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1日5分、その日の自分を振り返る時間を作りなさい。
    昔そんな話をお坊さんから聞いた。

CP+でプラスと感じた事 2023(7)

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All Photo by inos

サイトロンはCP+会場でも数少ない天体観測関連製品を扱うメーカー。サイトロン以外ではビクセンもしくはケンコートキナーくらいでしょうかね。

ブースには何やら気になるアイテムが展示されておりました。これはもしや!と思い近づいてみるとやはり電子観望でした。日本発売前のVaonisスマート天体観測ステーション「Vespera」。

従来の望遠鏡のように接眼レンズを覗くタイプの天体観測ではなく、スマホやタブレット用アプリを使用してディスプレイ上で天体観測を実現するというデバイスが電子観望。既に数社から同類の製品がリリースされているところへ、このVesperaが仲間入りというわけ。

最近トレンドの電子観望と同等であれば、フィールドでのセッティングは地面に置いて水平を合わせるのみ。後はスマホとペアリングしてキャリブレーションを実行すればこの望遠鏡は自分が見ている星空を自動認識して天体追尾の準備を整えます。

従来の赤道儀のように極軸を合わせたりカメラをセットする手間は皆無。だってこの望遠鏡そのものがデジタルカメラなのですから。

ここまで準備が出来たら後はスマホアプリから観測したい天体をリスト選択するだけ。望遠鏡は自動的にターゲットの方向を向いて目標が定まればスマホにはその天体が映し出されるというロボット型望遠鏡。

いいですねぇこんなのが家にあったら。世紀の天体ショーみたいな日があったら、ひとまずベランダに置いて家の中からスマホ画面を見ていれば自動的にその星を探し出して映してくれるのですから。ただどうでしょう、スマホ画面で天体を見るならどこかのオンラインサイトを見ていても変わらないような気はしますが...。とはいえ全自動で星を探してくれると言うギミックが面白そう。

こちらは冷却CMOSですね。天体撮影は長時間露光が前提のため一般的なカメラで撮影を続けるとCMOSセンサーが熱を帯びてきて撮影画像に熱ノイズが混入してしまいます。以前私が実験したα7RⅡの熱ノイズ実験の結果はこちら。CMOSを冷却しながら撮影する事で熱ノイズは飛躍的に減らす事が出来ますが、普通のカメラのCMOSを外部から冷やす事は通常は無理ですから、それ専用のCMOSセンサーを準備するというわけです。

センサーには大型ヒートシンクが装着されており空冷ファンにて強制的に冷やします。メーカーによってはペルチェ素子を用いた冷却方式もあります。

こちらはだいぶマニアックな展示ですね。私もちゃんと理解はできていないのですが、比較的安価な望遠鏡に冷却CMOS取り付けての撮影。

でも単なる撮影では撮れる画像には限界があるため、こちらは各波長ごとにフィルターで分光した撮影を3連で行っているという事かと。撮影後に波長ごとの撮影結果を合成して1枚の画像が成立するという。

なぜわざわざそんな事をするかというと、広い波長域で精度の高い望遠鏡を作るとなるとお金がかかるんですね。例えば赤と青では波長の長さが違うので赤も青も理想的に光を屈折させようと思うと特殊なレンズが必要になるわけで。

それならば撮影する波長の幅を限定して、例えば赤だけを撮る望遠鏡と青だけを撮る望遠鏡を独立してセットすれば安い光学設計でも無理なく撮影が出来るわけです。天体の場合は単にRGBというだけではなく可視光の外まで意識する必要があるでしょうが、考え方は同じです。

こういうのを見るとまだまだ天体撮影は奥が深いなぁと、楽しくもあり、沼の底を見失いそうにもなりますね。

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