あんな事件を起こした後なのにと人は思うかもしれません。影響力の大きな立場なのにと思う人も。

美味しいお米を作ることの出来る農家さんが何らかの不祥事を起こしたとして一旦は農家をやめたけれど、その人のお米が他の誰にも作れないような特別美味しいものだとしたら、もう一度作って欲しいと我々は願うんじゃないでしょうか。美味しかったという記憶こそが本当の意味での影響力なんじゃないかとも。ASKA、この人の歌声にはやはりそれくらいの説得力を感じました。

世間が喜びそうな言い方をするなら、昨夜は事件後最初の復活ライブ。今回も知人に誘って頂き私もそのステージを見届ける事ができました。誠にありがとうございました。

5,000人を収容する東京国際フォーラムを満席にした彼の歌声はまだどこかもがいているような、それでいて進むべき方向をしっかりと見極めたような、不安と自信が見え隠れする中で、同じ光なら暗いところから見るほうがより眩しく明るく感じることを全身で訴えているような、今の彼ならではの表現が印象的な2時間半でした。

はじまりはいつも雨、PRIDE、SAY YES、もう30年近く前の曲ですね。それでもこの日聴きたいと誰もが願った曲達だったんじゃないでしょうか。30年皆の心に残っている曲、30年間歌い続けてきた人。その関係性には何の矛盾もなく、美化された自分の記憶だけが重なる．．．そんな気がしました。

またここからいい曲を書いていってほしいですね。