Simply mini J

1日5分、その日の自分を振り返る時間を作りなさい。
    昔そんな話をお坊さんから聞いた。

自らをプロと呼ぶ必要などなかった

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All Photo by inos

diary6760

好きな写真家を挙げなさいと言われたらジョセフクーデルカやエリオットアーウィットは真っ先に頭に浮かぶし、ブレッソンやロバートフランクも同一線上に並びます。いずれも作品作り以前に ”何かを伝えたくて写真を撮った” という意思が伝わりやすく、その上で画作りに対する工夫が個性として表れていて、デジタル時代に溢れる表面的な写真とは対照的な存在として間違いなくこれからも写真界に名を残していく大物写真家達だと思います。

そんな中にここ最近俄に私の心に強く刻まれる事になったのがビビアンマイヤーなる女性。ちょうど1年前の日記に書き残されているように、ビビアンマイヤーはそもそも写真家やカメラマンと呼ばれるような人ではなく家政婦が主な仕事。その傍ら写真を撮り続けていたようですが生前自らの写真が世に出る事は無く、オークションに出品された15万本ものフィルムが落札者の手に渡り誰の作品とも知れず世に出されその才能が認められた経緯。しかしその時ビビアンは既にこの世を去っていたという。

彼女の作品はここ数年見た写真の中ではとても印象深く今回写真集を購入するに至りました。写真家を名乗る事のなかった家政婦さんの写真集。表紙は小学生の卒業文集のようでセンスを疑うもの。しかし中身は書店に並ぶ数百冊のどれよりも魅力的。1950〜70年代と言えば写真のあり方が問われた時代、にもかかわらずプロではなかったからこそ自由な発想で伸び伸び撮られておりユーモアに満ちたもの。

私が知る限り彼女の写真集はオフィシャルには3種類しか出ていません。一番有名な ”Street photographer” を一旦は手に取りましたが隣に並んでいた ”Self Portraits” があまりに素晴らしくて今回はこちらを購入しました。このSelf Portraitsを書店で見かけたのは今回が初めてで少し珍しいものですね。セルフポートレイトですから全ての写真は自らをフレーミングしたもの。それだけで構成される120ページが他のプロの写真集より魅力的なのですから驚きますね。

これを見てからというもの、私もこれからは自分を積極的にフレーミングするのも面白いかも...なんて考えてしまいました。最近購入した写真集の中では一番のお気に入り。

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