Simply mini J

1日5分、その日の自分を振り返る時間を作りなさい。
    昔そんな話をお坊さんから聞いた。

「遠くから見れば分からない」と言えばそれまでですが

By
All Photo by inos

diary4877 diary4878

今回は赤道儀を使わない撮影も行いました。月が湖に反射するのは見た事がありますが、星が反射するなんてロマンチックじゃありませんか! 小学生の頃、生まれて初めて長時間露光で星を写したのも北斗七星でした。

こうした撮り方は天体撮影としては初歩的な部類に入るかと思いますが、一体どの程度の露光をすればいいのかピンとこないですよね。実は驚くほど低感度で撮影するのです。

上の写真1枚目はISO200、SS20分、F8で撮影しています。2枚目はSSのみ23分です。23秒じゃなく23分です! 本当は30分のバルブ撮影を行うつもりでしたが23分の時点で近くの車がテールランプを点けたので慌ててシャッターを閉じました。車のライトなど拾ったらその時点で一巻の終わりですからね。

長時間露光による撮影は1つのミスが30分単位で時間を無駄にしてしまいますから、自然現象に近いアクシデントはやむを得ないとして、自分自身のミスは最小限にしなければなりません。今回もあと1テイク撮りたいところでしたが、この時点で4時を過ぎていましたから恐らくもう一度30分シャッターを開けていたら夜明けの光が被ってきてしまったと思います。ですから、こうした撮り方をする際は1〜2分のテスト撮影を行ってから本番に臨みます。そうでもしないと肉眼では殆ど光を感じないような真っ暗な環境ですからフレーミングすら決められません。

さて長時間露光となると普段は考えないような事に気を使わなければなりません。フィルムの場合は相反則不軌と言って露光時間と感光の度合いが比例しなくなる現象が挙げられますが、ことデジタルではやはりノイズの問題が大きいと思います。ISO200で撮っていてノイズなんて気にするのはちょっと意外だと思われるかもしれませんが、長時間露光時はイメージセンサーが熱を持つと言われており、これが熱ノイズとして現れたり、センサーのドット抜けのような物理的な問題によりそれらのノイズが現れます。

次の写真は今回23分間露光した写真を部分的に切り取ったものですが、1枚目は確かに白くポツポツとしたノイズが多数確認できます。これが熱によるものかどうかは不明ですが、こうしたノイズは必ずイメージセンサーの同じ箇所に現れます。そして2枚目はそれらを後処理で消したものです。少なくともシャドー部分の白いポツポツは気にならないレベルにまで解消されていると思います。

diary4879

diary4880

これらのポツポツを消すにはフォトレタッチソフトのノイズリデューサーはほぼ使えません。これが消えるレベルまで調整を行うと星の方が消えてしまいます。この場合は同じ条件で撮影したダークフレームを減算合成してノイズのみ消します。そう、つまり23分実写撮影を行った後、カメラにキャップを付けて全く同じ条件で真っ黒な画像をもう一度23分間かけて撮影するのです。そうする事で真っ黒な画像にノイズのみ写った写真が出来上がりますから、それを使ってPhotoshop上で実写画像からノイズのみ減算するというわけです。

実はこの方法は一般的なコンパクトデジカメでも採用されていて、数秒を超える長時間露光を行うとカメラ内部でこれと同様のノイズ減算処理が掛かります。夜景などを撮影した直後はすぐにプレビューが出来ず待たされた...なんて経験をした人も多いと思います。あれは、撮影直後シャッターが閉じるとカメラは引き続き同じ秒数分の露光を行ってダークフレームを作っているのです。そして減算処理が終わった段階でメモリーに書き込んでいるというわけですね。10秒の露光を行ったら原理的に考えても10秒以上待たされるということです!

しかしそれもマニュアル露出を行うこういったケースではカメラが自動でダークフレームを作ったりはしてくれませんから自分で作って自分で消す!というわけです。ただ、今回は分かってはいましたが明け方の野辺山は寒すぎて肝心のダークフレームを撮ってきておらず、自宅の冷蔵庫に2時間ほどカメラを入れておいて追撮しました。冷蔵庫で撮影時と同じ温度にしてから撮らないとノイズの出方も変わってしまいますからね。

普通はここまででほぼ写真として完成!となるはずですが、今回はもう一工夫しています。と言うのもダークフレームで減算処理してノイズは消えましたが、よく見ると空には黒いポツポツが発生! これも原理的に当然ですが、白いポツポツから減算したところでノイズの箇所に本来あるべきピクセルが復活するわけでは無いですから黒いポツポツに変化するのです。真っ暗な空ならそれで問題は無いでしょうがグレーの空では目立ちます。Photoshopで減算後のレイヤーを複製して片方のレイヤーには星のディテールすら無くなるくらい強力にノイズリデューサーを適用し、もう一方のレイヤーと「比較(明)」合成すれば案外簡単に黒いポツポツのみ消す事が出来ます。

しかしこの撮影をしてみて思ったのですが、こんなふうに水面に反射する星を赤道儀を使って撮ったらもっと面白い写真が撮れるかもしれませんね。実像の星は点に写って、水に反射する星は線として写るんじゃないかと。ただ問題は木や水面も回転してしまうという事ですが...。

コメントを残す

*
*
* (公開されません)