Simply mini J

1日5分、その日の自分を振り返る時間を作りなさい。
    昔そんな話をお坊さんから聞いた。

ズームしなければ表現出来ない映像とは

By
All Photo by inos

プロの映像業界にEOS 5D Mark2や7Dが使われるようになって久しいですが、未だにそのボディスタイルが一眼レフカメラのソレであり、肩担ぎが出来るような放送用機材のようにならないのが不思議なくらいです。それに、サードパーティー各社から発売されている周辺機器を組み合わせたところで、ムービカメラのような自由度や操作性の改善が図れないのも、スチルカメラでムービーを撮る覚悟を必要とするようです。

でも私はその使い難さが返って映像表現の原点を見直す機会として良い結果を生んでいると思っています。

デジタル一眼レフカメラで撮影されたミュージッククリップやTVドラマを見ていると、映像表現の中にほとんどズームが使われていません。恐らくそれは、大型イメージャーを搭載した一眼レフの浅い深度の中でフォーカスフォローをしながらズームまでを行うのは操作的に困難であるという事なのだと思いますが、その分、被写体との距離を近づけたり遠ざけたりするドリーによってサイズをカバーする手法が多く見られます。

昔一緒に仕事をしていた映像ディレクターの方と、この ”ズーム効果” について何時間も語った事がありました。人の目というのはズーム機能を持っていませんから、カメラという機材を使用して客観的にその場の状況を説明するのにマッチングが悪いのでは無いか...というのがお互いの結論でした。勿論ドラマやイメージ映像等を組み立てるのに内面的な効果を現す手段として用いるケースは多々ありますが、焦点距離をフレキシブルに換えられ、1本のレンズで幅広い画角をカバーする目的で作られたズームレンズを、時間軸を持った ”ムービー” の中で使用した場合、画の構成とは少し違った部分で意味が生まれてしまうというのは紛れも無い事実です。

プロ用機材に限らず一般家庭用のムービーカメラにもその殆どはズーム機能が付いていますが、その使い道を真剣に考えてみるのも面白いと思います。子供の運動会で自分の子供を大きく撮りたいから望遠側にズームで寄る...家の中を広く撮りたいから広角側にズームで引く...というのはとても理に適っています。でもその使い方なら望遠レンズと広角レンズの2本を付け替えても良いはずです。

今はデジタル一眼レフでムービーを撮るのは不便な分、必然的にそういった要素を考えるきっかけに繋がっているのではないかと思います。勿論、時間の問題で各社からパワーズーム機能を搭載したレンズやそれに相当するコントローラーなども出てくると思いますが...。私個人はもう少しこの不便さが続いて欲しいと願っています。

コメントを残す

*
*
* (公開されません)