伸びと生い茂った緑が多くの写真の主役を飾っていました。

もしかしたらそこに写っているのは私が定年を迎える頃の日本の姿のような気がして、自宅に向かう帰路の中に復活しはじめた街のネオンを眺めました。