Simply mini J

1日5分、その日の自分を振り返る時間を作りなさい。
    昔そんな話をお坊さんから聞いた。

一人運動会、2日目

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All Photo by inos

  

昨日の教訓がありますから、その1.5倍~2倍近い標高までをトレンクルで駆け上がるのは少々難しいかとも考え、途中までタクシーのトランクに積んで行こうかと迷いましたが、走行距離が少なめである事と、今日は時間に余裕がありますから、ここはいっちょ自分の足だけで三原山山頂を目指そうと決意しました。

三原山に登るには3つのルートがあるとされていますが、私が選んだのは宿から程近い ”三原山登山道路”。名前だけ聞いてもキツそうです。朝9時半出発、近所にある10時開店のスーパーにお願いして9時45分にリポビタンDをゲット、その場で栄養補給。何と言っても昨日の疲れがぜんぜん取れていませんでしたからこうした反則も必要です。

それでもまだ、”なるべくなら自分の足、でもいざとなったらタクシーを呼べば” と考えておりましたが、大島ではSoftbankの電波はふもとの街以外殆ど飛んでおりません!。もう後戻りなしで標高750メートルまでを漕ぎまくります。距離にすると12kmくらいでしょうか。その間下りは勿論、平地も殆どありませんから歩くようなペースで上ります。

漕いでも漕いでも上り坂、カーブを曲がると尚険しい急勾配、普通なら弱音を吐きたくなるところですが、どういうわけか今日はスイスイ走れます。昨日のように汗だくにはなりましたが、GPSが示す高度はグイグイ上がっていき、想像したよりずっと楽に登りきりました。やはりリポビタンDの威力でしょうか?

途中、馬が放牧されているのを見てほのぼのしてみたり、行き交うサイクリストやマラソンランナーの人達と軽い挨拶を交わしながら景色をも楽しむ余裕っぷり。

  

三原山は頂上まで自転車を持ち込むわけにはいきません。山頂付近に駐車場があり皆そこから歩いて頂上を目指すのですが、自転車置き場など準備されているはずもなく、さすがにトレンクルに乗って帰る人はいないでしょうが、歩いて火口一周をするには3時間弱を要しますからずっと停めっぱなしも不安です。

お客さん待ちのタクシーの運転手さんと話し冗談半分で出した結論、お巡りさんの目の行き届くところに停めることに...。そう、三原山山頂付近には駐在所があって可愛い婦警さんが相談に乗ってくれます。停めたのはなんと駐在所の脇。私が居ない間は度々様子を見てくれたようです。ありがとうございました。

活火山である三原山には日常目にしないような装置があちこちに設置されています。地震予知計のようなもので、常に何かを監視しているのでしょうね。不意の噴火でも人々が避難できるようトンネル型シェルターもいくつか目撃しました。

 

観光客が記念写真を撮るために作られたと思われるひな壇の一番高い位置にトレンクルを置いてじっくり写真を撮りました。周囲の人の表情がぽか~んとしているのを感じました...。しかしなんと贅沢なレイアウトでしょう!この景色独り占め。

私は火山の火口を見るのは生まれて初めてかもしれません。三原山は最後の噴火が25年前ですから比較的新しく、それだけに火口がシャープにえぐれていて、正に地獄の底のような感じすらします。あまりに巨大であり、あまりに深すぎてDP2Xの40mmレンズでは収まりません。なぜ今回DP1を持ってこなかったのか?自分でも不思議です。

  

日本で ”砂漠”と名の付く場所はたった一箇所、この三原山にしかありません。それも記念写真を撮る先ほどの場所からは見ることが出来ず、頂上の火口を半周した向こう側に ”裏砂漠” と呼ばれる溶岩で出来た広大な砂漠が広がっています。これも例によってDP2ですからその一部しか写せておりません...。

と、そこに何やら不思議な光景を発見!。私は両目の視力が1.5ですからそれなりに遠くのものまで確認できますが、肉眼でぎりぎり見えるか見えないかくらいの大きさの車が砂漠の中にある山の頂上に止まっています。どう見ても尋常ではありませんし、だいたいどうやってあそこまでたどり着いたのか?人の足でも溶岩で出来た砂利の上は崩れやすく歩きにくいのに、あの車は一歩間違えば谷底へ落ちてしまいそうです。その後少し目を離している隙に車は見えなくなっていました。何事も無かったのでしょうか?行方が心配です。

火口付近からは今もモクモクと湯気が出ていて活火山であることを物語っています。試しに地面に手を当ててみると確かに温かい...。日差しが強かったので太陽に照らされての事でしょうか。

その後、駐在所に預けた自転車を引き取って、楽しみにしていたダウンヒル!。自転車はこの為にあるのではないか?と思うほど快適な下り勾配は平均速度29km/h。平地のポタリングの平均速度が12km/h程度と言えばその凄さが伝わるでしょうか?最高速は勿論45km/hオーバーです。上りに2時間強を要した三原山も下りは15分弱。あっという間です。

でも、この時点でやけに体力が余っていた私はそのまま元町に戻るのも退屈に思えてきて、島の反対方向に下りたのでした。つまりそれはまた大島周遊道路を使って宿のある元町まで長距離ポタリングをしようという魂胆。何で今日の私こんなに元気なんでしょう?

 

今日はどうしてもこの島からの夕日が見たくて、宿の夕食を30分遅らせてもらいました。

対岸に見える伊豆半島の存在が、確かに私がいるこの場所が海の中に点在する島であることを意識させ、いつも見る夕日とは別格の感動を連れてきます。写真を撮る事に夢中になりながらも色々な事を考えました。

到着してたった2日しか過ごしていませんし、明日には東京へ戻るのだけれど、初日に島を1周した事で何となくこの島の空気が感じられましたし、自転車に乗っているだけでいろんな人に声を掛けられ親切にしてもらえました。宿の管理人さん、スーパーの店員さん、おみやげ屋さんのおばちゃん、タクシーの運転手、駐在所のお姉さん、工事現場で旗を振っていたおじさん、同じように自転車で島を走るサイクリスト、スキューバーダイビングのダイバー、外国から来た自転車好きのおじさん、庭の手入れをするおばさん、食事を作ってくれたおばちゃん...。皆が人間らしい生活をしているように見えました。お互いのことを笑い、驚き、楽しみ、感心し、笑顔で別れる...。いつもの東京の暮らしに何か足りなかったものを感じられた気がしたのでした。

何かと不便なこともありますが、私はこの島が好きになりましたね。本日の走行距離52km。(山頂付近徒歩含む)

 

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