Simply mini J

1日5分、その日の自分を振り返る時間を作りなさい。
    昔そんな話をお坊さんから聞いた。

六本木アートナイト2018(2)

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All Photo by inos

東京ミッドタウンから国立新美術館への流れは昨年のアートナイトと同様の運び。そして私同様ここから六本木ヒルズへ向かうという人が一番多いのではないかと思います。

今年の国立新美術館は外観からしてすごくカラフル。ガラスというガラスに色とりどりのすだれが配置され、カラーフィルターとなったそれらが室内照明で照らされる事で建物全体がオブジェのような存在になっていました。またそのカラーフィルターの透過率が絶妙で、明るすぎず暗すぎず丁度良い具合なのです。

この時点で時刻は20時半頃だったと思いますが、それでこれだけの人で賑わっていますからアートナイトと言えどちょっと異常事態にも感じる状況。丁度その時間帯にこの場でロボットか何かのアートが出現するみたいな情報がありましたから恐らく皆その瞬間を待っているのだと思いますけどね。

こうした特別な日の高揚感って私は昔から好きで、例えば大晦日の夜から初詣に並ぶとか、何処か旅行へ行くのに前日の夜出発するとか、とにかく暗いうちから行動するという非日常性がテンションに繋がるのです。出来ればここで露天商などが出ていて焼きそばとか売っていたら最高なんですけど、流石に美術館の入り口でそれは望めませんね。

入り口付近には毎年この美術館を象徴するようなアートが展示されています。今年はカラフルな建物全体の演出にマッチするよう光を駆使した見せ方が印象的でした。無数の丸い手鏡を敷き詰めた地面に上から複数台のプロジェクターで光を投射する事で、その反射をアーティスティックに天井に浮かび上がらせる...。

プロジェクターへ入力する映像信号を変化させれば反射した光の影はダイナミックに姿を変えるという計算で、この空間だけに色温度の高い光を用いる事ですだれによるカラーフィルター効果を狙った建物の暖色との差別化を図り存在を強調している憎い計算。

館内で一際目を引き、誰しもそのスケールに圧倒され、やがてほっと出来たのはこの空間じゃないかと思います。

「こいのぼりなう」という題材で開放されたこのエリアは展示スペースの間仕切りを全て取り払い、国立新美術館でもっとも大きい展示室(2000㎡、天井高8m)を使い切る前代未聞のプロジェクト。入り口から入った鯉達が巨大な部屋の中に渦を巻くように夥しい数の群れとなって我々を迎え入れてくれているような壮大な演出でした。後になって調べてみたところこのインスタレーションに使われている鯉のぼりは300点を超えているそうです!

気が利いているなぁと思ったのは、その渦の中心付近には沢山のビーズクッションが置かれており、座ったり寝ころんだりしながらこの空間にのみ流れるゆっくりした時間を過ごせるようになっていた事。私もしばらく仰向けに寝ころんで沢山の鯉の群れを眺めていましたが、不思議と気持ちが落ち着きましたね。草原の真ん中で空でも眺めているような。

こちらは昨日紹介した21_21 DESIGN SIGHT内の展示だったような気もしますが、もはや写真が多すぎて何処で撮ったものなのか分からなくなってきてしまいました。何せ昼間のNHK分と合わせると1日で640枚も撮影していましたから帰宅後のRAW現像作業だけで徹夜な感じになっておりまして、映像編集を仕事としていた頃のハードな生活を思い出しております...。

デザインを主張する展示ですから当然といえば当然なのですが、どうですかこの洗練された展示レイアウト。アーティストによって作品の特徴は様々ですから、それぞれの作品が一番引き立つような見せ方を工夫しているのが一目で分かると思います。

壁に貼って見るもの、床に置いて見るもの、空中に吊るしたり、または同じ壁でも視界に全作品が見えるような展示があれば、逆に一気に視界に入らないよう柱を回り込むように展示するもの、見る人の目線の高さを計算し、無意識にして動線がどう流れるかを考えながら展示されている事に非常に感心しました。一般的な写真展などでは一様に壁に貼り付けて、ぱっと見が美しく見えるよう並べただけ...みたいなものが多いですが、ここは流石に違いましたね。とてもワクワクする空間でした。

やがて良い時間となり、国立新美術館から六本木ヒルズ方面へ移動。ヒルズを目の前にしてこの芝生スペースには毎回何かしらのサプライズがありますね。

今回は参加型アートが準備されており、アルミ製のエアダクトに拘束されるプレイ!を楽しむ人達で賑わっていました。仕組みは簡単でダクトやケーブルの先端が磁石になっており、鉄の壁を背にして張り付くようにスタンバイした人間をペタペタと磁石のパイプを後からくっつけているだけなのですが、遠目に見ると本当に拘束されているように見えますから、所謂インスタ映えコーナーといったところでしょうか。

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