Simply mini J

1日5分、その日の自分を振り返る時間を作りなさい。
    昔そんな話をお坊さんから聞いた。

創意工夫が面白い

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All Photo by inos

東京ミッドタウン・デザインハブで開催されている ”クラフトNEXT-第57回日本クラフト展” に足を運んでみました。イベントタイトルからして既に57回目だというのに私にとってはこれが初参加(出展ではなく見るほう)。

陶磁・漆・木・竹・ガラス・金属・など約800点のクラフト作品を展示との前情報だったのでワクワクしながら会場を訪れましたが、想像していたほどの巨大なスペースではなかったものの、展示されている作品はどれもアイデアいっぱい且つ精巧な作りで目移りしてしまいました。

東京ミッドタウンにあるこのデザインハブという施設は、多くの人をデザインの力でつなぎ、動かす場として、デザインのプロモーション・職能・研究教育を担う機関が連携して実現した団体のようです。ハブという名前からもなんとなく目指している方向性は伝わってきますね。

ガラス張りの向こう側では今日も親子で参加するワークショップが開催されていました。自分オリジナルデザインの箸を作っておりました。

 

入り口付近に展示されていて目をひいた照明シリーズ。緑の巨大なボールみたいな照明は素材や作り方は不明ですがとにかく細かな網目状に組まれたランプシェードに注目です。仕上りの美しさや作品としての評価以前に、やはり作り方が一番気になるところです。想像するに硬い糸のような素材から手編みで編んだんじゃないかと。

そして隣に展示されていたウッド製ランプ。ランプと言ってもその光の使い方が斬新すぎて何かを照らしたり周囲を明るくする目的ではなさそうで、私は白色LEDの新しい使い方を見た気がしましたね。

LEDを下向きに配置してテーブルを照らしているわけですが、その光のこぼれ方は太陽光を連想させるもので驚きました。日当たりの良い部屋の入り口の扉が少しだけ開いていて、今まさにその扉を開けて部屋に入ろうとしている時の光のこぼれ方ってこんな感じだなって! 人工光から本物を連想出来るって凄いなと。

 

この展示会はデザインがテーマですから、創意工夫によって手作りされているものであれば恐らくエントリーの資格があるのではないかと思います。それ故、展示されている作品も形式張った物ばかりでなく、あらゆるジャンルの、場合によってはいったい何に使うのか分からないようなものまで並んでいて実に面白いです。

上の写真の歯車の塊で出来た作品は、ハンドルを回すと棒の先のトンボ達が本物のような細かなギミックで羽の一つ一つが動くというからくり人形ばりの仕掛けがあります。これもいったいどういう仕組みでそのような動きが作り出せるのかじっくり眺めてみても理解出来なかったのですが、感心するのはそれだけ精巧に作られていながらメカメカしくなっておらず子供でも関心が持てそうなところ。デザインとは人と違うものを考えたり、奇抜さを形どる事ではない!という事を教えられた気がします。

昨年のDESIGN FESTAで木象嵌(もくぞうがん)について教えてもらった ”木工房 千舟” さんの作品も展示されていました。今回は木象嵌のを駆使したものではなく可愛いこけしシリーズでした。まんまるな頭はやはり旋盤で作るのでしょうかね。

 

私の好きな寄せ木シリーズ。近年寄せ木細工って流行の波が来ているんでしょうかね。あらゆるイベントで見る機会が増えた気がします。そしてそのどれもが実に美しい。まあこうした展示会に出品するのですから最高に美しい状態で持ってくるのは当たり前かも知れませんが、問題はこうした寄せ木細工は1年とか2年とか時間が経ってからですよね。

私が自宅で愛用しているオーディオスピーカーは寄せ木によって作った特注品ですが、そこから学んだのは、寄せ木というのは種類の異なる材を組み合わせたり木目の方向を変える事で仕上りの模様を形成しますから、完成した作品にいずれ大きな湿度変化が加わるとそれぞれの材の歪みが異なる方向に出て繋ぎ目にズレが生じる可能性が高いです。私のスピーカーも爪が引っかかる程度のズレが出てきていますからそろそろ修正が必要な事かと考えていたところでした。

そうしたトラブルは恐らく素材が十分に乾燥し伸縮しきった後で最終的な面研ぎをすれば最小限に抑えられるのでしょうが、だとしたらこれらの作品は1点作るにも相当な時間が掛かるんじゃないかと思います。そういったノウハウについて作者の方に聞いてみたいですね。

確かステンレスと書かれていたと思います、上の写真の細い針金で編んだようなオブジェ。イヤリングなどのアクセサリー類と並んで展示されていましたから普通に考えるとネックレスですよね。首に掛けて丁度良いくらいの大きさの針金で出来た玉。作っている現場を想像すると気が遠くなりますね。力を入れて作ったら潰れてしまいそうで、一旦潰れたら自然な形に戻すのは難しいでしょう。オシャレしてこれを首からぶら下げていてご飯でも食べようものなら、うっかりテーブルと体の間に挟まって潰してしまいそう。それでも美しいなら身に付けていたい...そういうものですか。

 

エアプランツを入れたら似合いそうな手ごろなサイズのプランツポットが並べられていました。白も黒もどちらも良いですね。これだけ特徴的な柄ですから置き場所は落ち着いた場所の方が似合いそうです。

最後に、驚いてしまったのが真っ赤なランチョンマットに載せられていたおせち料理のお重。これ木で出来ているんです。重箱がじゃないですよ、中身のおせち料理が木で出来ているんです。かまぼこもだてまきも栗も煮物も。確かによく見れば本物じゃない事は分かるんですけど、遠目にはソレっぽく見えました。何より全部手作りなわけですから相当根気がいりますよね。プラスチックなら型を作って流し込む!とか出来ますが木ですから一つ一つ削って磨いて色を塗って...と。

他にも沢山の作品がありましたが紹介しきれないのでこれくらいで。

ハンドメイドフェスジャパンだったりデザインフェスタだったり、あそこまで規模の大きなイベントではなくても、これくらいの展示会が時々行われるのも良いかも知れません。殺人的な来場者にならないのでじっくり見れます!

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