Simply mini J

1日5分、その日の自分を振り返る時間を作りなさい。
    昔そんな話をお坊さんから聞いた。

良く考えてみれば

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All Photo by inos

「撮るには手元にカメラが必要である。撮らなければならない必然性は無いから、持っていなければ撮る行為にはおよばない。ということは撮りたくなるのはカメラが身近にあるからで、機械がそうした衝動をうながしていることになる。」

299ページからなる厚手のストーリーの始まりにその一文を見つけ、この本を持ってレジに向かいました。

新宿の紀伊国屋書店には比較的写真関連の書籍が充実していて時々足を運びます。デジタル技術の進化によって一人一台カメラを持ち歩くような時代ですから、マニュアルやカタログになりそうな解説本が陳列されるのは無理もありませんが、そういった雑誌や写真集に紛れて、「写真を撮る意味」とか「写真が持つ力」について語られた本を目にすると、その場で一度立ち止まってみる勇気が出ます。

素晴らしく高解像度でAF性能も抜群のカメラ、癖の無いレンズが付いていて収差など無縁、メモリーへの書き込み速度も高速で秒間に10枚もの写真が撮れる...。そんなふうに謳われるカメラ同士を○○ VS ○○みたいに比較して、どちらが優れているとか、ピクセル等倍で比較しないと意味が無いとか、新型コンピューターのベンチマークテストのような事が世間的には行われています。

じゃあ、「その性能があなたの撮る写真に必要ですか?そのカメラでなければ撮れないような写真をあなたは撮っていますか? その性能がなければ撮れないような写真が撮れたのなら是非見せてください」

こんなふうに言われたら私は言葉に詰まります。そんな事を考えさせられる本です。

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