Simply mini J

1日5分、その日の自分を振り返る時間を作りなさい。
    昔そんな話をお坊さんから聞いた。

本職のアクアテラリウムを見に行く

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All Photo by inos

アクアリウムファンであれば知らない人はいないADA。思い浮かべるのは透明度の高い水槽や洗練されたデザインのステンレス製器具の数々。いずれも精度が高く高品質であることは間違いありませんが、性能に比例したお値段を前にショップに並んでいても憧れの存在として指をくわえて見るのがオーソドックスな楽しみ方。

そんなADA、私も含め多くの人がそういったアクア用品メーカーとしての認識が高いのですが、社名であるADA(アクアデザインアマノ)の “アマノ” さんはもともとネイチャーフォトの写真家さん。大自然を写真に撮っているうちにそれをもっと身近に再現したいという気持ちからアクアリウムの世界を広げていった...多分そんな流れ。

世界を旅した写真家さんが作り上げたアクアリウムの世界はどんなものかと、東京ドームシティGallery AaMoで開催されている “天野尚 NATURE AQUARIUM展” へ足を運びました。

 

やはりネイチャーフォトの世界は私のようなスナップファンの小さな機材と違って本気カメラを使うのが普通です。先日のアンセルアダムスもそうですが、所謂大判カメラを三脚に固定して腰を落ち着けて撮る。今回は8×20inch(20cm×50cm)フィルムによる撮影作品がいくつかありましたが、横幅50cmのフィルムって...これまで見たこともありませんでした。普通はどんなに大きくても8×10inchですよね。

その巨大フィルムからプリントされた壁一面の作品ときたらそれはもう圧巻です。勿論世の中にはこうした大きなプリントというのはいくらでもあるわけですが、ポイントはこれだけ大きな作品なのに近くで見ても画が荒れることなく非常に緻密な表現が出来ていること。さすがに横幅50cmのフィルムからのプリントですからこれだけ引き伸ばしても35mmフィルムから4つ切プリントをしたくらいな感じなんでしょうね。

 

大きなプリントというのは小さな写真をそのまま引き伸ばして迫力を表現するという意味以外にも、小さく映っているものを視覚的に理解できるようにするという意味もあります。以前にも書いた気がしますが、小さなプリントでは写っていることしかわからなかった被写体が、大きくプリントされることでその被写体が何だったのか内容的に理解できるようになるため、1枚のプリントが持つ意味が変わってくるのです。

とはいえこのサイズ感のプリントというのはちょっと例外的な大きさですけど。結構びっくりしたのは川の流れの中に見える石を覆う苔の描写がとてもリアルで、本物と同じくらいのサイズでプリントされているために、本当に自分が川の中にいてその苔を目の前に見ているような錯覚を覚えました。巨大フィルムからのプリントで画が荒れていない事も勿論こうした表現に繋がっています。

 

勿論写真だけでなく本物のレイアウト水槽も展示されています。ADA本社のある新潟にはADAネイチャーアクアリウムギャラリーが存在し常にこうした水槽展示が行われているらしく、今回はそれの出張版のようなものですね。

展示されている水槽サイズはどれも特大でご家庭に置けるようなものではありませんが、そのすべてがレイアウトコンテスト優勝作品!というくらい見事としか言いようのないレイアウト。近年流行のアクアテラリウムレイアウトは壁一面を使った大掛かりなもの。そんな巨大作品の中に埋もれれば注意しないと目に入る事すらないミクロな存在がリリーパイプに代表されるろ過装置とのインターフェース。これらもすべてガラス製品ですが、さすがに4連や5連で装着されるとなんと美しいことか!

また、小さな気泡をキノコの胞子のごとく無数に放出するCo2システムはやはりアクアリストの憧れ。これにより水草からは酸素の気泡が大量に発生し、このサイクルからなる循環システムはまさに “手に入る地球”。

テラリウムやアクアリウムを既にやっている人もそうでない人も、これらを見てしまうと皆始めてみたくなりますよね。私はもともとどちらも好きなので大いに刺激を受けて帰ってきました。自宅では直径18cmの小型プラントグラスで水草を水上葉で育てていますが、順調に成長が進んだら水を入れて水中葉にしてしまおうかなぁなんて気持ちにもなります。

水中葉は苔との戦いも出てきたりして飼育が大変になるのは目に見えていますが、やっぱり水の中を眺める魅力ってあるんですよね。

 

出口付近ではテラリウムワークショップも行われていました。ワークショップですから初めて挑戦する人向けに簡単なキットが準備されている感じで参加者は皆楽しげに作っていました。こういうのを始めると次々に大きなものを作りたくなる沼が待っているんですよね。

苔を使うようなテラリウムはどちらかというと高い湿度をキープしなければならないので手をかけずにそれを実現するにはビンに蓋をするのですが、そうするとビンの内側に水滴がついて中が見えなくなってしまうのが玉に傷なんですよね。曇らないビンがあるといいのですけど。

 

色々なグッズ販売も行われていました。水槽や植物は当然として、プランツ用のトレイというのが面白かったですね。木枠で出来たトレイのパネル部分は石で出来ており上に載せたプランツから多少水が流れ出ても大丈夫そうですし、見た目もプラスチックのお皿とちがって非常に上品。すぐに使い道は浮かびませんが工夫次第でいろいろ活用出来そうですね。

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